東京スカイツリー® のつくり方「タワークレーンの解体」

ソリューション/テクノロジー

大林組 東京スカイツリーのつくり方 タワークレーンの解体

 

タワークレーンはその役目が完了すると解体されます。ここでは、その手順についてご紹介します。

タワークレーンは、その役目が完了すると解体されます。ここでは、その手順についてご紹介します。

 

1 4基のタワークレーンを順番に解体

第1展望台の屋上に設置している4基のタワークレーンは、クレーン同士で順番に解体していき、4基から1基にします。

まずは、高く設置したクレーン「建て方専用機」を下げます

4基のタワークレーンのうち建て方専用機(TC2号機、TC4号機)は、塔体建て方とともにマストクライミングを行ったので、荷揚げ専用機(TC1号機、TC3号機)よりも高い位置に設置しています。

そのため、クレーン同士で解体する前に、マストクライミングと逆の手順でポストを解体しながら、建て方専用機の高さを下げます。(通常、この作業を「クライミングダウン」または「逆クライミング」と呼びます)

クレーン同士で解体する前に、建て方専用機の高さを下げます。その際は、マストクライミングと逆の手順で下げていきます

 

旋回体をポスト1段分下げます。自らポストを解体し、吊りだします。この作業を繰り返して所定の高さに下げます

 

クレーン同士で解体し、4基から1基へ

東京スカイツリーの工事では、下図の順番でタワークレーンを解体します。

STEP1 TC2号機の高さを下げます。TC1号機を使ってTC2号機を解体します。
STEP2 TC4号機の高さを下げます。TC4号機を使ってTC3号機を解体します。
STEP3 TC1号機を使ってTC4号機を解体します。

 

2 最後の1基を解体

3基の解体用クレーンで小さくし、最後は手で解体

3基のタワークレーンを解体した後に残ったTC1号機は、それよりも一回り小さな解体用クレーンを設置して解体します。より小さなクレーンを設置し、既設の大きなクレーンを解体するという方法を3回繰り返し、最後は人の手で解体できる機種にまで小さくしていきます。

なお、東京スカイツリーの工事では、工事用タワークレーンのTC1号機(JCC-V720)を最少回数で解体できるように開発された3種類のクレーンを使用します。これらのクレーンが開発される以前は、同様の作業をするのに5種類のクレーンが必要でした。

クレーン能力表

参考:特別仕様タワークレーン「吊り能力」

 

解体用クレーンにも高さ対策

工事用タワークレーンの設置や塔体鉄骨の建て方と同様に、タワークレーンの解体作業も「未知の高さでの作業」の一つです。そのため、解体用クレーンも工事用タワークレーン同様に、「高さ対策」のチューンアップを施しています。

参考:特別仕様タワークレーン「今までのタワークレーンでは作業ヤードに届かない」

 

ここをチューンアップ

標準機の揚程=250m

↓

揚程=400mとし、巻き上げ装置やドラムの強度を向上させています。

※解体用クレーン3機種の名称末尾の「Ⅱ」は、このチューンアップが施されていることを示す称号です。

 

TC1号機と解体用クレーンの解体手順

STEP 1 
その1 TC1号機を使ってOTA-150HNⅡを組み立てます。
その2 OTA-150HNⅡを使ってTC1号機を解体します。

STEP 2 
その1 OTA-150HNⅡを使ってOTS-60HNⅡを組み立てます。
その2 OTS-60HNⅡを使ってOTA-150HNⅡを解体します。
STEP 3 
その1 OTS-60HNⅡを使ってOJ-13NⅡを組み立てます。
その2 OJ-13NⅡを使ってOTS-60HNⅡを解体します。

STEP4 
OJ-13NⅡを人の手で解体し、エレベーターを使って搬出します。

  

東京スカイツリーのつくり方大公開(上級編)