山岳トンネルの浮石検知技術
レーザーを用いたトンネル浮石検知技術
トンネル切羽での肌落ち災害を防止します
レーザーを用いたトンネル浮石検知技術とは?
山岳トンネル切羽の浮石(うきいし)による肌落ち(剥落)は、作業員が被災するなど重大事故を引き起こす危険があります。トンネル発破・ずり出し後の大型ブレーカーによる「こそく作業(※1)」によって生じる切羽面の振動を、遠隔からレーザー振動計により測定し、浮石の特徴的な振動波形を判別する技術を日本で初めて開発しました。浮石と健全部の振動特性の違いを瞬時に判定でき、落下するリスクのある浮石をあらかじめブレーカーで叩き落とすことにより、短時間で浮石の除去が可能になります。
従来、浮石の判定は切羽近傍で人が行うため危険を伴い、また時間と労力を要する作業でした。今回、開発した技術を利用することにより、切羽遠方から、確実に浮石の検知が行えます。
お客様のメリット
トンネル切羽の肌落ち災害を防止します
- 発生すると重篤化しやすい切羽の肌落ち災害を防止します。
- 重大災害を防止することにより、事故による工事中断がなく、事業工程の遅延を防ぎます。
安全に、短時間で、確実に浮石の検知を行います
- こそく作業と並行して浮石検知が行えるため、トンネル掘削のサイクルタイムを短縮することができます。
- 切羽から10m以上離れた場所から、レーザーを用いて遠隔で操作できるため、安全に浮石の検知が行えます。
- レーザースキャニング振動計を用いることで、ブレーカーの打撃回数(5~10打撃/秒程度)ごとに自動で異なる箇所の検知が行えるため、短時間に多数の箇所の検知が可能です。
- 採石場やトンネル切羽で実証を行い、切羽面の振動特性から浮石を正確に判別する技術を確立しました。また、ブレーカーのオぺレーターに浮石の位置を画像上で指示できるため、確実に浮石を除去できます。
大林組はトンネル施工における安全性と生産性を飛躍的に向上させる山岳トンネル統合システムOTISM(Obayashi Tunnel Integrated SysteM)の開発に取り組んでおり、本技術はトンネル施工時の計測・評価による意思決定を合理化する「OTISM/MONITORING」の構成技術です。本技術により切羽の肌落ち災害リスクを事前に除去するとともに、同構成技術の一つであるロックフォールファインダーにより作業時のリスク管理を行うことで、さらなる安全を確保します。
- ※1 こそく作業
トンネル掘削に発破工法を用いる場合、発破後に岩盤切羽面(掘削面)に残った浮石を、ブレーカーなどを用いて落下させる作業
【実績・適用例】
茨城県上曽トンネルにて実証試験