洋上風車基礎「スカートサクション」を実海域で1年間にわたり設置し実証

支持性能および環境への影響を確認しました

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、洋上風車基礎「スカートサクション®」を実海域において1年間にわたり設置することで、その支持性能と環境への影響を確認しました。

実海域での設置状況
実海域での設置状況

大林組が開発したスカートサクション(※1)は、洋上風車の基礎を、水圧を利用して海底地盤に貫入する技術で、杭を打ち込む方式のモノパイル構造などでは施工が困難な岩盤が浅部に出現する海域でも強固に固定できます。また、利用終了後にはスカート内に水を注入することで、水中に基礎を残すことなく半日で完全撤去できるという特長があります。加えて、水深が40~50mと大水深化し、風車が14MW以上と大型化した場合でも、その基礎部に採用することで、工期・コストを削減することが可能です。

大林組は、かねてから実海域で実物大のスカートサクションの設置と撤去を実施するなど、現場での実適用に向けて、実証を繰り返してきました。このたび1年間(2020年5月~2021年5月)にわたって実海域で設置し、その季節ごとの波浪条件下での挙動計測や海洋環境への影響を確認、その後完全に撤去するまでのフローを実施しました。

1年間の実証結果は以下のとおりです。

年間を通した波浪条件での支持性能を確認

過去に実施した港湾内での載荷試験、実海域での夏季2週間の波浪下での実証試験を経て、今回は、高さを約3m延長させた試験体(高さ35.7m、スカート径12m)を、冬季間を含む1年間にわたり実海域波浪条件下で設置し、挙動計測を実施しました。2021年2月には50年に一度という厳しい海象条件に見舞われましたが、大きな変状を来すことなくその支持性能を実証することができました。

50年に一度の高波の状況(2021年2月)
50年に一度の高波の状況(2021年2月)

海洋環境への影響確認

設置後、大林組が開発した水中ROV(Remotely Operated Vehicle)「ディアグ」による海洋環境への影響調査を実施した結果、基礎が漁礁のような役割を果たし、イシダイをはじめとする沿岸域の海洋生物が集まってきていることが確認されました。

沿岸域の海洋生物が集まっている様子
沿岸域の海洋生物が集まっている様子

大林組は、スカートサクションの現場適用による高性能かつ低コストな洋上風車の建設を通して、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

1年を経て完全撤去されたスカートサクション
1年を経て完全撤去されたスカートサクション
  • ※1 スカートサクション
    頂版および頂版から下方に伸びた円筒形の鉛直壁(スカート)で構成されており、スカート内からの排水によって発生するサクション(スカート内が静水圧以下になること)を利用して海底地盤に貫入させる。大型の杭打機などが不要なため、無振動・無騒音で基礎の施工が可能

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 コーポレート・コミュニケーション室 広報課
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プレスリリースに記載している情報は、発表時のものです。