電気バスの運行管理とエネルギーマネジメントの一体的なシステム開発

電気バス100台の運行管理の実現に向けて

プレスリリース

関西電力株式会社
大阪市高速電気軌道株式会社
株式会社ダイヘン
株式会社大林組
東日本高速道路株式会社

関西電力株式会社、大阪市高速電気軌道株式会社、株式会社ダイヘン、株式会社大林組、東日本高速道路株式会社は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「グリーンイノベーション基金事業/スマートモビリティ社会の構築プロジェクト」において、電気バス(※1)の運行管理と一体となったエネルギーマネジメントシステム(EMS)(※2)の技術開発を共同で応募し、このたび採択されました。

2022年度以降、大阪市高速電気軌道株式会社が電気バス100台を導入し、5社共同で運行管理や充電制御に関する実証実験を行うことで、2025年度の大阪・関西万博会場内外での電気バスの運行をめざします。また、万博閉幕後も大阪市内で運行を継続し、2030年度まで実証実験を行います。

電気バスを事業所に大量導入する場合、充電する時間帯が重複するため、事業所の電気設備や電力系統の増強が必要となる上、電気料金の上昇も懸念されます。

本取り組みでは、時々刻々と変化する運行計画を遵守しながら、充電のタイミングを考慮し、運行に必要となる量の充電を行います。

具体的には、電気バスの運行を管理するシステム(FMS)(※3)と電気の充電を制御するEMSを開発し、電気を使用する時間を分散させることで、最適なエネルギーマネジメントを実現します。

また、今回の技術開発では、公道にコイルを埋設するなど、実際の使用状況に近づけた環境下での使用を目的として、高規格道路(※4)を含む公道向けの走行中給電システム(DWPT)(※5)の開発にも取り組みます。

全体像

  • 「EMS×FMS」(電気バスの運行管理と一体となったエネルギーマネジメントシステム)を用いて、運輸事業者が事業所に電気バスを大量導入した場合の電力使用の負荷平準化や、再生可能エネルギーの有効活用を行い、効率的なエネルギー利用が可能な社会を実現
  • 走行中給電システム(DWPT)などの最先端の技術も導入し、カーボンニュートラルを実現できる持続可能なスマートモビリティ社会を構築

実証実験イメージ

各開発内容(一部抜粋)

①EMS開発 ②FMS開発 ③DWPT開発
・ 大量の電気バス導入時の充放電計画策定機能
・ FMS連携による運行計画取得機能
・ さまざまな充電方式(※6)との接続機能
・ 再エネの有効活用機能
・ 運行経路、乗降地点、運行時刻が定めなく、利用者の要望に応じて変わるオンデマンド型交通(※7)にも対応可能な運行管理機能
・ EMS連携による充電可能な経路情報などの取得機能(※8)
・ 機器コスト低減手法の確立
・ 高出力化・高速度化(※9)
・ 高速道路等を含む公道に適合した機器開発および埋設技術の確立

開発体制(コンソーシアム内における役割分担)

スケジュール

エネルギーマネジメントを行うメリット

  • 電気自動車や電気バスの運用には、日々の充電が必要不可欠であり、大容量の充電システムを使用すれば短時間での充電は可能
  • 一方で、大容量充電は契約電力を増大(基本料金の上昇)させ、電気料金の増加にもつながり、大規模な電気設備への投資とメンテナンス費用が必要となる場合もある
  • このため、エネルギーマネジメントにより、効率的な充電とコストの抑制の両立を実現する
  • ※1 電気バス
    路線バスおよびオンデマンドバスが対象
  • ※2 EMS
    Energy Management System。電気バスの効率的な充電と電気料金のコスト抑制を両立させる制御システム
  • ※3 FMS
    Fleet Management System。運行計画の作成や管理、車両の手配等を行うシステム
  • ※4 高規格道路
    高規格幹線道路と地域高規格道路の総称。自動車専用道路もしくはこれと同等の規格を有し、おおむね60km/h以上の走行サービスを提供できる道路
  • ※5 走行中給電システム
    電磁誘導の原理を用い、道路に埋め込んだコイルから電気バスに設置したコイルへ、無線で電気を送るシステム
  • ※6 さまざまな充電方式
    普通充電器、急速充電器、走行中給電システム(DWPT)
  • ※7 オンデマンド型交通
    一般的な路線バスと異なり、利用者の要望に応えて運行する乗合型の公共交通サービスの形態
  • ※8 経路情報などの取得機能
    埋設されたDWPTによる充電が可能な経路をEMSから取得する機能
  • ※9 高速度化
    DWPT上を走行中の車両の速度が上がっても充電できるようにすること

プレスリリースに記載している情報は、発表時のものです。