中規模ビルのZEB達成の可能性を容易に判断する「ZEB conductor™」を開発

ソリューション/テクノロジー

大林組は、最適な省エネ手法の組み合わせとコストを導き出すシステム「エコナビ®(※1)」の情報を使って、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)達成の可能性を容易に判断できる「ZEB conductor(ゼブコンダクター)」を開発しました。

2050年のカーボンニュートラル実現に向け、建築物の省エネルギー化、脱炭素化の必要性は高まっており、特に中規模オフィスビルではZEB Ready(※2)認証が求められるケースが増えています。

ZEB認証取得に係る申請では、建築物省エネ法で規定された「標準入力法(※3)」を用いて省エネルギー性能を算出することが一般的ですが、建築・設備の設計図書から外皮性能(※4)や全室の床面積、設置されている設備機器などの情報を抽出し、計算プログラムに取り込むための入力シートを手動で作成するなど、多大な時間と労力がかかります。そのため、さまざまな省エネ手法の組み合わせについて、コストとZEB達成の可能性を検討するには、申請以上に多大な時間と労力を必要としています。

そこで、エコナビから算出される情報を利用し、ZEB達成の可能性を検討できるZEB conductorを開発しました。

エコナビとZEB conductorの連携
ZEB conductorの操作パネル。エコナビから算出した情報を入力データとしてZEB達成の可能性を算出

ZEB conductorの特長は以下のとおりです。

さまざまな省エネ手法をエコナビで容易に検討

今回開発したシステムの基盤部分となるエコナビは、約100種類の省エネ手法を任意に組み合わせることができます。また、基準階平面図と立面図程度の初期情報で設備機器容量を求めることが可能で、各手法のコストも算出できます。

ZEB達成の可能性を正確に評価

エコナビで算出された情報から、標準入力法による計算に必要な入力シートを自動生成します。これは実際のZEB申請と同じ仕組みであることから、ZEB達成の可能性を正確に評価します。

現在、ZEB conductorは延床面積8,000m²以下の中規模ビルを対象にしていますが、今後は対象を拡大する予定です。

大林組は、ZEB conductorの活用により、お客様のZEB達成に向けて、最適な省エネ手法の組み合わせや適切なコストの提案を行うとともに、省エネルギー性能に優れた建築物を提供することで、カーボンニュートラルの実現に貢献していきます。

  • ※1 エコナビ
    建築の基本計画段階において各種省エネ手法の組合せを任意に選択し、建物全体のシミュレーションができるソフト。建築システム、空調システム、衛生システム、電気システムの全体を地球環境、室内環境、経済性、エネルギーの観点から総合評価して、費用対効果の高い最適な省エネ手法の組み合わせを短期間で選定できる
  • ※2 ZEB Ready
    年間の1次エネルギー消費量が正味ゼロまたはマイナスの建築物であるZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)を見据えた先進建築物として、エネルギー消費量を50%以上削減した建築物
  • ※3 標準入力法(WEBPRO)
    省エネルギー基準に準拠した省エネ評価方法の一つで、簡略化された「モデル建物法」よりもより精緻な評価が可能。空調対象室ごとの外壁・窓面積データに加え、空調・換気・照明・給湯・昇降設備の設備仕様に関する消費電力を入力する必要があるため、入力に手間と時間がかかる
  • ※4 外皮性能
    建物の内部と外部を分けている境界(外壁、床、天井、屋根、窓、玄関など)の断熱性能