第55回(2014年)BCS賞を受賞しました

東大寺総合文化センターと東京スカイツリー® 東京スカイツリータウン®

サステナビリティ

日本建設業連合会が主催する第55回BCS賞に、大林組ほかが施工した「東大寺総合文化センター」(奈良県奈良市)が選定され、「東京スカイツリー® 東京スカイツリータウン®」(東京都墨田区)がBCS賞特別賞を受賞しました。

BCS賞は「優秀な建築物をつくり出すためには、デザインだけでなく、建築主の理解、施工者の技術も重要である」との理念により、1960(昭和35)年に創設された賞です。良好な建築資産の創出、文化の進展、地球環境保全への寄与などを目的に、建築主と設計者、施工者の三者を対象として、半世紀以上にわたって毎年、国内の優秀な建築作品を表彰しています。今回は、全国55件の応募の中から特別賞2作品を含む15作品が選ばれました。

東大寺総合文化センター
(建築主:東大寺、設計者:建築研究所アーキヴィジョン、金箱構造設計事務所)

東大寺総合文化センター

歴史的風土特別保存地区の景観に調和するよう本瓦、しっくい、木材などで構成された二重屋根・二重外壁は、断熱、調湿機能を持っています

部屋免震が施された東大寺ミュージアム

部屋免震が施された東大寺ミュージアムでは、寺宝の保存、管理のため、定期的に展示替えが行われています

東大寺総合文化センターは、東大寺が所有する宝物・文書などの保存と研究のための収蔵庫や図書館、参詣者への公開を目的としたミュージアムなどの施設として、2010年に完成しました。

この建物は「平成の正倉院」として、周辺の歴史的景観との調和、環境に配慮した施設、現代技術の採用による歴史的価値の未来への継承をテーマに計画されました。

施工に当たっては、地表から1.5m下に鎌倉時代の遺構が存在することから、基礎部での免震ではなく、建物内部での「部屋免震」を国内で初めて採用しました。

歴史的景観の中に、高い技術レベルの収蔵施設を違和感なく溶け込ませていること、さらにミュージアムとしての機能、既存体育館の活用などを行い、周辺への配慮、歴史・文化への継承という視点がうかがえることが評価されました。

【特別賞】東京スカイツリー® 東京スカイツリータウン®
(建築主:東武鉄道、東武タワースカイツリー、設計者:日建設計)

東京スカイツリーは、関東一帯に地上デジタルテレビ放送を送信することを目的に、高さ634mの世界一高い自立式電波塔として、2012年、東京・押上に完成しました。足元には商業施設、水族館、プラネタリウム、オフィスなどで構成される東京スカイツリータウンが広がります。

100年を超える長い供用期間を前提として建設された東京スカイツリー

東京スカイツリーは、災害時にも電波塔機能を継続するために、100年を超える長い供用期間を前提として建設されました

広場やデッキ、高層オフィスなどから成る東京スカイツリータウン

広場やデッキ、高層オフィスなどから成る東京スカイツリータウン。周辺エリアには、地下の地域冷暖房プラントから冷温水を供給しています

下から上に向かって三角形から円形へと変化する平面形、「そり」と「むくり」という穏やかな曲線を活かしたシルエット、五重塔の心柱から着想を得た制振システムなど、伝統的な和の美意識と建築技術を現代的に解釈した東京スカイツリーは、日本の新たなランドマークとなりました。

未知の領域の高さを実現するために、さまざまな革新的な技術を採用。複雑な鉄骨構造の計画にはBIMを、管理には三次元計測・管理システムなどを活用し、放送用送信アンテナの取り付け部となる鉄塔(ゲイン塔)の施工には、地上で組み立てて塔体内で引き上げる「リフトアップ工法」を用いました。

多様な要素の相乗効果によって活力ある街を形成した東京スカイツリータウンは、東西に400mという敷地の長さを最大限に活かし、階段や広場を配置することで、歩くに連れさまざまなシーンが展開します。

今回の受賞では、線路と川に挟まれた制約の多い敷地条件の中で、世界一の高さの斬新な電波塔を造り上げ、その設計・施工技術が、建築技術の革新という面で時代を象徴する大きな成果を挙げたことが評価されました。

大林組は今後も、建築主、設計者、施工者間で理解と協力を深めながら、地域社会の中で末永く親しまれ、愛され続ける作品の建設に努めるとともに、建築文化の創造、継承、そして建設技術の発展に貢献してまいります。