ウッドデザイン賞でPort Plusが優秀賞(林野庁長官賞)を受賞

市原ゴルフクラブ市原コースクラブハウス、ミヤリサン製薬坂城工場 厚生棟も入賞しました

サステナビリティ

2022年11月9日、ウッドデザイン賞2022の受賞者が発表され、ハートフルデザイン部門 建築・空間分野において、大林組が設計・施工した高層純木造耐火建築物「Port Plus 大林組横浜研修所」が優秀賞(林野庁長官賞)を受賞、「市原ゴルフクラブ市原コースクラブハウス」と「ミヤリサン製薬坂城工場 厚生棟」が入賞しました。

ウッドデザイン賞は、一般社団法人日本ウッドデザイン協会が主催となり、木で暮らしと社会を豊かにするモノ・コトを表彰しています。第8回を迎える今回から、建築・空間、技術・建材、木製品、コミュニケーション、調査・研究の5つに応募分野を拡充し、地域活性化や新しいライフスタイルの提案、脱炭素社会へのシフトといった社会課題の解決に貢献する作品を選出しています。

応募総数330点の中から188点が入賞し、最優秀賞、優秀賞、奨励賞など上位賞28点が選ばれました。

優秀賞(林野庁長官賞) 【ハートフルデザイン部門 建築・空間分野 】

Port Plus 大林組横浜研修所

2022年に完成した大林組の次世代型研修施設で、日本初の高層純木造耐火建築物です。地上構造部材(柱・梁・床・壁)をすべて木材とし、国内最高となる高さ44m(11階建て)を実現しました。

柱・梁を組んで一つの単位として考え、木の性質も考慮し部位ごとに材料を使い分けています。S(鉄骨)造やRC(鉄筋コンクリート)造の構造形態を木に置き換えるのではなく、木造だからこその構造形態を探求した独自性のある木造建築となっています。

日常に自然を取り入れるバイオフィリックデザインとIoTを融合させ、健康増進と知的生産性向上を目的に「これからの知を育む場」を創出しました。環境に配慮したデザインは建築の計画や木材利用に限らず、家具や消耗品に至るまで徹底しています。

今回の受賞では、木造躯体を外からでも見える構造にすることで木造建築物のインパクトを訴求するとともに、利用者にウェルビーイングをもたらす空間提案や効果分析を行うなどの先端的な取り組み、五感や感性を刺激する樹種の活用やデザインの工夫が高く評価されました。

RC造に比べCO2を70%削減。木材利用の可能性を示した
(撮影:エスエス 走出直道)

入賞 【ハートフルデザイン部門 建築・空間分野】

市原ゴルフクラブ市原コースクラブハウス

1973年に完成したゴルフクラブハウスを、現代の社会背景も加味した一棟に建て替えました。外観は独創的な1枚の大屋根をかつての山の稜線をなぞるようにデザインし、天井の木羽目板が来場者を優しく包み込みます。

大屋根を構成する垂木のような梁は、「鋼+木のハイブリッド梁」の意匠仕上げとし、建築・構造デザインの一体化と木材利用促進の両面からアプローチしました。

コース側の外装はガラスカーテンウォールを採用し、屋内外がシームレスにつながった空間を実現することで、自然とともにあるクラブハウスでの体験を利用者に提供します。

鋼+木のハイブリッド梁を屋根形状に沿って連続して配置し、ダイナミックな空間を実現した。2022年完成(撮影:エスエス 走出直道)

ミヤリサン製薬坂城工場 厚生棟

長野県埴科郡の製薬工場敷地内に、従業員のための施設が完成しました。かつて植えられていた小さなシンボルツリーが成長し、自然と人が集まる憩いの場「大きな木の下」がコンセプトになっています。

自然素材である木材を使用することで、日々集中力を要する従業員のウェルビーイングの実現に大きく寄与する空間としました。

木架構である大断面集成材、180席の木材家具は、ともに計画地の近県産のものを採用し、近隣地域内で伐採、製材・加工、消費を完結させることで、製造時や輸送時のCO2排出量および地産地消に配慮しました。

大樹が枝を大きく伸ばしたような無柱大空間を実現。食堂としても使われるくつろぎの場。2021年完成(撮影:千葉顕弥)

大林組はこれからも森林資源と経済の循環や国産木材の活用による低炭素化、環境保全による持続可能な社会の構築をめざすとともに、木のある豊かな暮らしの普及・発展に貢献してまいります。