ニーズに応える最適な契約
大林組はさまざまな契約方式に対応し、お客様のニーズにお応えします。
建設工事の契約において国内ではランプサム方式(総価請負契約)が一般的ですが、海外ではランプサム方式だけでなく、コスト+(プラス)フィー方式(実費精算契約)で発注いただくこともあります。
大林グループでは、日本国内・海外を問わず、お客様のニーズに応じて最適な契約方式にてご契約できるよう努めております。今回は大林グループで対応している「ランプサム方式」「コスト+フィー方式」「コストオン方式」 の3つの方式についてご紹介します。
ランプサム方式(総価請負契約)
日本国内では一般的な発注方式で、契約において 定められた工期内で工事を完成し、お引き渡しする責任を負います。お客様の事業計画(設計、施工条件など)をもとに施工費用を算出し、総額で契約を締結します。お客様は初期段階からプロジェクト全体の費用を把握できる利点があります。ランプサム方式には主に次の2種類の契約があります。
①工事請負契約
お客様に提供いただいた設計(契約図面、仕様書など)に従い、大林グループが施工を請け負う契約です。
②設計施工契約
お客様の基本的要求事項・条件に基づき、大林グループが設計から施工までを一括して請け負う契約です。大林組は一級建築士事務所として自社設計部門を持つ総合建設会社です。その強みを活かし、大林グループが基本設計の段階からワンストップサービスを提供します。
コスト+(プラス)フィー方式(実費精算契約)
コスト(工事原価)およびフィー(報酬)の合計が最終的な契約金額となる契約方式です。
プロジェクトごとにお客様と協議のうえ、コストの範囲およびフィーの設定方法を決定しますが、大林グループで一般的に採用している例をご紹介します。
- コストの範囲
直接工事費のみをコストとして、間接工事費、人件費・経費は固定額とします。 - フィーの設定
固定率(パーセント)フィーの場合、発生したコストにあらかじめ設定した定率を乗じて算出します。
本契約方式においては、契約金額の公正さを明らかにするために、コストをすべて開示するオープンブック方式の採用が一般的です。
■オープンブック方式について
オープンブック方式は、発生するコストの詳細がすべてお客様に開示される発注方式です。お客様に、協力会社となる各専門工事会社の適切な選定や契約内容、支払いプロセスなどが開示されるため、コストの妥当性が明確になります。
一方で、お客様が初期段階に計画したプロジェクト全体の費用が大きく変動する可能性がありますが、その対策として、後述のGMP(Guaranteed Maximum Price)を付加することで上限金額をあらかじめ設定できます。
実費精算となるため、労務費、材料費、外注費などがお客様に開示されます。また、直接工事費のみならず、共通仮設費、現場管理費、一般管理費なども開示されることがありますが、開示範囲についてはプロジェクトごとに交渉を通じて契約で決定します。
■GMP(Guaranteed-Maximum Price)について
コスト+フィー契約が採用される際、最終コストが際限なく増大することを避けるため、GMP(最大保証価格)を設定する場合があります。GMPは一般的にコストとフィーに予備費(※1)を加えて算出されます。原則として、お客様事由に基づく仕様変更などを除き、GMP内で工事を完了します。GMPを設定することにより、お客様に工事最終コストの上限金額を事前に把握いただけるようになります(お客様事由により仕様変更された場合、GMPは変化します)。
※1 予備費(contingency) 施工中に予想できない事態が発生した場合の設計変更や追加工事に伴うコスト増加に対応するため、予備費を設定するケースがあります。契約時点では、予備費がどのように使用されるか確定していないため、契約金額に含まれることは多くありません。予備費の取り崩し方法は、個別案件ごとにお客様と協議のうえ決定します。
■インセンティブ(ボーナス)について
コスト(工事原価)がGMP設定時よりも圧縮された場合の報酬として、コスト削減額に対して一定の割合で計算したインセンティブを設定する場合があります。この設定方法についても、プロジェクトごとにお客様と協議のうえ決定します。
コストオン方式
コストオン方式は設備工事で締結されることが多い契約であり、先述のコスト+フィー方式とは異なるものです。日本国内では比較的事例の多い契約形態となりますが、海外ではこの種の契約は一般的ではありません。
お客様が専門工事会社を指名し、工事金額を取り決め、その合計金額にあらかじめ設定したコストオンフィー(統括管理費用)を上乗せして、契約金額を決定する契約方式です。
お客様は専門工事会社と直接交渉・価格決定を行ったうえで、大林グループとコストオン方式で契約を締結するため、事前にプロジェクト費用を把握できます。
大林グループはコストオン方式(コストオン協定書)に基づき、各専門工事会社と下請負契約を締結し、統括管理業務(安全管理、工程調整など)の責を負います。一方、変更工事を含むコスト管理と品質管理については、専門工事会社がお客様に対する直接の責任者になります。
契約における責任 | |||||
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契約方式 | 安全 | 品質 | コスト | 工程 | 契約金額 |
ランプサム方式(総価請負契約) |
大林グループ |
大林グループ |
大林グループ |
大林グループ |
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コスト+フィー方式(実費精算契約) |
大林グループ |
大林グループ |
大林グループ |
大林グループ |
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コストオン方式 |
大林グループ |
専門工事会社 |
専門工事会社 |
協議による |
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