フーバーダムの渓谷に北米最長のコンクリートアーチ橋が完成

プレスリリース

10月19日(現地時間)夜から車両の通行が開始しました

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)とPSM Construction USA(ピーエス三菱の子会社)が米国で進めていたフーバーダム・バイパスプロジェクトにおいて、フーバーダム下流のコロラド川に架かる「コロラドリバー橋」が完成しました。大きな弧を描く梁(アーチリブ)が道路デッキ部を支える構造で、323メートルに及ぶアーチ支間は、コンクリートアーチ橋としては北米で最長、世界では第4位(※)となりました。

フーバーダムは1931年から1936年に造られ、400億トンを誇る貯水量は日本の全ダム合計をしのぎ、国定歴史建造物にも指定されています。しかし、ビジターセンターの見学ツアーには年間約100万人が参加するほどの観光地となり、ダムの上を通過する幹線道路では交通渋滞が慢性化していました。
また、周辺は急峻な地形が続きカーブが多いことから、交通安全上の問題も抱えていました。そこでアメリカ連邦高速道路局によって計画されたのが、ダム下流の渓谷をまたぐバイパス道路「コロラドリバー橋」です。

施工にあたっては、渓谷の両側に立てた仮設の塔(ピロン)からケーブルでアーチリブを支えながら、施工部分を両側から中央に向かって張り出す工法を採用しました。露出した岩の断崖絶壁に橋脚などを構築し、空中で巨大なコンクリート構造物を施工していく過程では、塔(ピロン)やアーチへ作用する荷重を考慮し、アーチやケーブルの挙動を三次元で解析するなど、緻密な施工管理で進めました。

なお、「鋼製ストラット付きコンクリートツインアーチ橋」の高度施工技術は、今年6月に開催された「科学・技術フェスタin京都-平成22年度産学官連携推進会議-」において、産学官連携功労者表彰の国土交通大臣賞を受賞しました。大林組と東京工業大学、横浜国立大学の連携により、世界初となる鋼製ストラット付きツインアーチ構造を採用し、難易度の高い工事を実現して地域社会に貢献したことが高く評価されたものです。

2005年から足掛け6年に及んだ工事は無事に完了し、10月14日には、美しいアーチを描く橋上で完成記念式典が執り行われました。10月19日(現地時間)夜から車両の通行が開始されました。

※世界第1位:万県長江大橋(中国, Wanxian Bridge, L=420m)
      〃 第2位:KRK橋(クロアチア, KRK Bridge, L=390m)
      〃 第3位:江界河大橋(中国, Jiangjiehe Bridge, L=330m)

【工事概要】
工事名称:フーバーダムバイパスプロジェクト −コロラドリバー橋
施工場所:米国 アリゾナ州とネバタ州の州境
発注者:Federal Highway Administration(連邦高速道路局)
施工者:PSM Construction USAと共同施工(大林組持分75%)
契約工期:2005年2月~2010年8月(67ヵ月)
構造・規模:RC造、全長約579m、幅約27m(アーチ支間 323m)

完成したコロラドリバー橋

完成したコロラドリバー橋


(セレモニー)アメリカ国旗、アリゾナ州とネバダ州旗

(セレモニー)アメリカ国旗、アリゾナ州とネバダ州旗

式典には多数の方が訪れました

式典には多数の方が訪れました

歩道にある橋面板。施工者として、大林組とPSM Construction USAの名前が刻まれています

歩道にある橋面板。施工者として、大林組とPSM Construction USAの名前が刻まれています

橋梁の正式名称は、Mike O’Callaghan-Pat Tillman Memorial Bridge

橋梁の正式名称は、Mike O’Callaghan-Pat Tillman Memorial Bridge

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 CSR室広報第一課
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プレスリリースに記載している情報は、発表時のものです。