2024年度エンジニアリング功労者賞を受賞

サステナビリティ

7月22日、第一ホテル東京(東京都港区)で、2024年度「第44回エンジニアリング功労者賞」の表彰式が開催され、大林組は国際貢献部門でカンボジア国道5号線改修が、中小規模プロジェクト枠部門で耐火被覆吹付けロボットと現場ロボット溶接工法が表彰されました。

エンジニアリング功労者賞は、エンジニアリング協会が主催し、エンジニアリング産業の発展に著しく貢献したグループ(チーム)や個人を表彰しています。今年度は22件が選ばれました。

表彰状を授与されるカンボジア国道5号線改修プロジェクトチーム

エンジニアリング功労者賞

国際貢献部門

カンボジア国道5号線改修プロジェクトチーム

カンボジアの主要幹線(アジアハイウェイ1号線)であるカンボジア国道5号線の既存道路改修および拡幅工事を行いました。全工事区間366kmのうち、大林組は中央区間のプルサット州からバッタンバン州にまたがる47kmを担当しました。

200万m3を超える道路土工に加え、橋梁、路盤、舗装などの付帯工事一式を含む大規模工事を実施。国道交通の維持のため、全線う回路を整備し、第三者への安全確保や近隣住民への環境対策に十分配慮しながら、国道の4車線化を実現しました。

現地スタッフにOJT形式での職場内訓練を行うことで技術力の向上を図り、安全に工事を完了させました。

洪水や新型コロナウイルス感染拡大の影響もありましたが、輸送能力の増強と物流の円滑化に貢献する高品質な道路を、予定より1ヵ月前倒して開通させた点が高く評価されました。

完成した道路橋
完成した道路

中小規模プロジェクト枠部門

耐火被覆吹付けロボット開発チーム

鉄骨造の建築物では、鉄骨部材の火災損傷を防ぐために、鉄骨表面に耐火被覆処理を施します。耐火被覆工事で主に採用される半乾式吹付けロックウール工法(※1)は、吹付け時に被覆材(ロックウール)が飛散・浮遊するため、当該作業に関わる建設技能者(吹付け技能工)は、防護服や防じんマスクの着用が必要となります。夏場をはじめとする過酷な環境下での苦渋作業が、吹付け技能工不足の主な要因になっています。

大林組は、耐火被覆工事における技能工不足の解消を目的として耐火被覆吹付けロボットを開発しました。走行装置、昇降装置、横行装置、ロボットアームで構成されるロボットは、あらかじめ登録した作業データにしたがって現場内を走行・所定位置に停止し、自動で鉄骨梁の吹付け作業を行います。

2019年より建設現場への適用を開始し、ロボットによる施工面積は延べ1万7,000m2超です。耐火被覆吹付けロボットを広く普及させることで業界全体の技能工不足に対応し、持続可能な建設産業の実現への貢献が期待できる点が評価されました。

耐火被覆吹付けロボットでの施工システム
都内の建設現場に導入した耐火被覆吹付けロボットでの吹付け状況(動画再生時間:31秒)
  • ※1 半乾式吹付けロックウール工法
    ロックウールとセメントスラリーを吹付けノズル先端部で混合しながら鉄骨面に付ける耐火被覆工法

現場ロボット溶接工法開発チーム

現在建設中の新香川県立体育館(仮称)は、メインアリーナ、サブアリーナおよび武道施設兼多目的ルームの3施設で構成され、完成後は中四国最大級のアリーナとなる予定です。

メインアリーナとサブアリーナの正円型のドームを保持するテンションリング(水平鋼管)(※2)の溶接には、大林組のロボット溶接技術を適用しました。大林組では、以前から鉄骨造建築物における柱・梁の現場溶接作業のすべての自動化を可能としていましたが、本工事にて水平鋼管の全周溶接技術を新たに開発しました。

これにより、従来は厳しい姿勢で長時間にわたり多数の熟練技能者を必要とした作業を省力化し、海岸沿いで風の強い建設地における作業のリスク低減にも寄与した点が評価されました。

  • ※2 テンションリング
    引っ張りリングともいい、シェル構造の外周に設け、断面内に引っ張り応力を生じる環状の部材
外周のテンションリングでアーチ効果を利かせた構造
現場でテンションリングを溶接。省力化と接合部の高品質化を実現した

大林組は、これからも技術と知恵を結集したエンジニアリングによって、国内はもとより海外においても安全に安心して暮らせる街づくりに努め、社会的課題の解決に貢献していきます。