熊本城天守閣が耐震改修で国土交通大臣賞、広島平和記念資料館が耐震改修優秀建築賞を受賞

サステナビリティ

日本建築防災協会が主催する「令和3年度(第11回)耐震改修優秀建築・貢献者表彰」において、大林組が改修工事を行った熊本城天守閣(熊本県熊本市)が国土交通大臣賞 耐震改修優秀建築賞を、広島平和記念資料館(広島県広島市)が耐震改修優秀建築賞を受賞しました。

この表彰は、耐震改修を実施した建築物のうち、特に耐震性、防災・安全性、意匠などに優れた建築物や、耐震改修技術の発展などに顕著に貢献した個人・団体に贈られるものです。

国土交通大臣賞 耐震改修優秀建築賞

熊本城天守閣

2021年3月に復旧整備工事を終えた熊本城天守閣(左:大天守、右:小天守)

熊本城の天守(木造)は1877(明治10)年に焼失し、現在の天守閣は1960(昭和35)年に、SRC(鉄骨鉄筋コンクリート)造、RC(鉄筋コンクリート)造、S(鉄骨)造の混構造で復元されました。復元当時、特別史跡に指定されている石垣への影響を最小限とするため、軽量化の徹底、外周部の吊り架構の採用など、多くの工夫が施されましたが、2016年に発生した熊本地震により、屋根瓦や小天守の石垣などに大きな被害を受けました。

復旧事業では、建物の外観と石垣を震災前の状態に戻すとともに、地震発生時の揺れを大幅に低減する制震システム「クロスダンパー」での耐震補強や、すべての瓦を1枚ずつ固定する落下防止策により、外装材の耐震性能も高めました。また、スロープの新設やエレベーターの導入など、バリアフリー化も実施されました。

60年前の再建当時の構造を尊重しつつ、現代的手法によって天守閣と石垣の復旧整備工事を同時に進め、短期間での工事完了を実現した点などが高く評価されました。

  

耐震改修優秀建築賞

広島平和記念資料館

南北に並ぶ慰霊碑と原爆ドームの軸線を閉じるように東西に長く配置された広島平和記念資料館(写真提供:広島市)

1955年に建築家・丹下健三の設計により完成したもので、2006年には戦後の建築物として初めて国の重要文化財に指定されました。経年による老朽化が進んだことから耐震性能の確保に向けて、耐震改修が行われました。

意匠性・歴史性を高く保ちながら耐震補強するため、基礎免震(免震レトロフィット)による改修が行われました。免震レトロフィットとは、上部の建物に耐震部材を加えることなく、建物と地盤との間に免震装置を挟み込むことで建物の揺れを小さくする工法です。

慰霊碑、原爆ドームと共に、世界に平和を発信する施設として、凜とした姿を保存した耐震改修事例として高く評価されました。

大林組は、建築物の耐震性の向上に寄与することで、歴史的価値の保存と継承、安心して暮らせる街づくりに貢献していきます。