建物の施工段階のCO2排出量を予測するシステム「カーボンデザイナー®」を開発

技術・ソリューション

大林組は、建物の計画初期段階で、施工段階のCO2排出量を容易に試算できる、CO2排出量予測システム「カーボンデザイナー®」を開発しました。2050年のカーボンニュートラル実現に向け、建設中のCO2排出量の把握と削減策の検討は、施工者のみならず事業者にも大きなメリットとなります。

「カーボンデザイナー」の概要を動画でご覧いただけます。

(動画再生時間:37秒)

従来のCO2排出量算定システムは、必要とする入力項目数が多いことや、入力値が計画初期段階では未確定なため、計画がある程度進まないと試算できないなどの課題がありました。

今回、大林組が開発したカーボンデザイナーは、建物の計画初期段階で分かる項目を入力するだけで、施工段階の燃料、電力といったScope1(※1)、Scope2(※2)のCO2排出量を表やグラフで可視化します。また、通常の燃料、電力、資材の使用から低炭素型資材を使用した場合の削減効果も分かります。

カーボンデザイナーのCO2排出量試算の仕組みと特長は以下のとおりです。

大林組の豊富な施工実績と公的データからCO2排出量を算出

カーボンデザイナーは、大林組の豊富な施工実績のCO2排出量や躯体材料などのデータを基に、工事請負金額当たりのCO2排出量を試算します。また、施工後の運用段階については、公表されている建物用途ごとの排出原単位(※3)に基づいた試算が可能です。

少ない入力項目でCO2排出量を予測し、低炭素型資材に変更した場合の効果も試算

カーボンデザイナーに入力する項目は、「工事名称」「工事請負金額」「延床面積」「建物用途」「工期」の5項目です。5項目のみで、施工段階でのCO2排出量を予測し、表やグラフで出力します。

また、大林組の低炭素型コンクリート「クリーンクリート®(※4)」をはじめとした低炭素型資材を使用した場合のCO2排出量を試算することも可能です。

カーボンデザイナーの仕組み

【出力イメージ】

■施工段階の燃料・電気由来のCO2排出量を月単位で試算

■低炭素型資材などの使用によるCO2排出量削減効果を試算

大林組は、カーボンデザイナーの適用範囲を広げるとともに、今後は建物運用における、省エネ効果の高い設備の導入など脱炭素投資に応じたCO2削減効果の可視化ツールの開発を行う予定です。

建物の計画段階から、CO2排出量削減に取り組みやすい環境を提供することで、カーボンニュートラルの実現に貢献していきます。

  • ※1 Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出
  • ※2 Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
  • ※3 公表されている建物用途ごとの排出原単位
    (一社)日本ビルエネルギー総合管理技術協会による「建築物エネルギー消費量第43報」に基づく
  • ※4 クリーンクリート
    セメントの一部をCO2排出量の少ない高炉スラグ微粉末などの産業副産物に置換することで、一般的なコンクリートに比べてCO2排出量を最大80%程度低減させるコンクリート