500m超の超高層建築物を支えるナックル・パイルの実現

国内最大級の杭の支持力170MNが発揮できる一般評定を新たに取得しました

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、節付き杭工法「ナックル・パイルおよびナックル・ウォール工法」において、既評定の適用範囲の上限値を向上し、国内最大級の杭の支持力170MN(メガニュートン)が発揮できるナックル・パイルの一般評定を一般財団法人日本建築センターから新たに取得(新評定)しました。

大林組は、2009年に「ナックル・パイルおよびナックル・ウォール工法」の一般評定を取得して以降、国内で27件の施工実績があります。本工法は、場所打ちコンクリート杭あるいは壁杭に節部を設けて硬質な中間層や支持層の支持能力を有効利用することで、従来の節部のない杭形状より杭断面のスリム化や杭長の短縮、杭の体積の低減をしています。それにより、建設発生土量の抑制および工期短縮を実現し、杭工事のコストの削減および環境負荷の低減に有効な工法となります。

しかし、従来のナックル・パイルの支持力は最大100MNであり、将来予想される高さ500m超のプロジェクトに対応するため、さらなる杭の支持力の向上が課題となっていました。

今回の新評定では、既評定の適用範囲のうち「コンクリート強度」「節部の形状寸法比」「節部の支持力度」の3項目が向上し、これらを効果的に組み合わせることによって、ナックル・パイルの杭の支持力は、国内最大級となる170MNに向上できました。

新評定を受けたナックル・パイルの特長は、以下のとおりです。

上限値の向上による最大支持力の増大

コンクリート強度は、設計基準強度の上限値をFc=60 N/mm²から100N/mm²に高め、節部形状寸法の拡径比(節部径/軸部径)の上限値を、1.72から2.00に拡大しました。また、大林組の節部評価法(支圧法)(※1)を採用することによって、砂質土での節部の地盤支持力度が6000kN/m²から7200kN/m²に上昇しました。

形状変更による支持力の向上

同じ杭径と杭長、節部段数の条件で節部の形状を拡大することにより、杭1本当たりの支持力が60MNから80MNへ向上します。

最大軸径3mと6段の節部の配置によって、国内最大の杭の支持力170MNを実現できます。

拡底杭での引き抜き支持力の確保

新たな解析結果と実大杭による載荷試験結果により、拡底杭の引き抜き支持力の妥当性が認められました。これにより、塔状比(建築物の高さ/幅(※2))が4を超える中高層建築物の地震時の転倒対策に適用できます。

大林組は、今回の節付き杭工法「ナックル・パイルおよびナックル・ウォール工法」の新評定取得によって、将来建設が想定される500m超の建築物から中高層建築物までを対象として、節付き杭工法をさらに普及・拡大し、安全・安心な建物の提供に貢献していきます。

  • ※1 節部評価法(支圧法)
    節部の円環状(軸部径を除いたドーナツ状)の水平投影面積部分に支持力度をかける算定式を用いた評価法。拡径比(節部径/軸部径)に応じた低減係数(安全率)を導入している
  • ※2 塔状比
    建物の高さ方向と幅方向の長さの比率であり、建物がどのくらい細長いかを数値で表したもの。塔状比4以上の建物は塔状建物と呼ばれ、保有水平耐力計算をすることが建築基準法で義務付けられている

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 コーポレート・コミュニケーション室 広報課
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