シャフト鉄骨一体ブロック化
効率よく建てるために
高さがあると荷の吊上げにも時間がかかる
鉄骨を建てたり、仕上げ材を取り付けたりするには、材料をその場所へ持っていかなければなりません。そのためにタワークレーンがあります。
つくり上げてゆくにしたがってどんどん高くなる東京スカイツリーでは、その荷揚げ作業に時間がかかります。

そこで荷揚げをいかに効率よく行うかが工事を進めて行く上での重要ポイントになります。

方策:「揚重回数を減らす」
荷捌きヤード上で組み立て可能なものを一体に組み立ててから揚重することで、「揚重回数を減らす」ことが可能になります。
揚重回数を減らすための具体策
そこで採用したのが、シャフト鉄骨の一体ブロック化です。
◆シャフト鉄骨の一体ブロック化の考え方
シャフトの鉄骨の4本の柱で囲まれる部分を1ブロックとして構成します。しかし隣接したマスは柱を共有しているため一体ブロック化ができません。
したがって次の図のように1マスおきに一体ブロック化することにします。

シャフト全体としては下図のように12マスあるうち6マス分を地上部荷捌きヤードにて組み立て・一体ブロック化して吊上げ、1マス置きに建ててゆきます。

◆一体化するのは鉄骨だけではありません。
シャフト鉄骨を一体ブロック化するのみではなく、通常、鉄骨工事完了後に後から荷揚げして取り付ける「壁ALC版」、「設備配管」なども右の写真のように一体ブロック化し、運搬取り付けの手間の軽減をはかります。また作業員の動線などに必要な「仮設階段」などの仮設設備も同様に一体化しています。

◆シャフト鉄骨の地組
シャフト鉄骨を組み立てる(地組)には足場が必要です。
シャフト鉄骨は下から上まで同じ平面形状なので、地上ヤードに組み立て場所を固定することで、組み立てのための足場材の揚重が不要となります。
また、何回も使うことができるというメリットもあります。



◆一体ブロックをつなぐにも効率化
シャフト鉄骨を建てた後、右図の緑色で表した部材(梁、斜材)をつないでいきます。
この部材を取り付ける際にも「揚重回数を減らす」工夫がされています。 それが「ちょうちん吊り」と呼ばれる方法です。

「ちょうちん吊り」とは下の写真のように比較的小さく、軽い材料を取り付ける際に長さ調節をした吊りワイヤーを複数使い、一度に複数の部材を吊り上げ、取り付けていく作業方法です。
吊り上げたとき複数の材料が上下に並ぶことが「ちょうちん」の骨のように 見えることからこう呼ばれています。

シャフト鉄骨建て方時の「ちょうちん吊り」による梁取り付けの手順は下図のようになります。

◆安全性の確保
一体化したシャフト鉄骨の間の作業用足場を先行盛替えをしておくことで作業の安全性を確保しています。

このように大きな部材鉄骨だけで構成されている塔体に比べてシャフト部は部材も細かく、数量も多く、仕上げもあるため荷捌きヤードの専用足場内で鉄骨の組み立てやALC版などの取り付けを行う「シャフト鉄骨の一体ブロック化」を取り入れることで最も少ない揚重での効率的な組み立てを可能にしています。
本ページの内容は、2012年に完成した
東京スカイツリー建設中に公開した情報です。