地盤改良効果の優れた海水練り地盤注入材を開発

離島・沿岸部、災害復旧などで効果を発揮

プレスリリース

株式会社大林組
日特建設株式会社
日鐵セメント株式会社

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、日特建設株式会社(本店:東京都中央区、社長:中森保)、日鐵セメント株式会社(本社:北海道室蘭市、社長:中山秀明)と共同で、高炉スラグ系超微粒子セメントと海水を利用した「海水練り地盤注入材」を開発しました。

セメント系地盤注入材は、地山の補強、液状化対策、遮水や地下の漏水対策などに使われるものです。一般的に、練り混ぜ水には真水を使用しますが、離島や沿岸部での工事、災害復旧工事では、真水の使用はコスト高となる場合や、ライフラインや道路の不通で真水の入手が困難な場合があります。一方で、入手が容易な海水を使用した場合では、注入材の流動性が低下し、均一に地盤へ注入・浸透できないため、地盤の改良品質が低下するという問題がありました。

今回、3社共同で開発した「海水練り地盤注入材」は、特殊混和剤を使用することで、海水を使っても注入材の流動性や地盤への浸透性に優れています。本材料は、真水を使用する場合と比べて、コストは同等でありながら、地盤の強度、遮水性を向上できるため、離島・沿岸部、災害復旧の工事などで効果を発揮します。

「海水練り地盤注入材」の特長は以下のとおりです。

  1. 地盤への浸透性の確保

    独自に開発した特殊混和剤と分散剤を使用することで、海水を使用しても流動性や地盤への浸透性を確保します。室内浸透試験で、最適な材料の組み合わせ・配合を選定しています。

  2. 地盤の強度・遮水性を向上

    海水と高炉スラグ系超微粒子セメント、特殊混和剤を使用することにより、地盤の強度、遮水性が真水使用時より向上します。室内注入試験の結果、真水を使用した場合に比べて、圧縮強度は約2倍に増加し、一般に遮水性を表す指標となる透水係数が約14分の1に低減し、遮水性の向上を実現しました。

  3. 従来の施工方法で適用可能

    従来の注入工法での施工が可能です。加えて、大林組と日特建設が開発した動的注入工法(※1)を併用することにより、地盤の改良効果をさらに向上できます。

    ※1 注入圧力に強制的に波状の脈動を加えることにより、流動性の向上と目詰まりを抑制できる工法

大林組、日特建設、日鐵セメント3社は、「海水練り地盤注入材」を、沿岸部などの地山の補強、液状化対策、基礎地盤の遮水性の改良、遮水壁の築造工事など、広範囲に適用していきます。遠隔地や災害復旧などの困難な条件でも、お客様のニーズに応えられるよう、これからも技術の開発を進めていきます。

地盤強度の改良効果

地盤の遮水効果

使用の一例:有害物質を含む地下水の流失防止用遮水壁築造工事の施工イメージ

使用の一例:有害物質を含む地下水の流失防止用遮水壁築造工事の施工イメージ

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 CSR室広報部広報第一課
お問い合わせフォーム

日特建設 技術本部 技術営業グループ
TEL 03-3542-9299

日鐵セメント 営業部 東京支店
TEL 03-3279-0581

プレスリリースに記載している情報は、発表時のものです。