大規模土工事の無人化に向けて、福島県飯舘村における盛土工事で実証開始

建設機械の遠隔操作、自動・自律運転を適用し、建設DXを推進

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、環境省福島地方環境事務所発注の「令和2・3・4・5年度飯舘村長泥地区環境再生事業盛土等工事」(福島県相馬郡飯舘村)において、建設機械の遠隔操作、自動・自律運転による盛土工事の現場実証を開始しました。

建設機械の遠隔操作、自動・自律運転による施工状況

大林組は、建設DX(※1)の一環として、「ロボティクスコンストラクション(※2)」を提唱し、作業環境の劇的な改善や建設機械との接触などによる事故の撲滅を目的として、技術開発を行っています。今回、現場での試験運用を通して、これまで培ってきた建設機械の遠隔操作や自動・自律運転の技術を集約することで、安全性と生産性の向上や大規模土工事の無人施工が可能であることを実証しています。

建設機械の遠隔操作、自動・自律運転による施工概要

主な実証内容は、以下のとおりです。

高度な遠隔操作、自動・自律運転の技術を有する建設機械の試験運用

土砂の積み込みは、トンネル工事現場で運用してきたバックホウ遠隔運転システムの適用範囲を盛土現場へ拡張、場内運搬はキャリアダンプの自律運転を適用、土砂敷きならしおよび転圧はブルドーザの自動運転を適用します。いずれの建設機械も遠隔操作に切り替えることが可能です。

複数の建設機械の運用管理

一人のシステム管理者で複数の自動・自律運転が可能な建設機械を効率よく運用できるプラットフォームを開発しました。システム管理者は、このプラットフォームを利用して建設機械に作業内容を入力することで、一連の施工で複数の建設機械が連動して運転するよう制御します。施工状況は、モニター以外にPC画面上のアイコンで誰でも一目で確認することができます。また、当日の作業条件に合わせて作業場所や立入禁止区域をシステム上で設定することにより、建設機械同士あるいは作業員との接触を防ぐことが可能です。

工事に関する詳細なデータの活用

GNSS(※3)による建設機械の位置情報と、3Dレーザースキャナーによる周辺地形データおよびマシンコントロール(※4)機能を活用して高精度な施工を行い、施工各段階における運行履歴データや出来形データを自動取得します。また、これらのデータを継続的に取得し、施工の進捗や建機の稼働状態を管理するとともに、施工計画の最適化に活用していきます。

大林組は、バックホウの自律化や各建設機械の遠隔操作など、新たな技術開発を西日本ロボティクスセンター(大阪府枚方市)において行い、現場に早期展開できる体制を整えています。さらに、建設工事現場で使用される建設機械全体の自律運転化と、それらを統合管理するプラットフォームシステムを構築・運用するなど、建設DXを推進し、安全性と生産性の向上をめざしていきます。

自動化施工の取組概要

場所 福島県相馬郡飯舘村長泥地内
発注者 環境省福島地方環境事務所
工事概要 盛土工313,000m³(うち自律・自動化施工予定数量 20,000m³)
試験施工期間 2021年10月~2022年6月
使用建機 遠隔操作バックホウ、自律運転キャリアダンプ、自動運転ブルドーザ
  • ※1 建設DX
    建設業界にデジタルトランスフォメーション(DX)を活用すること。デジタル技術を計画や設計、施工などの各段階で取り入れることで、建設業務の省人化や高速化、高度化に役立てることをめざす
  • ※2 ロボティクスコンストラクション
    BIM・CIMなどの技術を用いて現実空間とバーチャル空間を結び、建設プロセスを高度化させる概念で、施工においては遠隔化・自律化・自動化を活用し現場の完全無人化をめざす
  • ※3 GNSS(Global Navigation Satellite System)
    人工衛星を使用して地上の現在位置を計測する衛星測位システムのうち、全地球を測位対象としたもの
  • ※4 マシンコントロール
    自動追尾式のトータルステーションやGNSSなどの位置計測装置を用いて建設機械の位置情報を計測し、施工箇所の三次元設計データと現地盤データとの差分に基づき、排土板の高さ・勾配を自動制御するシステム

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 コーポレート・コミュニケーション室 広報課
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