国内初の国土交通大臣認定を取得した構造形式を用いた3Dプリンターによる建屋の建設に着手
3Dプリンターによる建築物の複層階化、大規模化の実現性を追求します
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プレスリリース
株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、セメント系材料を用いた3Dプリンターによる建築物として、国内初の建築基準法に基づく国土交通大臣の認定を取得した構造形式を用いた「(仮称)3Dプリンター実証棟」(東京都清瀬市 大林組技術研究所内)の建設に着手しました。
「3Dプリンター実証棟」の建設に関する特長は以下のとおりです。
国内で初めて地上構造部材を全て3Dプリンターにより建設
部材は基礎と屋上階の床版を除いて、外部で製作し組み立てるのではなく、建設地に3Dプリンターを据え付けてプリントします。床版もあらかじめプリントしたデッキを架設してから、スリムクリートを充填(じゅうてん)する構造形式のため、全ての地上構造部材を3Dプリントにて製造した国内初の建築物となります。さらに外部階段を設けるとともに、床版の施工後には、3Dプリンターを屋上階へ据え付けて、2階建てを想定した際の立ち上がり壁を模したパラペットの打込み型枠をプリントするため、技術的には複数階を建築できます。
3Dプリンターの特長を生かした曲面形状の構造床と複層壁を製作
床版は、複雑な曲面形状の部材を製造できる3Dプリンターの特長を生かし、床版に生じる力が分散するように、力の流れに沿った形状の突起(リブ)で補強しています。
また、空調、洗面、照明などの設備も実装するため、壁は構造体層と断熱層、設備層(ケーブル保護層(※3)や空調ダクト層(※4))からなる複層構造としています。3Dプリントによる躯体工事と同時に断熱、設備工事の一部を行うことで工期短縮および省力化を実現します。
(1階の床から天井を見上げた状態の図)
3Dプリンターによる施工に合わせた設計フローを整備
今回、建築・構造・設備の各設計と施工を連携するために、3次元で製造したモデルを一貫利用した設計・製作フローを構築するとともに、プリント経路の自動生成や傾斜部の積層性、障害物との干渉状況を確認するソフトウェアを開発しました。これにより、デザインされた形状に、建築物として必要な情報を付加し製作するまでの時間を短縮することができます。
大林組は、お客様の多様なニーズに応えるデジタルファブリケーション技術(※5)の一つとして、複雑なデザインや強度・耐久性を備えた構造物を実現できるセメント系材料を用いた3Dプリンター建設の研究をさらに進め、実用化をめざします。
- ※1 3Dプリンター用特殊モルタル
デンカ株式会社(本社:東京都中央区、社長:今井俊夫)が開発した特殊なセメント系材料を用いたモルタル「デンカプリンタル®」。建築物や土木構造物に必要な強度と耐久性を持つとともに、吐出直後でも形状が崩れることなく維持されるチキソトロピー性と呼ばれる性質があり、型枠を使わずに部材の製作が可能 - ※2 スリムクリート
大林組の保有技術である常温硬化型のモルタル材料で、圧縮強度180N/mm²、引張強度8.8N/mm²、曲げ強度32.6N/mm²を達成できる。さらに、引張強度や曲げ強度が高いだけでなく、高い引張靭性を有するため、単独でも構造体としての使用が可能な材料。スランプフローは600mm程度あり、自己充填性を有するため、3Dプリンター用特殊モルタルで製作した3次元曲面状の打込み型枠にも密実に充填できる - ※3 ケーブル保護層
ケーブル用配管として一般的な電気工事におけるPF管と同様の役割を果たし、設備増強や更新時も利用可能 - ※4 空調ダクト層
中空層に空調空気を通し、壁面を冷やす/暖めることで、壁面放射冷暖房が可能。今回は実験用空調として採用。3Dプリンター用特殊モルタルによる放射冷暖房の定量的な能力については継続検証予定 - ※5 デジタルファブリケーション
デジタルデータをもとに創造物を製作する技術のこと。3Dスキャナーや3D CADなどを使い、アイデアや個人の身体データなどをデジタルデータ化した上で、3Dプリンターやレーザーカッターなどのデジタル工作機械で読み込んで造形するシステム
以上
この件に関するお問い合わせ先
大林組 コーポレート・コミュニケーション室 広報課
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