「ガラス制振壁」を用いてデザイン性と耐震性を備えたブティックビルを提案していきます

プレスリリース

大林組は、ガラスの周囲に粘弾性体を貼り付け、この粘弾性体に建物の揺れを吸収させることで、制振壁として機能させる「ガラス制振壁」をすでに共同開発(※1)しています。
このたび、木造建物用に開発したこの技術を、鉄骨造の建物にも適用できるよう、技術研究所(東京都清瀬市)で、3次元振動台による実験を行い、十分な効果があることを実証いたしました。今後、デザイン性を求められるブティックビルなどに、意匠性と耐震性を兼ね備えた技術として提案していく予定です。

※1 平成14年に、東京工業大学、旭硝子(株)、住友スリーエム(株)と4者共同で開発


最近、視覚的に美しいガラス面を多用した美術館やブティックなどが多く建築されていますが、視覚だけでなく耐震性といった構造的な強度も必要で、外観上の意匠性と構造上の耐震性という課題の両立が求められています。
特に、繁華街にある搭状の細長い商業ビルは、築年数が古いものが多く、今後、建替えやリニューアル工事が増加していくものと考えられます。しかし、ブティックビルなどに従来のブレースなどを用いた耐震構造を用いると、壁が分厚くなるため、デザイン性が悪くなるという課題がありました。

ガラス制振壁は、ガラスの周囲に粘弾性体を貼り付け、建物に組み込むことにより、地震や強風時に建物の変形を吸収するダンパーとして機能するものです。
従来、構造体として使用されなかったガラスを敢えて建物補強に使用するというまったく新しい発想の耐震・制振壁で、外観の意匠性を確保したまま建物の耐震性を高められます。特に国内でも急速に増えてきた外壁にガラス面を多用した斬新なデザインの美術館、ブティックや、日本建築特有の開放性、外観の維持を求められる伝統木造建築物の耐震・制振補強に最適です。
9月14日~21日にかけて実施した3次元振動台による実験では、鉄骨造の構造物に対しても躯体の水平変形を1/2~2/3程度に低減できることを確認しました。

大林組は今後も、美術館、ブティックや、伝統木造建築物などの耐震・制振補強に対して、意匠性と耐震性に優れた「ガラス制振壁」を積極的に提案していきます。


3次元振動台実験の様子

以上

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大林組 東京本社 広報室 企画・報道・IRグループ
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