ハイブリッド木造建築の高品質・短工期を実現する「CLTユニット工法」を仙台梅田寮に適用
木材の加工からユニット据え付けまでをBIMで一元管理します
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プレスリリース
株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、ハイブリッド木造建築の施工にCLT(※1)をユニット化することで品質向上・短工期化を実現した「CLTユニット工法」を開発し、このたび自社の仙台梅田寮(所在地:宮城県仙台市青葉区梅田町)の新築工事に適用しました。
大林組は、持続可能な社会の実現をめざして、従来の構造より建築物施工時のCO2排出量が少なく、長期間にわたりCO2を建築物に固定できる木造・木質化建築に積極的に取り組み、建築物への木材利用のさらなる普及・促進を図っています。2022年3月には、日本初の高層純木造耐火建築物「Port Plus®(大林組横浜研修所)」を完成させるなど、これまで木造建築に関する技術開発やノウハウの蓄積を行ってきました。
そして、さらに汎用性の高いハイブリッド木造建築の施工において、構造材であるCLTパネルの壁と天井を工場でユニット化することで高品質かつ短工期での施工を実現する「CLTユニット工法」を新たに開発し、工事に着手しました。
従来、CLTパネルを用いた工法は、パネルを運びこんで現場で組み立てていましたが、本工法では、4tトラックに積めるサイズで設計されたCLTユニットを、あらかじめ工場で製作して現場に搬入することが可能となり、製作精度の向上による高品質化と現場施工手間の削減による短工期化を実現しました。また、本工事においては「CLTユニット工法」をより効果的に適用するため、木材の設計図から加工図までをBIMのワンモデルに取り込み、木工場においても図面を介さずにBIMデータから連携し自動加工する手法を取り入れています。
今般、木工場から搬入されたユニットを現場で据え付ける作業を開始しました。今後約120個に及ぶユニットを9月末までの間に据え付けていくことで、従来の鉄骨造と比較して約1.5ヵ月の工期短縮を実現します。そして、これらの取り組みを通じて、木材の集合住宅、ホテルなど同じ形状の部屋が連続する建物用途への適用拡大を図ることで、木造建築をより一層普及させます。
本プロジェクト主な特長は以下のとおりです。
「CLTユニット工法」により高品質化と1.5ヵ月の工期短縮を実現
本工法は、CLTパネルを工場で事前に組み立てて搬入することで、現場での作業はユニット同士の接合のみとなるため、鉄骨造と比較して1.5ヵ月、現地でパネルを組み立てる工法に比べて1ヵ月工期が短縮できます。
加えて、工場での組み立てにより高い品質を保てるだけでなく、現場作業員の省人化や工事中の騒音・振動の低減に寄与します。
また、通常、壁・天井・床で四方を囲う形とするユニットを、あえて壁と天井のみを組み立てた門型の形状とすることで、ユニットを4tトラックで運搬できるサイズ(幅:2,200mm、高さ:2,800mm、長さ:6,000mm)に抑え、大型車両が通行できない車両規制道路を利用した搬入を可能としました。
これにより、日本では道路運搬規制によって実現が難しいとされる、PPVC(※2)の実現に近づくだけでなく、ユニット工法が適している集合住宅やホテルなど、同じ形状の部屋が連続する建物用途への木材適用を後押しします。
本工法では、壁と天井パネルの接合には、木材をかみ合わせて接合する「あられ組」に、木栓をすることで緩みを防止し、より強固に結合させる「改良あられ組」を開発し導入しています。これにより、木材をつなぐ金物が不要となり、コストを削減できます。
ユニット加工や施工実績、出来高管理をBIMのワンモデルを介して実施
ユニット加工においては、BIMモデルと加工機をデータ連携させることで、製作図を介さず木材の加工を行います。現場の据え付けでは、ビジュアル工程管理システム「プロミエ」とクレーンを連携させることで、部材ごとの据え付け日程と施工実績を登録し、効率的な工程管理を行うだけでなく、BIMモデル内の数量情報と連携させ、出来高管理も行います。
環境に配慮した快適な居住空間を提供
仙台梅田寮の構造は、1階をRC造、2~3階を木造とした木造ハイブリッド構造としており、本施設全体で国産スギ材を925m³使用、これにより536t-CO2のCO2を建物のライフサイクルを通じて固定できます。
また、施設内は温かみのある木の住まいとすることで、利用者の健康と快適性を高め、癒しの空間を創造しており、ZEH、WELL認証の取得をめざしています。
施設概要
計画地 | 宮城県仙台市青葉区梅田町一丁目 |
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敷地面積 | 2,528.04m² |
延べ面積 | 3,677.47m² |
規模 | 地上3階建 |
構造 | 1階RC造(一部S造)、2・3階木造(一部RC造)、壁式構造 |
用途 | 寄宿舎 |
工期 | 2022年3月~2023年3月(予定) |
補助金 | 令和3年度サステナブル建築物先導事業(木造先導型) 令和3年度CLT活用建築物実証事業 |
- ※1 CLT(Cross Laminated Timber)
CLTは板の層を各層で互いに直交するように積層接着した厚型パネルのことで直交集成板ともいう - ※2 PPVC(Prefabricated Prefinished Volumetric Construction)
自立型ユニット(壁、床および天井の仕上げを含む)をオフサイトで製造し現場で設置する工法
工程が大幅にスピードアップするとともに、ほこりや騒音による汚染を最小限に抑えることができるなど、生産性を高める革新的な技術として注目されている
以上
この件に関するお問い合わせ先
大林組 コーポレート・コミュニケーション室広報課
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