携帯電話による、震災時の建物やインフラの被害情報自動集約システムを開発・展開

パケット通信機能を使い事業継続計画(BCP)の実効性を強化

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、社会的ニーズの高い建設業における、震災時の事業継続計画(BCP)の実効性を高めるべく、携帯電話のパケット通信機能を利用して建物やインフラの被害情報を集約するシステムの開発・展開を行いました。

建設業の事業継続計画(BCP)は、日建連よりBCPガイドラインが出されており、大林組はこれに準じてBCPを作成しています。例えば、建設会社における緊急時の重要業務を抽出して、「インフラ復旧工事への体制づくり」・「施工中現場の2次災害防止と被害報告」を第1フェーズ、「施工済み物件の被害状況確認とお客様のフォロー」を第2フェーズ、さらに、「施工済み物件の応急措置完了」を最終フェーズとして、これら全工程を合わせた応急復旧目標時間を72時間以内と設定しています。数千を超える施工済み物件に対し、交通や通信が遮断されている状況で、また、限られた初動要員でいかに対応できるかという実効性が問われています。

本システムは、被災現場に駆け付けた調査員が、携帯電話に地図を表示し、あらかじめ地図に登録された当社施工済みおよび施工中物件の位置と概要情報を確認し、被災状況写真の送信などにより被害報告を行い、それらの情報を対策本部の地図稼働パソコンへ自動的に集約します。

このシステムのベースとなるのは建物概要データであり、大林組は阪神・淡路大震災直後から15年以上全店の施工済み物件の概要データを定期的に更新し、デジタル地図上に位置付けています。お客様の建物の基本情報を継続して運用管理しており、緊急時の建物被害状況の迅速な把握と顧客フォローを可能にします。

大林組は、BCPおよび震災対策要綱に沿った対策要領を策定し、それに基づいた拠点中心の調査・復旧体制を確立しており、そのツールの一つとして本システムを開発しました。これまで、システム開発後、試行および訓練を行ってきましたが、このたび、大規模ユーザ対応版が完成し、年内には全店の携帯電話保有者が利用できる環境が実現します。

本システムの特長は以下の通りです。

  1. 不特定の要員による調査・報告も可能

    緊急時には、被災物件最寄りの不特定要員が調査する方が即応性の高い場合もあり、任意の物件であっても建物情報の迅速かつ確実な把握ができることが、混乱が想定される初動時には必要な機能となります。
    本システムでは、携帯電話に表示される地図と建物概要情報を確認したうえで、カメラ機能による写真データなどの送付で被害状況報告ができるので、当該物件の担当者がやむをえず駆けつけられない場合でも、最寄りの要員が迅速に代替することが可能です。また、既に調査した物件か否かなどの状況も確認でき、重複を防いだ効率の良い調査が可能となります。
    その他には、携帯電話の位置周辺の被害状況を報告する機能や、物件名や住所から検索を行い、建物概要情報を確認する機能もあります。


  2. 登録した被害報告データが対策本部の地図稼働パソコンへ自動的に集約

    各自が登録した被害報告は、対策本部の地図稼働パソコンに自動的に集約され、デジタル地図上に展開された物件の調査状況やその報告内容の確認が容易に行えます。
    さらに、震災時には当社保有の地震被害予測システムと重ねて地図上に表示することができ、揺れの強い地域や液状化の危険度が高い地域の建物やインフラを導き出し、優先度の判別も可能となります。


  3. 災害時にも利用可能性の高いシステムを実現

    緊急時の通信手段として期待されるのが、電力が止まっても使える可能性が高いと言われている携帯電話のパケット通信機能です。本システムは、この携帯電話のパケット通信機能を利用するので「災害時の利用可能性」と「日常利用による操作の習熟度」の向上が図れ、緊急時での実用性・実効性を高めます。

大林組は、総合的な防災情報システムの整備とそれを使った訓練を行い、災害時の建設会社のBCPの実効性を継続的に強化するとともに、顧客をサポートし、地域社会全体の早期復旧を使命と認識して社会に貢献してまいります。

なお、システム化には、日立ビジネスソリューション株式会社製の「ケータイ快作!」をベースに構築しております。

被害状況の調査イメージ、携帯電話の画面表示例

システム全体イメージ


以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 本社CSR室
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