「ニューロクリートNeo®」を過密配筋構造物に初適用

低コスト高流動コンクリートにより20%のコストダウンを達成

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、現在東京都内で施工中の下水道処理施設工事において、低コスト高流動コンクリート「ニューロクリートNeo」の最上位ランク1(※1)を初適用し、20%のコストダウンを達成しました。

当工事では、ニューマチックケーソン工法(※2)で2つの函体(かんたい)を沈設し、各函体間を鉄筋コンクリート構造で接続して建設されました。この函体間接続部は、地下約50mの大深度・高水圧の環境下のため過密配筋となっており、バイブレータによる締め固めができないことから高流動コンクリートの「ニューロクリートNeo」が採用されました。

加えて函体間接続部は、鉄筋同士の間隔が極めて狭いことから特に流動性の高いランク1が適用されました。

地下約50mの函体間接続部全景
コンクリート打設・過密配筋状況

高流動コンクリートは、土木工事において構造物の配筋状況と形状の複雑さなどから一般にランク1~3に区分されます。ランク1の高流動コンクリートには、非常に高い流動性および材料分離抵抗性(※3)が要求されるため、比較的高価なセメントが大量に必要となります。そのため、普通コンクリートと比較してコンクリートの材料費が割高になり、さらにセメントとの化学反応による温度上昇に起因する温度ひび割れの発生リスクも高くなるという課題がありました。そこで大林組は「ニューロクリートNeo」を適用することにより、それらの課題を解決しました。

流動性と単位セメント量から見たニューロクリートNeoの位置付け
流動性の高いニューロクリートNeo(品質管理試験結果:スランプフロー70cm)

「ニューロクリートNeo」を適用した効果は、以下のとおりです。

コストダウンの実現

少量で自己充てん性の効果を発揮する新型増粘剤の量と単位セメント量の配分を試験練りにより変更し、従来のセメント量が多い高流動コンクリートと同品質のままセメントを最大200kg/m³減量することができました。セメント量の削減により従来の高流動コンクリートの単価と比較して約20%のコストダウンを実現しました。

コンクリートのひび割れ抑制

単位セメント量の減量に加えて、事前の三次元FEM温度応力解析(※4)結果に基づき、セメントには低熱ポルトランドセメント、混和材には膨張材、粗骨材には石灰砕石を使用することにより温度の上昇を抑制し、温度ひび割れの発生リスクを抑えました。函体間接続部の底版打設に際しては地下45mまで下方圧送しましたが、圧送管の閉塞(へいそく)などの不具合は発生せず、コンクリート打設3ヵ月後でも温度ひび割れの発生は認められませんでした。

大林組は、「ニューロクリートNeo」を積極的に普及・展開することで、高流動コンクリートの品質を確保しながら、コストダウンを図ります。今後も高品質な構造物の建設を通じて安全・安心な国土づくりに貢献してまいります。

  • ※1 高流動コンクリートのランク
    ランク1 流動性が最も高く、過密配筋や複雑な形状に適用
    ランク2 一般的な配筋に適用
    ランク3 配筋量の少ない構造物や無筋構造物に適用
  • ※2 ニューマチックケーソン工法
    函体の最下部にある密閉された作業室に高圧の空気を送り、地下水の浸入を防ぎながら地上と同じような状態で掘削を行い、函体を沈設する工法
  • ※3 材料分離抵抗性
    硬化前のフレッシュなコンクリートの構成材料(セメント、砂、砂利、水)の分布が不均一とならない性能
  • ※4 FEM温度応力解析
    コンクリート構造物のひび割れ評価やひび割れ対策の検討を行うために、コンクリートの打設前に構造形状や使用材料などからひび割れ指数(コンクリートの引張強度と発生応力の比)を算出すること
  • ニューマチックケーソン工法(日本圧気技術協会のウェブサイトから引用)

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 コーポレート・コミュニケーション室 広報課
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