「GREEN SPRINGS」と「JR熊本駅ビル」が屋上・壁面緑化技術コンクールで国土交通大臣賞

サステナビリティ

公益財団法人都市緑化機構が主催する「第21回屋上・壁面緑化技術コンクール」において、大林組が施工した「GREEN SPRINGS」(東京都立川市)が屋上緑化部門にて、「JR熊本駅ビル」(熊本県熊本市)が壁面・特殊緑化部門にて、それぞれ国土交通大臣賞を受賞しました。

2002年に創設された同コンクールは、都市環境の改善と豊かな都市生活の実現をめざし、これまで緑化が困難とされてきた屋上や壁面などの特殊空間の緑化に積極的に取り組み、優れた成果を上げている企業、団体などを顕彰するものです。

屋上緑化部門 国土交通大臣賞
GREEN SPRINGS

約1ヘクタールの広場に各施設が面し緑豊かな屋外とつながる縁側空間を創り出している

GREEN SPRINGSは、JR立川駅北側の国営昭和記念公園と多摩モノレール線の間にある複合施設です。2階の人工地盤に圧倒的な緑と水に囲まれた約1ヘクタールの広場を設けることで、都心では真似のできない環境価値の最大化を実現しました。

ランドスケープデザインがめざしたのは、都市の中に自然を取り戻し、地域への愛着と誇りが感じられる環境を創出することでした。

緑化のデザイン検討は、立川の地勢と地歴をひも解くことからはじめ、過去と未来が交差するランドスケープを緑と水のつながりで表現しようと試みました。

玉川上水のせせらぎや川面のきらめきを再生した120mに及ぶ「カスケード」は、地域の人々に馴染みのある景観を創り出しています。

屋上広場の中央にある「ビオトープ」は、多摩川の湾処(わんど)環境を再現し、絶滅危惧種の水生植物を保全することで、子どもたちが地域の環境について学べるフィールドにもなっています。

(撮影すべて:根本健太郎写真事務所)

カスケードには水辺とのつながりを分断する柵を設けていない
ビオトープは敷地内の雨水を循環させて維持している

【第21回屋上・壁面緑化技術コンクール 国土交通大臣賞 受賞概要】
部門名:屋上緑化部門
作品名:GREEN SPRINGS
受賞者:立飛ホールディングス、立飛ストラテジーラボ、ランドスケープ・プラス、山下設計、大林組、日比谷アメニス

壁面・特殊緑化部門 国土交通大臣賞
JR熊本駅ビル

3階から望む立体庭園。豊かな植栽と壁面緑化、滝落ちが自然に近い空気の流れを生み出している(撮影:雁光舎)

JR熊本駅ビルは、九州の主要駅の一つである熊本駅前にある商業施設です。石壁の壁面緑化と各階に階層状につながる屋内緑化、室内滝が「立体庭園」を構成しています。

阿蘇地方に特有の自然のエッセンスを取り入れることで、まるで森林浴をしながら買い物や飲食を楽しめる空間を創り出しました。

立体庭園の中には約50種類もの植物が生育し、実際に熊本の山中に自生するものも多く含まれます。幅10m・高さ10mの滝が3階から地上階へと流れ落ち、1階には滝つぼを取り囲むように屋内緑化を設けています。

1階以外にも、3・5・7階にまとまった「緑の滞留空間」があり、高さ30mの石壁と一体になった壁面緑化は地上から7階まで貫かれ、吹き抜け空間を垂直につないでいます。

多くの利用者が行き来する駅のパブリックスペースにおいて、自然とつながる建築を実現することで、人々に健康と幸福を与えるバイオフィリックデザインに取り組んでいます。

滝の音を聞きながら緑の中で遊ぶ子どもたち(撮影:雁光舎)
石壁に自然に生えたかのような壁面緑化を実現(撮影:KOOKI)

【第21回屋上・壁面緑化技術コンクール 国土交通大臣賞 受賞概要】
部門名:壁面・特殊緑化部門
作品名:JR熊本駅ビル
受賞者:九州旅客鉄道、JR熊本シティ、日建設計、大林組、安藤造園土木、グリーバル

これからも大林組は、都市緑化の推進や生物多様性の保全などに役立つ技術開発に努め、人と自然が共生する新たな街づくりに貢献してまいります。