株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、ビルなどの外壁作業に使用されるゴンドラの揺れをジャイロ効果で低減する『ゴンドラ用「スカイジャスター®」(以下、SJ-G)』を開発しました。
ビルなどの外壁作業において使用されているゴンドラは、屋上からワイヤーでケージ(乗り込み部)を吊り下げているため、風の影響や作業員のわずかな動作によりケージの回転揺れが発生します。ケージが回転すると、作業性の低下だけでなく、建物への接触によるガラスの損傷などの懸念や安全面にも問題が発生します。
従来、ケージの回転揺れ対策として、ガイドローラーや補助ロープなどが使用されてきました。しかし、これらは建物の外壁にガイドレールの敷設が必要なことや、接触により建物を傷つける可能性があることが課題となっていました。また、ゴンドラにファンを取り付けて揺れを制御する方法もありますが、操作が難しいことや騒音の問題がありました。
今回開発した「SJ-G」は、クレーン揚重用の吊り荷方向制御装置である「スカイジャスター®(※1)」をゴンドラ用に改良したシステムです。ゴンドラのケージ内や下部に設置するだけで、回転揺れを完全に抑制してケージを安定させ、作業性の向上に高い効果があります。
今後は、技術提案や施工案件に積極的に採用し、適用拡大を図っていきます。
「SJ-G」の主な特長は、以下のとおりです。
- ゴンドラ作業時の動きや風によるケージの揺れを低減します
「SJ-G」はジャイロ効果(※2)を利用してケージの向きを安定させるため、中の作業員が動いたり風が吹いてもケージが回転せず、揺れを低減し、作業効率を約30%向上させます。また、当システムは、瞬間風速13m/sでの回転静止力を実験で確認できています。ゴンドラ作業では、10分間の平均風速が10m/s以上の強風時には安全確保のため作業中止が法律で定められていますので、法律範囲内の通常作業であれば機能を十分に発揮できます。
- 建物への影響がありません
「SJ-G」は、基本的にゴンドラのケージの下部、または内部に設置するだけでよいため、通常の回転揺れ防止対策のような外壁への工作などがなく、外壁面の金具跡などを再補修・再清掃するということがなくなり、建物を痛めることもありません。
- 本設・仮設を問わず取り付け可能で、外壁ガイドレールが不要です
「SJ-G」はゴンドラのケージ下部や内部に設置するため、本設ゴンドラ・仮設ゴンドラのどちらにも適用が可能です。また、既に設置されているゴンドラにも対応でき、多くのタイプのゴンドラへ適用が可能です。
建物新築時に本設ゴンドラに「SJ-G」を採用すれば、外壁のガイドレールが不要になるため、意匠的に見栄えが良くなるとともに大幅なコスト低減にもつながります。
大林組は、従事者一人ひとりの安全・安心な作業環境の形成や建設現場の生産性の向上という観点から、ビル工事やマンションリニューアル工事などのゴンドラ作業に『ゴンドラ用の「スカイジャスター®」(SJ-G)』を積極的に提案していくとともに、お客様の多様なニーズに応えることができる技術を追及していきます。
※1 「スカイジャスター®」の概要
■役割
- 回転している吊り荷を止めます
風の影響やクレーンの動きに伴う慣性力で回転している吊り荷を止めます。
- 吊り荷の姿勢を保ちます
正しい位置にいる吊り荷を外乱(風・慣性力)に対抗してそのままの姿勢で保ちます
- 能動的に吊り荷を回転させます
吊り荷を正しい位置に降ろすために、空中で回転させます。
■能力
■構造と原理(※2 ジャイロ効果)
スカイジャスターは、物体を回転させると回転が高速なほど姿勢が安定するジャイロ効果の原理で機能します。
以上
この件に関するお問い合わせ先
大林組 CSR室広報部広報第一課
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