2液混合型注入止水工法「ミクストグラウト™」を開発

コンクリートひび割れ部の漏水量や乾湿状態を問わず、確実に漏水を遮断します

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、株式会社MASUDA(本社:鳥取県倉吉市、社長:桝田隆)と共同で、コンクリートのひび割れ部からの漏水を、ポリウレタン樹脂と特殊水性エマルション(※1)を併用して確実に遮断する、2液混合型注入止水工法「ミクストグラウト」を開発しました。

近年、リニューアル工事の増加や工期短縮の観点から、地下構造物を再利用するニーズが高まっていますが、地下水位の上昇などが原因で、地下のコンクリート構造物から漏水していることがあります。これまでは、漏水しているコンクリートのひび割れ部に、ポリウレタン樹脂系の薬液を注入する止水工法が一般的でしたが、渇水期の乾燥したひび割れにおいては薬液が硬化不良を起こしやすく、硬化しても収縮することから、適用条件や止水性能の向上が課題となっていました。

寸法安定性の確認

寸法安定性の確認

今回、大林組が開発した「ミクストグラウト」は、ポリウレタン樹脂と特殊水性エマルションの薬液を注入直前に混合する、2液混合型注入止水工法です。ポリウレタン樹脂が、特殊水性エマルションの水分に反応し、硬化することで止水性能を発揮します。ポリウレタン樹脂の速硬性と水性エマルションの寸法安定性を兼ね備えており、コンクリートのひび割れ部の漏水量や乾湿状態を問わず、施工が可能です。本工法については、大林組の工事現場において既に適用が始まっており、その性能は実証済みです。

「ミクストグラウト」の主な特長は以下のとおりです。

  1. 漏水量や乾湿状態を問わず、施工が可能

    コンクリートのひび割れ部における漏水量はさまざまで、地下水位の変動などにより乾燥している場合もありますが、本工法は、止水材が持つ速硬性と自硬性により、ひび割れ部の漏水量や乾湿状態に関係なく施工が可能です。


  2. 優れた寸法安定性と伸縮性

    ポリウレタン樹脂系の薬液は乾燥により7日間で約30%収縮しますが、本工法の止水材は5%程度にとどまっており、ひび割れの中での寸法が安定しています。また、伸縮性があるため、ひび割れの形状に対する追従性が高く、漏水の水圧に対しても耐性があります。

    引張試験による伸縮性の確認

    引張試験による伸縮性の確認


  3. 止水にかかる時間を大幅に短縮

    ポリウレタン樹脂系の薬液は、注入部位の乾湿状態によっては硬化不良を起こすため、止水効果を得るまでに注入作業を数回行うことが一般的ですが、本工法の止水材は漏水量や乾湿状態に関係なく硬化するため、1回で止水が完了します。従って、作業時間を50%短縮できます。注入した止水材は30分程度で止水効果を発揮します。また、本工法では、材料費は増加しますが注入作業の回数が減ることから、総コストは同程度となります。

大林組は、地下コンクリート構造物を再利用する工事や既存インフラの改修など、さまざまなリニューアル工事に本工法を適用し、建物やインフラの長寿命化を図ることで環境に配慮するとともに、安全・安心を提供していきます。

  • ※1 水性エマルション
    微粒子化した水に不溶の液滴が水中に分散した状態の液体

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 CSR室広報部広報第一課
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