PCa部材製作図の自動チェックシステムを開発

図面の整合性確認を自動化し、約20%の省力化と品質向上を実現します

技術・ソリューション

大林組は、プレキャストコンクリート(PCa)工法(※1)に用いるPCa部材の製作図を自動でチェックするシステムを開発しました。本システムにより、従来は多くの時間を要していた目視による図面の整合性確認作業を省力化し、生産性向上と品質確保を実現します。

開発の背景

従来、建設現場では、設計図を元に多種多様で詳細な部材製作図・施工図を作図し、それらに基づいて資材の製作や現場での施工を行っています。各図面については、設計図との整合性をはじめ、図面間に齟齬(そご)がないかなどを一つひとつ確認する必要があります。

特にPCa部材は、構造、意匠、設備など非常に多くの要素を含んだ部材であり、そのチェック項目は多岐にわたり、多くの確認時間と手間がかかります。

さらに、PCa部材は製作図通りに製作されるため、図面にミスがあると現場での組み立て上の不具合や品質不良に直結し、その是正に多大な時間とコストなどが発生します。

こうした課題を解決するため、大林組は正確な図面チェックと省人化の両立を目的として、LRV工法(※2)などで使用するPCa部材製作図を対象に、自動でチェックするシステムを開発しました。

PCa部材(柱)のチェック箇所例

特長

CADで作成した製作図を自動チェック

本システムは、CAD で作成したPCa部材製作図について、設計図や図面同士の整合性を自動で確認するWebアプリケーションです。あらかじめ設計情報をシステムに登録し、チェック対象となる製作図をアップロードすることで、システムが自動で図面を照合し、チェック結果を出力します。

アップロードされた製作図からは、部材寸法や鉄筋本数、かぶり厚さ(コンクリート表面から内部の鉄筋表面までの距離)など、必要な数値や項目が自動で抽出され、設計情報と比較することで、図面間の不整合を検出します。

【システム概要】

設計情報と部材製作図をWebブラウザ上から本システムに入力し、自動チェックを実施。整合箇所は青、不整合箇所は赤で表示されます

【入力から出力までの流れ】

図面チェック業務全体の約22%を省力化

地上28階建て、基準階面積約2,500m²の建設現場における実施では、約2,300枚の図面が作成されました。図面チェックに要する作業量は約1,000人日に上がりますが、本システムを活用することで、チェック項目の一部を自動化することが可能となり、約220人日分の作業が削減され、全体の約22%に相当する省力化効果を確認しました。

構造関連チェック業務の約86%を自動化

特に、柱や梁などの躯体構造に関わる鉄筋本数やかぶり厚さなどのチェック項目については、高い自動化率を実現しています。具体的には、柱で99.4%、梁(単梁)で90.1%、梁(その他)で69.8%を自動チェックでき、構造関連のチェック業務全体では約86%の省力化効果が得られました。

これにより、建設現場における図面のチェック業務の効率化が進み、施工計画の高度化や品質向上など、生産性向上につながる付加価値の高い業務に注力できる環境が整います。

今後の展望

大林組は、本システムをPCa工法にとどまらず、他の工法や工種にも順次展開していく予定です。今後もデジタル技術を活用した業務の省人化・高度化を推進し、建設現場における生産性向上と品質確保の両立を図ることで、建設業全体の持続的な発展に貢献していきます。

  • ※1 プレキャストコンクリート(PCa)工法
    工場製作したコンクリート製の部材を用いて構造物を組み立てる建設方法
  • ※2 LRV工法
    鉄筋コンクリート(RC)造において柱や梁の部材を工場で製作し現場で組み立てるプレキャスト化工法。建設現場でのコンクリート打設を低減することで、超短工期施工を実現する大林組開発技術