木造の仮設現場事務所として日本初となるZEB認証を取得

自社製造のグリーン水素活用や施工中の脱炭素施策と合わせてCO2排出量を大幅に削減します

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、CO2の固定化効果がある木造の仮設現場事務所として日本初となるZEB認証(netZEB)(※1)を取得しました。また、グリーン水素の活用や、施工中の脱炭素施策の実証を通じて、CO2排出量の大幅削減をめざします。

大林組は、温室効果ガス排出削減目標として施工中の排出を含むScope1+2において、2030年度までに2019年度比46.2%削減することを掲げており、2022年10月にSBT認定(※2)を取得しました。

今般、その目標に向けた取り組みとして、水素のリーディングカンパニーであり、脱炭素社会の実現に取り組んでいる岩谷産業株式会社(本社:大阪府・東京都、社長:間島寬)発注の「研修施設計画」(神戸市)の建設現場において、CO2排出量削減に資する各施策の実証を実施します。

    

その第一弾として、建設現場で必要となる仮設現場事務所を、従来の軽量鉄骨造からCO2を固定化できる木造とし、ZEB認証(netZEB)を取得しました。また、大林組が大分県玖珠郡九重町で製造したグリーン水素を活用した水素燃料電池による仮設現場事務所への電力供給にも取り組みます。

加えて、軽油代替燃料や電動フォークリフトの利用などさまざまな施策を通じて、施工中のCO2排出量削減をめざします。

岩谷産業「研修施設計画」 完成予想図(外観)

本実証での取り組みは以下のとおりです。

木造の仮設現場事務所におけるZEB認証を取得

木材はその成長過程においてCO2を吸収しており、その利用はCO2を長期間固定することとなり、脱炭素化に貢献するだけでなく、「使う・植える・育てる」というサーキュラーエコノミー(循環型経済)の観点からも注目されています。

そこで、大林組は建設現場に不可欠な仮設現場事務所に木材を取り入れるため、木材部品をユニット化(※3)することで木造の仮設事務所を実現しました。本事務所は、太陽光パネルによる創エネルギーと、高断熱や高気密な内装仕様に加え高効率な設備機器の導入による省エネルギー化で、2022年10月に、木造仮設現場事務所としては国内初となるZEB認証を取得しました(2023年1月完成)。仮設工事事務所をZEB化したことで、約15,000CO2kgの削減効果が図れ、これは工事全体の通常の電力消費によるCO2排出量の約2割(当社試算)に相当します。

また、本事務所や太陽光パネルは、使用後には他の現場へ転用を図っていきます。

執務スペースのイメージ

グリーン水素などの次世代エネルギーの採用

燃焼してもCO2が発生しない水素は次世代エネルギーとして注目されています。本事務所では、水素燃料電池(※4)を設置し、大林組が大分県玖珠郡九重町で製造するグリーン水素ならびに岩谷産業が製造する水素を利用して電力供給を行います。

施工中の脱炭素施策に関する取り組み

施工中の脱炭素に向けた施策として、主に以下の項目についての実証実験を行い、施工段階のCO2削減効果を検証します。

  • ハイドロカット(溶接ガス)の採用(アセチレンに比べて、84%のCO2を削減)
  • 建設機械の燃料として燃料をGTL燃料を活用(軽油に比べて、8%程度CO2削減)
  • フォークリフトの電動化
  • スマートメーターによる使用した燃料・電力使用量の正確な把握
当該現場で実施予定の脱炭素施策

建設時のCO2排出量の削減は、大林組のScope1+2の達成のみならず、発注者のScope3への貢献につながります。大林組は、本実証を通じて得られる知見を他現場にも展開し、2030年における温室効果ガス排出削減目標の達成に向けて、今後もさまざまな取り組みを行っていきます。

  • ※1 ZEB認証(netZEB)
    Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の略称で、快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることをめざした建物のこと。 4段階のランクに分けられており、今回の認証は、BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)において、省エネと創エネにより、エネルギー削減率100%以上が達成される最高ランクの認証を受けた
  • ※2 SBT(Science Based Targets)
    パリ協定が求める水準と整合した、5年~15年先を目標年として企業が設定する、温室効果ガス排出削減目標のこと。国際的な温室効果ガス排出量の算定と報告の基準として開発された「GHGプロトコル」で定められた温室効果ガス排出の区分をScope1~3としている
    Scope1...事業者自らによる温室効果ガスの直接排出
    Scope2...他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
    Scope3...Scope1、2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)
  • ※3 ユニット化する手法を検討
    本件は西尾レントオール株式会社の協力のもと実施
  • ※4 水素燃料電池
    本件はパナソニック株式会社製の水素燃料電池を使用

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 コーポレート・コミュニケーション室広報課
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