水素を活用した熱電併給システム向けスマートエネルギーマネージメントシステムを開発
LEEDを取得した建物へのエネルギー供給を最適化することでカーボンニュートラルに貢献します
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プレスリリース
株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、燃料電池や水素混焼型ガスエンジンなど運転特性の異なる複数の機器を最適に運転させるためのスマートエネルギーマネジメントシステム(スマートEMS)を開発し、トヨタ自動車株式会社(本社:愛知県豊田市、社長:豊田章男)の本社工場内の水素発電パークに導入され、運用が開始されました。
通常、燃料電池や水素と都市ガスを混ぜて燃焼させる水素混焼型ガスエンジンなどの運転特性の異なる装置を併用しながら発電や熱を製造する場合、環境性や経済性、水素とガスの混焼量などを総合的に判断し最適なバランスを保つのは難しくなります。
そこで、大林組は、運転特性の異なる複数の機器をどのように運転すれば最適化できるのかをオペレータに提示するスマートEMSを開発しました。スマートEMSは、電力や熱の需要に合わせて環境性、経済性、水素利用量の最適なバランスを判断します。また、どの項目を優先させて運転するかをオペレータが自由に設定できる機能を有するなど、フレキシビリティを重視したマネジメントシステムとなっています。
スマートEMSは、トヨタ自動車の工場用自家発電設備の実証サイトである水素発電パークに導入され、近接するパワートレイン3号館(PT3号館)に供給する電力と熱の最適管理に向けて運用が開始されました。
大林組が設計施工したPT3号館は、パーソナル空調設備、明るさ感照明制御設備などの快適性に配慮した省エネルギー手法の導入や、環境配慮設計を行うことにより、環境評価指標であるLEEDの認証において、オフィス部分では「LEED v4 ID+C」で最高ランクであるプラチナ認証、建物全体では「LEED-NC v2009」でゴールド認証をダブルで取得(※1)しています。
トヨタ自動車が運用する水素発電パークでは、液体水素プラントから供給される純水素で発電する燃料電池に加えて、工場内で発生する廃水素を利用した水素混焼ガスエンジン発電機から電源を供給しています。また発電時に発生する温水排熱は、冬期はそのまま暖房に、夏期は吸着式冷凍機(※2)から冷水を製造し冷房に用いています。
大林組は、スマートEMSを通じて、省エネ設計された建物に加え、水素などの次世代エネルギーを活用した熱電併給システムの環境性、経済性、水素利用量を最適管理することで、さらなるエネルギーコストやCO2排出量の削減を実現します。今後、建物の省エネルギーや環境配慮設計はもとより、グリーン水素(※3)を含めた水素の普及ひいては社会インフラとしての整備を推進することで、ライフサイクルCO2の削減、また顧客がめざすカーボンニュートラルサプライチェーンへ貢献していきます。
- ※1 LEED
省エネで環境負荷が少ないなど総合的に環境性能の高い建築物「グリーンビルディング(環境配慮建築)」の普及をめざすUSGBC(U.S. Green Building Council 米国グリーンビルディング協議会)が開発し、GBCI(Green Business Certification Inc. グリーンビルディング評議会)が運用する建物と都市の環境性能評価制度
・LEED-ID+C(LEED for Interior Design & Construction):インテリアスペースの設計および建設を対象とした認証システム
・LEED-NC(LEED for New Construction & Major Renovations):新築および大規模改修プロジェクトに適用される認証システム
- ※2 吸着式冷凍機
吸着材(ゼオライトなど)が冷媒(水など)の吸・脱着を繰り返すことで冷水を製造させる装置
- ※3 グリーン水素
再生可能エネルギー電源から製造された水素。排出されたCO2を地中に貯留されるなどしたものはブルー水素と呼び、化石燃料由来の水素はグレー水素と呼ばれている。
大林組では、大分県九重町に地熱発電を用いた水素製造プラントを2021年7月に完成させ、グリーン水素を地産地消として九州各地へ供給する実証を行っている
地熱発電およびグリーン水素製造の実証プラントが完成、地産地消に向けて出荷を開始(2021.7.18付)
以上
この件に関するお問い合わせ先
大林組 コーポレート・コミュニケーション室 広報課
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