シールド汚泥に含まれる自然由来ヒ素の浄化工法を開発

鉄粉と遠心分離システムを用いてヒ素汚染土の処分費用を大幅削減

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、京浜ソイル株式会社(本社:神奈川県横浜市、代表取締役:永井文博)と共同で、シールド工法で発生する汚泥に含まれる自然由来ヒ素の浄化工法を開発しました。

ヒ素は自然界に比較的多く存在するため、建設工事を行う際に、自然の汚染土壌に遭遇する場合があります。このような土壌からの掘削発生土も人や環境に影響を及ぼす恐れがあり、改正土壌汚染対策法に基づく土壌溶出量基準(0.01mg/L以下)に適合しない場合は、適正に処理するよう定められています。

近年、地下構造物が輻輳(ふくそう)する大都市圏で、鉄道・道路・共同溝を大深度地下に建設する工事が増えています。大深度に堆積する硬質粘土層などにも自然由来ヒ素が含まれる場合があり、特に大断面・長距離のシールド工事で汚染土壌に遭遇した際には、多額の処分費用がかかります。

大林組と京浜ソイルは、泥水式シールド工法で発生するヒ素汚染泥水を、鉄粉と遠心分離システムを用いることにより、省スペースで大量に浄化できる工法を開発しました。これにより、建設工事で発生する自然由来ヒ素を適正に処理し、さらに汚泥処理費用を大幅に削減できます。試算では、大断面泥水式シールド機で5km掘削した場合に15~20%のコスト削減が可能です。

なお、泥水式シールド工法だけでなく、土圧式シールド工法の発生土に対しても、水を加え泥水化することで適用可能です。

泥水式シールドにおける適用イメージ図

【使用例】泥水式シールドにおける適用イメージ図

 

今回開発したシールド汚泥のヒ素浄化工法の特長は以下のとおりです。

  1. 汚泥からヒ素を確実に除去します

    泥水式シールド工法で発生するヒ素汚染泥水に鉄粉を混合して攪伴(かくはん)することで、鉄粉にヒ素を吸着させます。その後、遠心分離システムで、土粒子と鉄粉の比重差を利用して、ヒ素を吸着した鉄粉を確実に回収します。このプロセスにより、土壌溶出量基準値以下までヒ素を除去します。なお、鉄粉はヒ素吸着機能を高めた特殊な鉄粉で、再生して繰り返し使用しても吸着能力が低下しにくく、効率的で環境負荷を抑えた材料です。

  2. 省スペースで大量の泥水の処理が可能です

    ヒ素回収プラントは、省スペースの設備のため、通常の泥水式シールド設備に簡易に追加設置できます。また、省スペース型でありながら泥水の大量処理が可能なため、大断面のシールド工事にも適用可能です。

  3. 汚泥の処分費を低減します

    土壌溶出量基準値以下の汚泥として搬出することで処分費を大幅に削減できます。また、鉄粉は一定回数繰り返して再利用でき、遠心分離システムは汎用的な機械を使用するため、浄化処理コストも安価に抑えることが可能です。

大林組と京浜ソイルは、自然由来のヒ素汚染土壌処理を必要とするシールド工事などに今回開発したヒ素浄化工法を積極的に提案していきます。

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 CSR室広報部広報第一課
お問い合わせフォーム

プレスリリースに記載している情報は、発表時のものです。