木質バイオマスを使用した脱炭素化に貢献するコンクリート「リグニンクリート™」を開発
森林が吸収したCO2をコンクリート内に長期間固定します
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プレスリリース
株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、コンクリートに木質バイオマス(※1)を添加することで、コンクリート構造物に長期間CO2を固定できる「リグニンクリート」を開発しました。
樹木は成長過程で光合成によりCO2を吸収するため、木材の利用は吸収されたCO2を固定することにより脱炭素化に貢献します。また、「使う・植える・育てる」というサーキュラーエコノミー(循環型経済)の観点から、木材は再生可能な資源としても注目されています。
大林組は、木質バイオマスをセメントミルクで固めた「チップクリート®」を用いたのり面緑化の実用化(施工実績21件、延施工面積4万4,000m²)や、主要構造部(柱・梁・床・壁)のすべてを木造とした日本初の高層純木造耐火建築物の建設など、木材利用の実績を積み重ねてきました。
今般、木材利用をさらに促進させるため、日本製紙株式会社(本社:東京都千代田区、社長:野沢徹)、株式会社フローリック(本社:東京都豊島区、社長:五十嵐陽三)と共同で、木質バイオマスである粉体状のリグニン(※2)を添加するコンクリート「リグニンクリート」を開発しました。
木質バイオマスは、燃料としての使用や、廃棄後の腐朽により固定したCO2が大気に戻ってしまいますが、コンクリートに混ぜてCO2を長期間固定化することで環境負荷を低減でき、高付加価値なコンクリート構造物を提供することができます。
「リグニンクリート」の特長は以下のとおりです。
CO2を長期間にわたって固定
「リグニンクリート」は、リグニンをコンクリート材料として使用することで、樹木が吸収したCO2をコンクリート構造物に長期間固定します。一般的に、コンクリートの製造時には約270kg/m³のCO2を排出します。一方で、リグニンは1kg当たり約2.4kgのCO2(※3)を吸収しているため、1m³のコンクリートに100kgのリグニンを添加することで、約240kg/m³のCO2を構築物のライフサイクルを通して、長期間安定してコンクリート中に固定できます。また、解体し骨材に再利用する場合にも、CO2は固定された状態を維持します。
加えて、砂の一部をリグニンに置き換えるため、コンクリート材料として使用する砂の使用量を削減でき、天然資源保全の観点でも環境負荷を低減できます。
施工を通じて環境負荷の低減に貢献
「リグニンクリート」は、通常のコンクリートと同様の圧縮強度と材料性状を有するため、幅広い構造物への適用が可能です。今後は、汎用性の高いコンクリート二次製品への適用を進め、コンクリート構造物の施工に使用することでCO2を固定化し、環境負荷の低減に貢献していきます。
大林組は、中期経営計画2022において、カーボンニュートラルなどの社会課題の解決につながる技術の獲得とソリューションの提供を推進しており、今後も再生可能な資源である木材の用途の拡大に取り組んでいきます。
- ※1 木質バイオマス
再生可能な生物由来の有機性資源(化石燃料は除く)であるバイオマスのうち、木材からなるもの。樹木の伐採や造材のときに発生した枝、葉などの林地残材、製材工場などから発生する樹皮やのこ屑などのほか、住宅の解体材や街路樹の剪定枝など - ※2 リグニン
紙の原料であるパルプの製造工程で発生する木材の約3割を占める主要成分の一つ - ※3 1kg当たり2.4kgのCO2
水分を完全に飛ばした粉体状のリグニンにおける炭素含有分析値から換算した試算値
以上
この件に関するお問い合わせ先
大林組 コーポレート・コミュニケーション室 広報課
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