シールド自動運転「OGENTS/DRIVE®」の基幹となる「シールドAI自動方向制御システム」を開発
オペレーターの技能によらず計画線に沿ったシールド機の掘進が可能
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プレスリリース
株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、AIが掘進実績を学習することで、シールド機の進む方向を制御できるシールドAI自動方向制御システムを開発しました。
シールド工法では、シールド機が機内の後方部で組み立てたセグメントリングを反力にして、シールドジャッキを伸ばして進みます。その際、リング状に複数配置したシールドジャッキのどれを伸ばすかを選択し、シールド機に作用する力点を変えることで方向を制御します。
しかし、周辺地盤の硬さなどさまざまな要因が進む方向に影響を与えるため、状況に応じて適宜力点を調整する必要があります。また、方向を誤ることでシールド機とセグメントリングとの間の隙間(クリアランス)が不足すると、セグメントリングに無理な力がかかり、ひび割れが発生してしまいます。
そのため、力点の調整作業には、オペレーターがシールド機の向きや位置、機械負荷など、多くのデータを総合的に評価しながら判定しています。
今回大林組が開発したシールドAI自動方向制御システムは、オペレーターが評価に用いる多種多様なデータをAIが学習することで、シールド機の方向修正に必要な力点を自動で判定し、伸ばすべきシールドジャッキを選択するシステムです。シールド機の方向修正を行ううえで重要な力点を的確に判定することで、オペレーターの技能に大きく左右されることなく、計画線に沿ったトンネルを構築することができます。また、セグメントリングに無理な力をかけることなく施工できるため、品質の確保が図れます。
これまで5台のシールド機に適用し、オペレーターと同様の判断ができることを確認しました。
シールドAI自動方向制御システムの特長は以下のとおりです。
オペレーターの技能に左右されることなく精度良くシールド機を制御
オペレーターが力点を調整する際は、複雑に関係し合う多数の掘進データを確認し経験などにより判定しています。本システムは、オペレーターが判定するのに確認する数十の項目をデータ化しAIに学習させることで、類似する状況においてオペレーターと同様に力点を判定することができます。そのため、ミスなく信頼性の高いシールド機の方向制御ができます。
シールドトンネルの品質を確保
本システムでは、クリアランスの大きさも考慮して力点を判定するため、クリアランス不足によりシールド機とセグメントリングが接触し、無理な力が生じる方向制御を防止します。これにより、セグメントリングのひび割れや漏水が発生するリスクを低減し、トンネル品質を確保します。
あらゆるシールド工事に適用可能
本システムは、シールド機の形式、大きさや形状、シールドジャッキの本数、製作メーカーにかかわらず、すべてのシールド機に搭載できます。また、掘削延長や土質にもよらず、あらゆるシールド工事に適用することができます。
本システムは、大林組が開発を進めるシールド自動化システム「大林インテリジェントシールド(OGENTS®:Obayashi Intelligent Shield)」に欠かせない要素技術です。シールド自動測量「OGENTS/SURVEY®(オージェンツ/サーベイ)」、「シールド三次元線形管理システム」と連携することで、測量結果をもとにした修正計画の立案、指示、シールド機の運転操作までの一連の作業を自動化したシールド自動運転「OGENTS/DRIVE(オージェンツ/ドライブ)」として運用することができます。
今後は、シールド工事に関わるその他の自動化システムを実現、統合し、「大林インテリジェントシールド(OGENTS)」の早期完成をめざします。
以上
この件に関するお問い合わせ先
大林組 コーポレート・コミュニケーション室 広報課
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