リニューアル工事の完成イメージなどを確認できるARアプリ「FutureShot」を開発

タブレット端末上での可視化により設計や施工計画に対する顧客満足度を向上します

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、リニューアル工事の完成イメージなどをタブレット端末上で確認できる、AR(Augmented Reality:拡張現実)技術を使ったアプリケーションを開発しました。

耐震ブレースの設置シミュレーション作業

耐震ブレースの設置シミュレーション作業

リニューアル工事では、改修する部分や新設する部材の形、色、見栄えなどを顧客のイメージどおりに仕上げることが重要です。特に耐震補強工事では、ブレース(筋かい)などの耐震補強部材を、どこに、どのように設置するかによって視界や動線、印象などが大きく変化することから、設計段階で顧客のニーズを正確に把握し、完成イメージを共有する必要があります。

また、工事中の仮囲いや仮設足場の設置状況など、施工中の安全対策などについても顧客とイメージを共有することが大切です。従来は設計者や施工者が現地で撮影した写真を持ち帰り、新設する部材や工事用仮設資材のパースを重ねたイメージを作成していましたが、顧客のイメージに合わない場合には後日、同様の作業を繰り返すこととなり、顧客との合意形成に時間がかかっていました。

今回大林組が開発したFutureShotは、AR技術によりタブレット端末上で、工事の完成イメージなどを容易に作成できるアプリです。図面上にサイズやデザインの調整が可能な部材の3次元モデルを配置し、現地の映像とその場で重ね合わせることで、さまざまなイメージを、従来よりも短時間で簡易に顧客に確認いただくことが可能です。

【FutureShotで作成した耐震壁の設置シミュレーション】

施工前の写真

施工前の写真

完成イメージ1

完成イメージ1

完成イメージ2

完成イメージ2

【FutureShotで作成した仮囲いと仮設足場の設置シミュレーション】

施工前の写真

施工前の写真

イメージ1

イメージ1

イメージ2

イメージ2

FutureShotの特長は以下のとおりです。

  1. タブレット端末で容易にリアルなイメージを作成できます

    タブレット端末のカメラに映っている映像に複数の部材のモデルを重ね合わせることで、容易にリアルな完成イメージや施工中のイメージを作成できます。タブレット端末の図面上で新設する部材やカメラの位置を指定すると、当該位置からの視点でカメラ映像と部材モデルとを合成してイメージを表示することができ、さまざまな位置からイメージを確認することが可能です。

    また、FutureShotには「マスクモデル」という処理技術により、実際の映像と部材のモデルの位置関係を認識して表示する機能があります。例えば、既存の柱と柱の間に耐震ブレースのモデルを配置した場合、斜めから見ると耐震ブレースの端部が柱によって見えなくなります。既存のAR技術を使うと、実際の前後関係とは無関係に耐震ブレースのモデルが実際の映像(柱)の手前に表示されてしまいますが、柱を「マスクモデル」として処理することによって、よりリアルなイメージを表示することができます。

  2. 部材のモデルを容易に変更できます

    部材のモデルについては、位置、角度、大きさに加え材質なども自由に変更できます。材質は、あらかじめ登録している壁紙やコンクリートなどのイメージのほか、タブレット端末のカメラで撮影した現地の材質などもイメージとして追加することが可能です。顧客の意見・要望を踏まえながら、その場でさまざまなイメージを提示できることから、顧客との合意形成を効率的に進められます。

    従来、耐震補強工事においては設計段階の初期検討に約2週間を要していましたが、本アプリを試験的に導入したところ、約3日間に短縮することができました。

  3. リニューアル工事のほか、さまざまな工事に活用できます

    本アプリは、市販のBIM(Building Information Modeling)ソフトで作成したあらゆる部材のモデルを使えることから、リニューアル工事に限らず、さまざまな工事に活用できます。例えば、外構工事のために植栽のモデルを使えば、顧客と設計者とのイメージ共有が容易となり、早期の合意形成に有効です。

    さらに、仮設足場設置工事で仮設足場のモデルを使用すれば、施工中の安全対策などに関する顧客との合意形成に活用できるだけでなく、仮設足場を計画する施工管理者と組み上げる建設技能者とで行う事前検討などにも利用できます。

    また、部材のモデルや現場の図面がサーバー上に登録されていれば、インターネットを経由してどこからでもタブレット端末に追加することが可能です。

今後、今回開発したFutureShotを、次世代型のウェアラブルディスプレイと連携させることで、工事関係者間における施工手順の確認など、施工管理の高度化技術としても活用していく予定です。

大林組はリニューアル工事においてFutureShotを積極的に活用し、付加価値の高いさまざまなプランを、より分かりやすい形で顧客に提案していきます。また、工事の早期着工に向け、合意形成に至るまでの時間を短縮することで、顧客満足度のさらなる向上に努めていきます。

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 CSR室広報部広報第一課
お問い合わせフォーム

プレスリリースに記載している情報は、発表時のものです。