2022年度エンジニアリング功労者賞・奨励特別賞を受賞

ラオス・ナムニアップ1水力発電、作業員向け体調管理システム「Envital」、洋上風車基礎「スカートサクション」

サステナビリティ

エンジニアリング協会が主催する2022年度「第42回エンジニアリング功労者賞」と「第14回エンジニアリング奨励特別賞」が発表され、大林組の3つのプロジェクトが受賞しました。

エンジニアリング功労者賞は、エンジニアリング産業の発展に著しく貢献したグループ(チーム)や個人を表彰するもので、今年度はグループ表彰15件が選ばれました。エンジニアリング奨励特別賞は毎年、実用化が期待される先駆的技術の開発に功績のあったプロジェクト7件が選ばれます。

エンジニアリング功労者賞

国際貢献部門

ナムニアップ1水力発電所建設プロジェクトチーム(関西電力、大林組)

ラオスのナムニアップ1水力発電所建設プロジェクトは、関西電力、タイ電力公社およびラオス国営投資会社が出資する水力独立系発電事業者プロジェクトです。メコン川支流のナムニアップ川中流域に、2つのダム・発電所を建設しました。主発電所(出力272MW)の電力はタイ電力公社に、逆調整発電所(出力18MW)の電力はラオス電力公社に27年間売電され、その後ラオスに譲渡されます。

今回の受賞では、現地の技術者を育成しながら世界最高レベルの高速施工と高い品質確保を同時に達成したこと、本プロジェクトがタイ・ラオス両国の産業や経済の発展に寄与し、今後も長期にわたってラオスの技術者養成や新たな電源開発に寄与していくものであることなどが評価されました。

メインダム全景。大林組はメインダムと逆調整ダム、道路工事、転流用トンネル工事など土木建築工事の全般を担当。ダムのコンクリート打設では、高度な品質管理によって高速施工を実現した



中小規模プロジェクト枠部門

作業員向け体調管理システム開発チーム(大林組)

夏場の作業環境が厳しい建設現場での熱中症災害発生ゼロをめざして、各作業員の生体情報と環境情報の両方をクラウド上で管理する作業員向け体調管理システム「Envital(エンバイタル)」を開発しました。

リストバンド型バイタルセンサから現場内の中継器を経由して送信された心拍数のデータを、暑さ指数計から送信された作業員近傍の暑さ情報と組み合わせることで、一人ひとりの熱中症危険度を判定します。

今後、建設現場だけでなく、工場などの生産現場での利用にも展開が見込めるほか、ニーズが高まっているバイタルセンシングを応用した健康管理サービスへの展開も期待できる技術として高く評価されました。

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作業員の体調が表示される管理者画面(左)、作業員リストバンド(右)。リストバンドは装着後、電源を入れるだけでクラウド通信が開始する新システムを構築。心拍数に応じてアラートが発出されるため、管理者は作業員へのきめ細やかなケアが可能となる



エンジニアリング奨励特別賞

実プロ化が期待される先駆的技術

洋上風車基礎「スカートサクション」開発チーム(大林組)

スカートサクションは洋上風車の基礎やアンカーを、高性能かつ低コストで実現する海洋構造物です。基礎頂版から下方に伸びた円筒形の壁(スカート)を海底地盤中に貫入させ内部の水圧を下げることで、洋上風車を強固に固定します。海底地盤への設置の際に大型の機械などが不要となるため、従来工法に比べて大幅な工期短縮を図ることができ、また、生息魚類への影響もありません。

着床式洋上風車基礎として適用することで、建設のコストダウンや立地可能領域の拡大が図られ、風力発電の促進による国内全体のカーボン・ニュートラルや温室効果ガス低減に大きく寄与するとして評価されました。

  • 国内で初めて、一般海域での1年にわたる実証施工を実施。50年に一度の高波浪下においても変形が見られず、洋上風車基礎としての長期健全性を検証できた

  • 貫入・撤去作業時にも海洋生物に対しての影響がまったくなく、洋上風力発電施設が底魚の人工漁礁として機能する可能性も確認された


 

大林組は、これからも技術と知恵を結集したエンジニアリングによって、国内はもとより海外においても安全に安心して暮らせる街づくりに努め、持続可能な社会の実現に貢献していきます。