第12回大林賞を受賞したオードリー・タン氏の受賞記念レクチャー動画を掲載しました

サステナビリティ

公益財団法人大林財団(理事長:大林剛郎〔大林組 代表取締役会長〕)は、隔年で顕彰事業「大林賞」を実施しています。都市が抱える諸問題の解決に多大な貢献があった研究者をはじめ、都市のあり方や将来像に画期的な指標を与えた者、それを実践した者の功績を称えます。

第12回(2022年)の受賞者は、プログラマーであり台湾デジタル担当大臣を務めるオードリー・タン氏に決定。このたびオードリー・タン氏から「Global Classroom」と題した受賞記念のレクチャー(動画)をいただきました。新型コロナウイルスの状況を鑑み、受賞者の来日、授賞式・受賞記念講演&シンポジウムの開催を見合わせたため、これらの記念イベントに代えて動画を公開いたします。

第12回大林賞 受賞記念レクチャー「Global Classroom」

動画「第12回大林賞受賞者(2022年)オードリー・タン氏受賞謝辞」[大林財団/顕彰事業] (再生時間:19分25秒)

授賞理由

オードリー・タン氏は、台湾が新型コロナ禍で深刻なマスク不足に見舞われる中、政府が国民に供給するマスクの最新の在庫情報をグーグルマップ上に示し、限られたマスクの適切な供給を可能にしたアプリ「マスクマップ」の開発を主導するなど、デジタル担当大臣として、デジタル化やIT政策などに貢献されました。

「マスクマップ」は都市空間に情報空間を重ね合わせることによって、必要物資の供給力向上、感染症対策等に新たな地平を開きました。

ITによって市民行動などを極度に管理するのではなく、匿名性を確保しつつ、都市における危機管理を進める上で新たな可能性を示された氏の功績は、本財団設立の趣旨にかない大林賞の授賞に値するものと考えます。

受賞者について

オードリー・タン
ソーシャル・イノベーション担当デジタル大臣(台湾)

オードリー・タン氏は、コンピューター言語である Perl と Haskell を再活性化させ、同時にダン・ブルックリン氏と共同でオンライン・スプレッド・シートである EtherCalc を構築したことで知られています。

公共部門においては、台湾の国家発展委員会のオープンデータ委員会委員および国民基本教育(小学校から高等学校まで)のカリキュラム委員会の委員を務め、台湾の歴史上初の試みであるネット規則制定プロジェクトを主導しています。

民間部門においては、アップル社でコンピューター言語について、オックスフォード大学出版局とは集合辞書編集について、ソーシャルアルテクスト社とは社会的相互デザインについて、コンサルタントとして仕事をしていました。

社会的部門では、"fork the government."(政府の再構築)を合言葉に、市民社会実現のための創造的ツールに焦点を当てた活気あるコミュニティである g0v(ガバメント・ゼロ)に積極的に貢献しています。

※役職は受賞時のものです

大林財団について

都市に関する学術研究に対する助成を主に行う公益財団法人。人々に「豊かな生活」をもたらす「都市づくり」の実現のためには、都市の構造、機能、文化や環境は、どうあるべきかについて研究を進めることが必要であり、このためには民間からの重点的な研究支援が不可欠であると考え、当財団を設立しました。

都市に関する計画、景観、環境、交通システム、都市建築史、都市と文化、都市政策などについての独創的な研究に助成する研究助成事業や、アーティストが都市をテーマに研究・考察する活動を支援する制作助成事業などを行っています。