2021年度グッドデザイン賞を受賞

サステナビリティ

日本デザイン振興会が主催する「2021年度グッドデザイン賞」において、大林組が設計施工した大正大学8号館(東京都豊島区)、農大サイエンスポート(東京都世田谷区)、ザ・ホテル青龍 京都清水(京都府京都市)、GREEN SPRINGS(東京都立川市)の4件が受賞しました。

グッドデザイン賞は、日本で唯一の総合的なデザイン賞で、1957年の創設以来、約60年にわたり、暮らしと産業、社会全体を豊かにする優れたデザインを顕彰しています。製品、建築、ソフトウェア、システム、サービスなど、かたちのあるなしにかかわらず、人が何らかの理想や目的を果たすために築いたものごとをデザインと捉え、その質を評価しています。

大正大学8号館

(撮影:エスエス)

創立100周年に向けて、大学のシンボルである礼拝堂を建て替えました。図書館をはじめ、講演会にも利用できるラーニングコモンズ(自習空間)、地域交流を促すブックカフェなどを創出。新たな学びの場と地域社会とつながる交流の場を実現しました。森の中の渓谷を連想させる立体的な空間づくりにより、一人でもグループでも居心地がよく、ずっと居たくなる学びの場となりました。

<審査委員の評価>
大学と設計者が共同し、ダイナミックな吹き抜け空間において真に機能するラーニングコモンズが計画されていることが特筆される。立体的な構成によってさまざまな居場所を創出し、照明による光の効果も巧みに演出されている。地域に開かれた都市型キャンパスという現代的な要請に対応していることを評価した。

  

農大サイエンスポート

(撮影:新建築社写真部)

農・生命科学・環境科学・情報経営学などの分野から構成されている87研究室を一つの建物に集約したプロジェクトです。多種多様な特色のある研究室が一堂に会すことを活かし、他研究室の活動の様子が感じられ、学部学科の枠を超えた学生・研究者間の交流が促進されるような空間作りを行っています。

<審査委員の評価>
研究分野の細分化・専門化によりテクノロジーが急速に進む一方で、学部学科間の意志相通が円滑に進まなくなるという課題を抱えていた。本施設では、キャンパス内に分散していた87研究室を一つの建物に集約し、学部学科の枠を超えた学生・研究者間の交流を促す仕掛けを建物の随所に組み込むことで発注者の課題を見事に解決している。自然の持つ時間や空間に想いを馳せるきっかけとして、学生が育成に携わる奥多摩演習林の木材を採用している点も高く評価したい。

ザ・ホテル青龍 京都清水(元京都市立清水小学校)

(撮影:Forward Stroke)

1933(昭和8)年に建設され、2011年に閉校となった歴史ある元京都市立清水小学校を、耐震補強し、必要な機能やスペースを増築することで、ラグジュアリーなホテルとして蘇らせました。

<審査委員の評価>
既存建物を保存・復原しながらホテルとして蘇らせることで歴史的建築物の保存と活用が実現した。耐震、防火、景観などの法的課題を、京都市条例の活用や建築部材自体の保存・復原を行うことで用途変更を可能にした。80年以上にわたり学び舎として地域に愛されてきた小学校の保存という市民の願いに応えるとともに、周辺の歴史的景観や眺望への積極的なアプローチによって新たな価値を創出しており、地域文化の継続の好例として評価する。

GREEN SPRINGS

(撮影:根本健太郎写真事務所)

地域の持続性向上をめざし、"空と大地と人がつながる、ウェルビーイングタウン"をコンセプトに開発された複合施設です。オフィス、商業施設、ホテル棟に加え、ホール、美術館、保育所など公共的サービスの一部も担っています。1階の見えない部分に駐車場を集約、2階に建物と一体化した広場を配置。多摩産材の杉板を用いた広い軒天井に囲われた広場には多数の樹木とビオトープを有し、訪れた誰もが心地よさを感じる場所を創出しています。

<審査委員の評価>
立川という街を「都心でもあり郊外でもある」という2つの側面から、都市環境と自然環境の結節点として、文化と自然の共存を質の高いランドスケープで実現している。1階の見えない部分に駐車場を納め、2階に建物と一体化した自然豊かな広場を配置した計画は秀逸である。公共施設かと思うほどのコンセプトを、民間企業が事業として実現していることが素晴らしい。企業のパブリックマインドが、街のイメージ向上に大きく寄与していることを評価する。

大林組は建設を通じて、デザインの可能性やデザインが活かされる領域を広げ、一人ひとりが豊かに創造的に暮らす社会づくりに貢献していきます。