自動運転の安全を道路側から支える路車間通信技術を開発

信号機のない横断歩道で歩行者と車両の双方に注意喚起

技術・ソリューション

大林組は、自動運転車両の社会実装を見据え、信号機のない横断歩道において、道路インフラ(※1)側から歩行者と車両の双方に注意喚起を行う安全支援技術(特許出願中)を開発しました。本技術は、道路インフラ側で歩行者の存在および車両の接近を検知し、路車間通信(※2)により双方へ情報を伝えることで、自動運転車両単独では把握が難しい状況を補完するものです。

現在、自動運転の実用化に向けた取り組みは日本各地で進められており、今後の社会実装に向けて、車両側のシステム高度化に加え、道路インフラ側からも安全な運行を補完する技術の重要性が高まっています。

大林組は、こうした動向を踏まえ、将来の自動運転社会を支える道路空間のあり方を検討してきました。その一環として今回、道路インフラ側にセンシング機能と通信機能を付加することで、道路インフラと車両が連携して安全性を高める路車協調型技術を開発しました。本技術は、大林組が推進する道路・モビリティインフラ構想「e-MoRoad®(※3)」の実現に向けた取り組みの一つで、車両の自律的な判断を補完し、人と車両がより安全に共存できる交通環境づくりを目指しています。

システム構成

本技術は、信号機のない横断歩道周辺に設置する人感センサー、ビーコン発信器(近距離無線通信)、車載表示器、路面表示器で構成されます。横断歩道付近に設置した人感センサーが歩行者を検知すると、その情報をビーコン信号により車載表示器へ伝達し、車両側に歩行者の存在を知らせます。また、自動運転車両の接近を検知すると、横断歩道近くの路面表示器へ伝達し、歩行者に知らせます。

大林組がシステムの全体構想を立案し、専門技術を有する企業と連携して開発しました。

技術・役割 会社名
システム全体構想 大林組
センサー アカサカテック
通信機 セイコーインスツル、ジークス
車載表示器 ジークス
通信インフラ 朝日機器
表示器 豊田中央研究所、古河電気工業
人感センサーが横断歩道付近の歩行者を検知し、車載表示器に「歩行者が前方にいます。停止してください」と表示する仕組み
自動運転車両への伝達イメージ図
路面表示器が横断歩道付近の歩行者に対して、接近する車両への注意を喚起する仕組み
歩行者への伝達イメージ図

システムの特長

本システムの特長は、道路インフラ側から歩行者情報と車両接近情報を補完できる点です。見通しの悪い場所や、夜間・悪天候など歩行者と車両が互いを認識しにくい状況でも、道路インフラ側から早期に情報を伝えることで、車両側の減速・停止判断や、歩行者側の無理な横断の抑制につなげます。また、人感センサーやビーコン通信などの汎用技術を組み合わせて構成しているため、専用設備を整備する場合に比べて導入コストを抑えることができ、既存の道路設備にも導入しやすくなっています。

本システムで想定したレベル2(※4)の自動運転車両では、車載表示器の注意喚起によりドライバーの判断を補完しますが、将来的には自動運転制御と連携し、車両の減速、停止、発進の指示を可能とするシステムに発展させます。

今後は、信号機の設置が難しい生活道路や施設内道路などでの活用を見据え、引き続きセンサーや通信機器の設置条件、検知精度、通信安定性、情報表示の方法などについて検証を重ね、より実用性の高いシステムへと高度化していきます。将来的には、自動運転車両の社会実装を支える基盤技術として進化させ、地域交通における移動手段の確保や運転手不足への対応などの社会課題の解決に貢献していきます。

大林組は、モビリティ変革の先にある未来社会を見据えた道路インフラ構想「e-MoRoad」の実現に向け、多様なパートナーと協業しながら、新たなインフラ技術の開発を進めます。

  • ※1 道路インフラ
    道路、信号機、センサー、通信設備など道路交通を支える設備・システム全体
  • ※2 路車間通信
    車両と道路インフラとの間で情報を送受信する通信技術
  • ※3 e-MoRoad
    大林組が未来社会を見据えて提案する道路、モビリティインフラのあり方。非接触給電に対応した道路舗装や、クルマ・ヒト・ミチ通信のための電力・情報ネットワークなど、モビリティの急速な進化に対応するためのインフラ技術
  • ※4 レベル2自動運転
    自動運転のレベルは0~5の6段階に分けて策定されている。レベル2はドライバーによる監視下での部分運転自動化
    (参考)国土交通省資料 https://www.mlit.go.jp/common/001226541.pdf