製造時のCO2排出量を約60%削減した低炭素型地盤改良用グラウト材「Infill Hard Geo™」を開発

地盤改良・液状化対策の脱炭素化に貢献

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、株式会社大阪防水建設社(本社:大阪市天王寺区、社長:宇賀良太)、富士化学株式会社(本社:大阪市都島区、社長:河本嘉信)と共同で、芝浦工業大学の稲積真哉教授による指導のもと、グラウト材に使用されるコロイダルシリカ(※1)を工場生産から天然由来のものに置き換えることで、同等の性能を保ったまま、製造時のCO2排出量を約60%削減することが可能な低炭素型地盤改良用グラウト材「Infill Hard Geo(インフィルハードジオ)」(※2)を開発しました。

開発の背景

2050年のカーボンニュートラル実現に向け、建設業界では建設資材の脱炭素化を進めています。大林組と大阪防水建設社、富士化学の3社は、地盤改良・液状化対策の脱炭素化をめざし、天然由来のコロイダルシリカを使用した低炭素型地盤改良用グラウト材の共同開発を進めてきました。

天然由来のコロイダルシリカは、地熱発電で利用される熱水中のシリカ粒子と不純物が結合し、個体(スケール)となったもので、発電設備の揚水用配管に付着し発電効率を妨げることから、定期的に除去・回収されていました。回収したコロイダルシリカは、これまで化学製品や鋳物などの用途で使われてきましたが、さらなる用途の拡大が期待されています。

天然由来コロイダルシリカ

本技術の特長

製造時のCO2排出量を約60%削減

地盤改良用グラウト材はA液(水ガラス系材料・水)とB液(コロイダルシリカ・反応剤・水)を配合することで製造します。このB液に含まれるコロイダルシリカを、工場生産から天然由来に置き換えることで、製造時のCO2排出量を約60%削減することが可能です。
具体的には、地盤改良対象の土量が10,000m3の場合、一般的な注入率によるグラウト材注入量は4,050kLで、製造時のCO2排出量は、従来製品では1,308t、Infill Hard Geoでは563tとなり、745t(約60%)のCO2排出量が削減できます。

従来製品と同等の性能を発揮し、同程度のコストで製造が可能

Infill Hard Geoで改良した土の一軸圧縮強さは0.20N/mm2以上(28日後)および0.30N/mm2以上(300日後)と従来製品と同等であり、長期的な強度増加も見込めます。透水係数は1.0×10-9~10-10m/secと十分な止水性を有し、pH試験、有害金属分析試験および生物急性毒性試験においても安全性に問題がないことを確認しています。また、コストは、従来製品と同程度です。

今後の展望

Infill Hard Geoは、構造物やタンクなどの基礎の耐震補強、港湾や河川構造物の液状化対策で使用することができ、これまで、石油精製施設(三重県)の護岸耐震補強工事など、3件の施工実績があります。今後、施工を大阪防水建設社、製造・販売を富士化学の体制で外販も行う予定です。

大林組は低炭素型の地盤改良材として、建設発生土や汚泥の改質に適した「バイプロジオ®L」、浅層改良用の「バイプロジオ®C」、深層改良用の「クリーンクリートジオ™」といったセメント系固化材も開発しています。今後はInfill Hard Geoも含めたラインアップで、さまざまな用途に対応した低炭素型の地盤改良材の提案を積極的に行い、安全・安心なインフラ整備とカーボンニュートラルに貢献します。

  • ※1 コロイダルシリカ
    粒径100nm以下のコロイド状シリカ粒子を高濃度で含む水分散液
  • ※2 Infill Hard Geo(インフィルハードジオ)は、大阪防水建設社のグループ会社であるユージーテック(株)の商標です

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 コーポレート・コミュニケーション室広報課
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