コンクリート橋の床版を取り替える

キャップスラブ™工法

プレキャスト床版を用いて従来の3倍のスピードで床版を更新

キャップスラブ工法とは?

コンクリート橋のうち、プレストレストコンクリート(PC)構造の主桁と床版を一体化させたPC合成桁の床版をリニューアルする際に、車両通行規制期間を大幅に短縮する工法です。

高速道路の老朽化に伴い全国でリニューアル工事が進められています。高速道路のリニューアル工事では、建設現場での作業が多くなることから、長期間の交通規制が必要となります。

キャップスラブは主桁を覆う特殊な形状のプレキャスト床版です。既設の床版を撤去した後、ずれ止め用のアンカー鉄筋を主桁上に施工します。プレキャスト床版を設置した後に、床版と主桁の隙間をモルタルで充てんし、床版と主桁を一体化させます。このため、建設現場での作業を最小限に抑えられ、車両通行規制期間を大幅に短縮します。

キャップスラブを用いたPC合成桁の床版取り替え工事の施工手順

お客様のメリット

工期を短縮できます

  • 従来工法では、既設の主桁から突出している鉄筋を再利用するため、ウォータージェット工法(※1)でコンクリートのみを除去し、狭あいな空間で支保工を組み立て、型枠工・鉄筋工の後にコンクリートを打ち込むといった建設現場での作業に長期間を要することが課題でした。本工法では主桁からの突出鉄筋をすべて切断撤去するため、短期間で既設床版を撤去できます。
  • プレキャスト部材による架設工法を採用し、スピーディーに床版を構築できるため、従来の工法に比べて3倍の施工スピードで床版取り替え工事が完了します。

経済性が向上します

  • 従来のプレキャスト床版はフラットな形状なため、主桁と床版をそのまま接合すると接合部が厚くなることにより、路面の高さが上がります。それに伴い、工事対象箇所の前後の舗装をかさ上げして段差を解消する、すり付け工事が必要でした。今回開発したキャップスラブは、主桁の上面をキャップのような形状のプレキャスト床版で覆うように設置することで、床版の厚さを抑えます。そのため、路面のすり付け工事が不要となり、経済的な取り替え工事が可能となります。
プレキャスト床版形状の比較 (左)従来、(右)キャップスラブ

品質と耐久性が向上します

  • 管理された工場で製作するプレキャスト部材であるため、品質が安定することに加え、コンクリートにとって理想的な養生を施せるため、より緻密な床版の提供が可能です。さらに、工場製品ではプレテンション方式(※2)で容易にプレストレストコンクリート構造とすることができるため、床版の疲労耐久性も高めることができます。
  • ※1 ウォータージェット工法
    ノズルから超高圧の水を噴射しコンクリートを削り取り、鉄筋に損傷を与えずにコンクリートを除去できる特長をもつ工法
  • ※2 プレテンション方式
    PC鋼材をあらかじめ所定の力・位置に緊張しておき、これにコンクリートを打ち込み、硬化した後に緊張力を解放してプレストレスを与える方式。設備のあるPC工場で対応が可能

【実績・適用例】

  • 中央自動車道(特定更新等)柳樽川(やんだるがわ)橋他9橋 橋梁補修工事(NEXCO中日本)のうち上田川(かみたがわ)橋
上田川橋におけるキャップスラブの架設状況

ページトップへ

検索