次世代の道路構想「ダイバーストリート®」の実物大モックアップ構築による性能検証を実施

鋼矢板の本設利用の施工性、支持力特性などの評価と工期短縮を確認しました

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、大林組技術研究所(東京都清瀬市)内の実証フィールドにおいて、地下空間を活用する次世代道路構想「ダイバーストリート」の実物大モックアップを構築し、施工性や支持力特性、水平変位特性および工期短縮などを確認しました。

「ダイバーストリート」イメージ

「ダイバーストリート」では、地下空間を構築する際に従来の工法(PCaボックスカルバート)において土留め壁として使われていた仮設鋼矢板を、支持構造物として本設利用します。

鋼矢板の引き抜き工事と側壁の躯体工事が不要となり、工場で製作するプレキャスト床版のみを現地に運搬、設置することで、コスト削減、工期短縮および掘削エリアの縮小が可能です。

「ダイバーストリート」構造図

「ダイバーストリート」の施工手順

「ダイバーストリート」のモックアップ構築により、確認できた事項は以下のとおりです。

「ダイバーストリート」全体の施工性

打設した鋼矢板とボルト接合した鋼板の上にレベル調整板とソールスポンジ(※1)を設置することで、最大3cm生じていた鋼矢板同士の天端高さのずれを吸収し、プレキャスト床版を精度良く設置できます。また、ソールスポンジに囲まれたスペースに無収縮モルタルを充てんすることにより、プレキャスト床版と鋼板を短時間で一体化することが可能です。

(左)鋼矢板圧入 (右)プレキャスト床版設置完了

鋼矢板の支持力確保と沈下抑制対策の有効性

実証フィールドの深部が硬質地盤であったため、クラッシュパイラー(※2)を用いて先行掘りをした後に鋼矢板を建て込みました。

鋼矢板を支持構造物として本設利用するため、根固め注入(※3)して支持力確保と沈下抑制対策を行い、車両重量約20tのダンプトラックが走行した際の鋼矢板の沈下量を0.1mm以内に抑えることができました。


鋼矢板の水平変位抑制対策の有効性

実証フィールドの浅部が軟弱地盤であったため、掘削すると鋼矢板が内側に転倒する危険がありましたが、掘削する前に高圧噴射攪拌工法により地盤改良体を造成しました。その結果、掘削後における鋼矢板頭部の水平変位を2mmに抑えることができました。

車両走行試験

全体工期の短縮

今回構築した「ダイバーストリート」のモックアップと、同規模の地下空間を従来工法(PCaボックスカルバート)で構築した場合の施工日数を比較した結果、ダイバーストリートで施工した場合、幅の広い鋼矢板を使用することで、打設枚数が低減するうえ、鋼矢板の引き抜き工事や側壁の構築工事が不要となり、全体工期が約18%短縮されることが分かりました。

従来工法とダイバーストリートの工期比較

モックアップ完成後には、地下空間にて自律搬送ロボットの走行デモ実験を行いました。

今後、モックアップを経過観察し、地下空間の利用アイデアの検討、街や道路の進化に合わせてアップデートできる路面の研究開発を進めていきます。

大林組は、「ダイバーストリート」の具体的な施工地の選定を進めるとともに、地盤条件に応じた施工方法や求められる地下空間の用途に応じた設計方法を開発することで、将来のスマートシティを含め、都市のインフラ基盤構築に貢献していきます。

搬送ロボット走行デモ
  • ※1 ソールスポンジ
    無収縮モルタルが硬化するまで漏れないように設置するクッション性の高い型枠材
  • ※2 クラッシュパイラー
    硬質地盤に鋼矢板を建て込むため、オーガによる先行掘削機能を搭載した鋼矢板の圧入機械
  • ※3 根固め注入
    地盤中をボーリング掘削し、セメントベントナイトなどの固化材を充てんする作業

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 コーポレート・コミュニケーション室広報課
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