日建連表彰2021「BCS賞」「土木賞」を受賞

サステナビリティ

2021年12月9日、日本建設業連合会が主催する「日建連表彰2021」の表彰式が開催され、「東大阪市文化創造館」がBCS賞を、「首都高速1号羽田線 東品川桟橋・鮫洲埋立部更新事業(Ⅰ期)」、「新名神高速道路神戸ジャンクション」、「中央自動車道 弓振川橋床版取替工事」の3件が土木賞を受賞しました。

日建連表彰は、建築部門のBCS賞、土木部門の土木賞の2部門で構成される表彰制度です。BCS賞は、文化の発展と地球環境の保全に寄与することを目的に優良な建築物を、土木賞は、国民生活と産業活動の基盤の充実に寄与することを目的に優良なプロジェクトや構造物を表彰するものです。

今年で第62回を迎えるBCS賞は、74件の応募の中から15件が選出され、第2回となる土木賞には62件の応募があり、11件が選ばれました。

第62回BCS賞

東大阪市文化創造館

東大阪市文化創造館は、優れた音響空間と上質な鑑賞環境を提供する大小のホール、ダンスや研修に利用可能な創造支援室・スタジオなど20室を備えた文化芸術の創造発信拠点施設です。旧市民会館、旧文化会館の機能を集約させた、東大阪市のシンボルにふさわしい新たな市民会館(多目的ホール)として計画されました。整備運営はPFI方式で行われており、大林組が代表企業を務めています。

1階には誰もが立ち寄れる「まちライブラリーカフェ」や市民が持ち寄った本で本棚を埋めていく「まちライブラリー」が併設され、市民の交流とにぎわいを生み出しています。敷地中央の「街角広場」や前面道路と一体化した「桟敷ピロティ」が、街と建築をつなげています。

今回の受賞では、街との接点に置かれた屋外交流空間と、芸術文化による社会包摂までを視野に入れた運営。これらを補完させ合うことで、市民と芸術文化の多様な関係を生み出し、劇場を地域社会にとってかけがえのない場・機能へと昇華させた点が評価されました。

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近隣駅からのアクセスルートには新たな店舗ができるなど、施設誕生をきっかけに、街に新たな活気と変化が生まれている(撮影:A.P.First 荒木義久)
建築主 東大阪市、PFI東大阪文化創造館
設計者 佐藤総合計画、大林組、永田音響設計、プレイスメディア
施工者 大林組

第2回土木賞

首都高速1号羽田線 東品川桟橋・鮫洲埋立部更新事業(Ⅰ期)

開通から50年以上が経過した、老朽化の著しい京浜運河上の約1.9km区間を、1日7万台の交通を遮断することなく、4年で新構造物に切り替えました。

高速道路と京浜運河の護岸に挟まれた幅10~20mのスペースにう回路を新設。う回路を上り線、下り線に段階的に使用する交通切り替えを行いました。また、狭あいなスペースでの高速施工の実現に向けて、う回路高架下を物流動線として活用。床版、梁などのコンクリート構造物には積極的にプレキャスト部材を採用し、現場作業を最小化することで、大幅な工期短縮を実現できました。

今回の受賞では、ライフサイクルコストの低減の観点から、維持管理性や高耐久性を確保し、プレキャスト化の採用や工程短縮、作業環境改善などの工夫によって、限られた工期内で安全確実な施工がなされた点が評価されました。

高速道路のすぐ横に東京モノレールが走行。Ⅰ期工事完成後には、狭いエリアに2本(中央の本線、右のう回路)の道路が構築された
施設管理者 首都高速道路株式会社
設計者 大林・清水・三井住友・東亜・青木あすなろ・川田・東骨・MMB・宮地
高速1号羽田線(東品川桟橋・鮫洲埋立部)更新異工種建設工事共同企業体
施工者 大林・清水・三井住友・東亜・青木あすなろ・川田・東骨・MMB・宮地
高速1号羽田線(東品川桟橋・鮫洲埋立部)更新異工種建設工事共同企業体

新名神高速道路神戸ジャンクション建設プロジェクト

1日10万台が通行する中国自動車道と山陽自動車道が交差する3枝構造の神戸ジャンクションを、新名神高速道路の接続に伴い4枝構造へ整備しました。

中国自動車道の橋梁化工事では、橋梁化を終えた下り線を上り線のう回路として利用。う回路設置作業を削減し、工期を6ヵ月短縮しました。また、一般通行車の安全を確保するため、交差部の橋梁下部工・基礎にRC連続地中壁を採用。大規模な仮設土留めをなくし、掘削土量・下部工構築作業の削減を図りました。既設橋梁2橋の撤去の際には、多軸台車を導入して一夜で作業を完了しました。

今回の受賞では、さまざまな対応を講じたことで一般交通への影響を抑え、大幅な工程短縮を実現したこと、関係者間の連携と高度な技術力により、社会的影響を最小限にしながら高速道路網の完成に貢献したことが評価されました。

新名神高速道路・山陽自動車道(上下)と中国自動車道(左右)が交差する神戸ジャンクション。工事は山陽・中国自動車道を供用しながら施工
施設管理者 西日本高速道路
設計者 西日本高速道路
施工者 大林組

中央自動車道(特定更新等)弓振川橋床版取替工事

高速道路リニューアル工事における橋梁床版取り替えを、夜間の片側車線規制のみで完了する新工法「DAYFREE®」を開発し、本工事にて実現性と通行車両に対する安全性を実証しました。

従来の床版取り替えでは、橋桁上の床版の撤去、架設完了まで上下線のいずれかを昼夜連続で車線規制するのに対し、DAYFREEでは交通量の少ない夜間1車線のみの規制で工事を行うため、昼間に車線規制を解除し、交通開放できます。1日数万台という交通量がある都市部の高架橋床版取替工事においても、渋滞を抑制しながら工事が実施できる日本初の工法です。

今回の受賞は、交通ネットワークを確保しつつ良質な社会資本に貢献するという社会的ニーズに応え、特に都市近郊部での工事による交通渋滞を抑制する画期的な技術を確立したことが評価されました。

DAYFREEは、中央自動車道弓振川橋(上り線)の床版取替工事に初採用され、接合部の急速施工と速やかな交通開放を実現した
施設管理者 中日本高速道路
設計者 大林組
施工者 大林組

大林組は今後も、建設プロセスに関わるすべての関係者と良好な関係を築き、良質な社会基盤の創出や心地よい空間づくりに努めるとともに、安全で安心な暮らし、文化の創造・継承、そして建設技術の発展に貢献してまいります。