コンクリート橋のPC桁拡幅工法「PCワイダー™」を開発
PC鋼材やコンクリートの数量低減により拡幅部分の重量を従来の60%に減少
-
プレスリリース
株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、コンクリート橋の拡幅工事で、PC鋼材やコンクリートの数量低減により拡幅部分の重量を従来の60%にできる新しい工法「PCワイダー™」を開発しました。
コンクリート橋の拡幅工事にて、既設部と拡幅部を一体構造とする際は、構造上、拡幅部に大きな引張力が生じてひび割れなどが発生します。そのため、床版とそれを支えるコンクリート桁に、あらかじめPC鋼材により圧縮する力(圧縮応力)をかけるプレストレストコンクリート(PC)が多く採用されていますが、従来の工法では、十分な圧縮応力を確保するために多くのPC鋼材が必要となり、桁も大型化していました。
今般開発した「PCワイダー」は、桁をU型のプレキャスト部材とし、床版との接合部にコンクリート使用量を低減できる「スリムファスナー®」を採用しました。その結果、PC鋼材やコンクリートの使用数量を低減することで桁と床版の重量を従来の約60%まで抑えました。加えて、桁と床版のプレキャスト化により、交通規制期間を従来の約30%まで短縮するとともに、材料の運搬にかかる車両数の縮減によるCO2排出量の削減など社会的影響を軽減できます。
PCワイダーの特長は以下のとおりです。
PC鋼材やコンクリートの使用数量を低減
プレキャスト部材であるU型の桁は、事前に圧縮力をかけるプレテンションと、桁の連結時にかけるポストテンションの2種類を場所によって使い分けることで、一般的な桁よりもPC鋼材を減らし、桁のサイズを小さくできます。また、既設床版との接合部には「スリムファスナー」を採用し、耐久性を確保するとともに、コンクリートの使用量を低減することで、拡幅部の重量を従来工法の約60%まで減少させ、荷重を支える既設下部工への影響を抑えることができます。
なお、工場で分割して製造したプレキャスト部材を現場に搬入して架設するため、架設機械を小型化することができ、PC鋼材やコンクリートの数量低減と合わせてコストダウンが図れます。
車線規制期間の短縮や搬入車両を低減
従来の工法では、拡幅部をコンクリート打設で施工する場合、打設後6ヵ月間程度の養生期間を確保してから接合部を施工していました。プレキャスト化することで、現場での打設作業が不要となり、架設後に連続して既設橋との接合作業に移行できます。そのため、車線規制期間を従来の約30%に短縮でき、道路利用者への負担を低減できるだけなく、鉄筋や生コンの材料を搬入する車両数を縮減することでCO2排出量削減にも寄与します。
さまざまなコンクリート橋に対する高い適用性
桁の小型化により、桁高の低い既設橋でも同じ桁高で拡幅が可能となるなど、多様な桁高や桁断面、構造形式に応用することができ、さまざまなコンクリート橋に適用できます。
今後、大林組は「PCワイダー」を、高速道路のインターチェンジやジャンクションの増築、車線数を増設する橋梁拡幅工事に適用することで、環境負荷を軽減し、交通への影響を最小限に抑えるとともに、施工コストの低減を図ります。
以上
この件に関するお問い合わせ先
大林組 コーポレート・コミュニケーション室広報課
お問い合わせフォーム
プレスリリースに記載している情報は、発表時のものです。