大林組林友会教育訓練校にO-DXルームを新設、VRによる技能者教育を開始

DXを活用した教育により技能者の技術力向上と建設産業の担い手を確保します

サステナビリティ

大林組は、建設技能者の技能およびコミュニケーション向上のためにVR(Virtual Reality:仮想現実)技術を活用した玉掛け作業(※1)のトレーニングコンテンツを作成し、「大林組林友会教育訓練校」(埼玉県八潮市)内に新設した「O-DXルーム」で技能者の教育を開始しました。

VR技術を用いた玉掛け作業トレーニングの様子

本教育コンテンツの特長は以下のとおりです。

  • 建設業界初のマルチプレイ(メタバース)を活用した玉掛け共同作業を実現
  • 5人同時に、クレーンオペレーターを含めた異なる役割の体験が可能
  • 決まったシナリオではなく、物理シミュレーションを駆使した自由な玉掛け作業により、実際に近い体験が可能
  • すべての行動を保存し、行動履歴を再現する、振り返り確認が可能
玉掛け作業のVRイメージ

5人同時に、仮想の工事現場での作業を体験することで、作業員間の施工手順の共有や危険箇所の確認、声がけ・合図などのコミュニケーションといった、安全行動の重要性を認識できます。また、体験後は、録画した体験の様子を俯瞰的に見ることで、作業が適正だったかどうかを振り返り学習することが可能です。

建設産業では、就業者の高齢化などによる担い手不足に対応するため、生産性向上に伴う省人化や労働環境の改善などが課題となっています。大林組では、2014年に技能者を対象にした教育訓練校を設置し、スーパー職長候補の技能者育成や若手技能者への技術伝承を手がけており、累計で153人(短期コースまで含めると500人を超える)の修了者を輩出しています。

研修カリキュラムに、O-DXルームを使用したVRコンテンツが追加されたことで、受講者の習熟度・技術力のさらなる向上が期待できます。

5人同時での玉掛け作業体験を実現
VR空間上での玉掛け作業
体験者が見ているVRゴーグルの映像
手合図をVR空間上で再現可能

将来的には、林友会と協働して、遠隔地でのVRコンテンツを活用した教育訓練を開催し、遠方にいる技能者の技術向上に貢献します。また、本訓練をきっかけに、技能者が多様な技能を身に付け(多能工化)、リスキリングを推進することで、建設産業の担い手不足の解決につなげます。

  • ※1 玉掛け作業
    荷物をクレーンで吊り上げる際、クレーンと荷物を緊結する作業のこと