日建連表彰2020「土木賞」「BCS賞」を受賞

サステナビリティ

2021年4月19日、日本建設業連合会が主催する「日建連表彰2020」において大林組が施工した「三種浜田風力発電所建設プロジェクト」が土木賞を、大林組ほかが施工した「豊中市立文化芸術センター」、「日本橋二丁目地区プロジェクト」がBCS賞を受賞しました。

日建連表彰は、土木・建築両分野を表彰する新たな表彰制度で、今回新設された「土木賞」と建築分野で歴史ある「BCS賞」で構成されています。

土木賞は、国民生活と産業活動の基盤の充実に寄与することを目的に優良なプロジェクトや構造物を表彰するもので、第1回目となる今回は、応募総数58件の中から11件が選ばれました。BCS賞は、わが国の文化の発展と地球環境の保全に寄与することを目的に優良な建築物を表彰するもので、創設から61回目を迎える今回は応募総数75件の中から15件が選ばれました。

第1回土木賞

三種浜田風力発電所建設プロジェクト

(発注者:大林ウインドパワー三種、設計者:大林組、施工者:大林組)

三種浜田風力発電所建設プロジェクトは、秋田県三種町浜田地域の保安林内に大型風車3基を建設するものです。海岸保安林内に風車を設置するため、施工ヤードの面積を極力縮小して、自然の改変を最小限に抑えることが求められました。また、風が強い地域での工事となり、クレーンによる部材揚重では風の影響を受けやすく、工程遅延のリスクがありました。

そこで、タワーに沿ってエレベータのように昇降するステージを取り付け、大型クレーンを必要とせずに風車を組み立てることができる「ウインドリフト工法」を開発し、施工ヤードの面積を大幅に縮小しました。また、ハブとブレード(風車の中心部と羽)を保安林上空であらかじめ水平に組み立て、建て起こしてリフトアップすることで、風の影響を軽減しました。

今回の受賞は、風車組み立ての施工プロセスを改善した結果、建設費の削減と安全性の向上を実現したこと、また施工ヤードを必要最小限に抑えて周辺環境への影響を低減させたことが高く評価されました。

大型風車3基による発電は約5000世帯の年間消費電力量に相当します

第61回BCS賞

豊中市立文化芸術センター

(建築主:豊中市、設計者:日建設計、施工者:大林組、河崎組)

豊中市立文化芸術センターは大阪府豊中市の文化芸術活動の一環として、約50年前に建設された市民会館を、大小のホールを備える施設に建て替えたもので、2017年にグランドオープンしました。国内初の大規模RM造(※1)で、ホールのほか、展示室や多目的室を併設。市民の利用も多く、人々の交流の場、創造の場として、文化芸術の拠点となっています。

厚さ36cm(従来の1.8倍)の「大断面RMブロック(※2)」を開発し、自由度の高い設計を可能にしました。ブロックが構造の一部となり、型枠を用いないため廃材を出さず環境負荷を低減。中性化しにくく耐久性が高いことも特徴です。

今回の工事は、ブロック約5万個を使用する大規模・大断面RM造という世界でも類のないもので、ブロックの製造には素材の品質や性能を追求。実物大模型を作成して特性を確認し、製造方法や施工方法を決定しました。

今回の受賞では、大型コンクリートブロックによるRM造を大規模建築に適用したことや、自然光を効果的に取り込み周辺環境とも調和させ市民に親しまれるパブリックスペースを実現したことが高く評価されました。

  • ※1 Reinforced Masonry:鉄筋コンクリート組積造
  • ※2 RMブロック:寸法、幅54cm×高さ15cm×厚さ36cm
 
RMブロックと地場産の杉材を建築素材に活用。周辺の住宅環境になじむよう1、2階の階高を3.15mに抑え、ヒューマンスケールとすることで調和を図っています

日本橋二丁目地区プロジェクト

(建築主:日本橋二丁目地区市街地再開発組合、太陽生命保険、高島屋、三井不動産、設計者:日本設計、プランテック総合計画事務所、Skidmore, Owings & Merrill LLP、大林組、鹿島建設、施工者:大林組(A街区)、竹中工務店(B街区)、鹿島建設(C・D街区))

日本橋二丁目地区プロジェクトは、重要文化財に指定された老舗百貨店本館の保存・再生を核に街のにぎわいを創出する市街地再開発事業で2019年に完成しました。

歴史的建造物を保存活用するB街区、既存市街地を更新して超高層棟を新築するA、C街区、地域防災倉庫などを備えるD街区などで構成されています。

大林組が担当したA街区では地下5階、地上27階建ての太陽生命日本橋ビルを建設しました。地下空間の最大化と地上部の耐震性能の向上に向けて、合理的な構造フレームを構築。地上階からつながる柱を地下の地中連続壁と定着させることで、地下設備空間の確保と災害に強い建物を実現しました。

今回の受賞では、百貨店本館の歴史や意匠が持つ求心力を街区全体に波及させ、老朽化建物の機能を更新するなど、新たな都市の価値を創出していることが高く評価されました。

 
重要文化財を含む街区全体の駐車場や地域冷暖房機能などを新築するA、C街区の地下空間に備えることで街全体の価値を向上させました

大林組は今後も、建設プロセスに関わるすべての関係者と良好な関係を築き、良質な社会基盤の創出や心地よい空間づくりに努めるとともに、安全で安心な暮らし、文化の創造・継承、そして建設技術の発展に貢献してまいります。