低床式AGV(無人搬送車)を複数台連携させる自律搬送システムを開発

仮設エレベーターへの乗降を自動制御するなど搬送効率が向上

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、自律走行するAGV(Automatic Guided Vehicle:無人搬送車)を複数台連携することで工事現場の規模を問わず対応できる、フレキシブルな資材の自律搬送システムを開発しました。

自律走行する3台のAGVの様子を動画でご覧いただけます

(動画再生時間:2分28秒)

2015年に大林組が開発した低床式AGVは、小型かつ軽量で、資材を積載した状態で工事用の仮設エレベーターに乗降できるため、資材の載せ替えをせずに資材ヤードから搬送先まで一貫した搬送が可能です。そのため、従来は3~4人の作業員で運んでいた資材を、オペレーター1人で安全に運ぶことができます。

今般、さらに効率化するため、米国のSRI International(※1)と共同し、搬送先と経由地の座標を指定することで、障害物を回避しながら搬送先まで走行する自律搬送機能を追加しました。また、複数台の低床式AGVを連携させることで、仮設エレベーターへの乗降を制御できるため、無駄な待ち時間や昇降回数が減ることで稼働率も向上します。

  • ※1 SRI International
    世界で最も大きな非営利独立研究機関の一つ。1946年にスタンフォード大学により地域の経済発展を支援する目的で設置され、1970年に完全に大学から独立し、米国の非営利科学研究組織となる。大林グループとは、建設技術の共同開発に関する戦略的パートナーシップを締結している
AGVの全景
ユーザーインターフェイス

本システムの特長は以下のとおりです。

2次元マーカーを読み取るだけで自律走行が可能

本システムは、搬送先と経由地を座標で指定するだけで、上部センサーヘッドのステレオカメラが搬送経路の要所に設置した2次元マーカーを読み取り、自己位置を検出し自律走行します。また、走行中、LiDAR(レーザーセンサー)が搬送経路上の障害物を検知し迂回(うかい)するため、常時状況が変わる建設現場でも安全に使用できます。

障害物の迂回

搬送経路の変更に即座に対応

一般的なAGVが自律走行を行うには、事前に一度走行させて、搬送経路用の環境マップを作成する必要があります。しかし、工事現場では工事の進捗に応じてレイアウトが変化するため、そのたびに事前走行させる必要があり、大きな負担となっていました。本システムでは、設置した2次元マーカーの座標データを変更するだけで、搬送経路の変更に即座に対応できるため事前走行が不要です。

2次元マーカー

複数台の連携をオペレーター1人で管理

階を跨いだ搬送において、低床式AGVが1台ずつ仮設エレベーターに乗車・昇降するよう制御することにより、昇降階それぞれのエレベーター前に待機場所を設けることで3台が連携して稼働します。すれ違える場所さえ設ければ、建設現場の規模や資材量に応じてさらに台数を追加することが可能です。本システムは端末を通じて稼働状況を監視できるため、オペレーター1人ですべての低床式AGVの稼働状況を管理できます。

2台のAGVのすれ違い
エレベーターへの乗り込み

今後、大林組の建設現場に導入し、より多くの資材を効率的に運搬できるよう開発を進めるとともに、資材搬送に限らないさまざまな建設ロボットが自律的に稼働し、施工する将来に向けて、自律制御技術のさらなる研究開発を行っていきます。

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 コーポレート・コミュニケーション室 広報課
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