山岳トンネルの吹付けコンクリート作業に最適なノズル位置を自動で保つ「輪郭同調システム」を開発

ソリューション/テクノロジー

大林組は、古河ロックドリル株式会社と共同で、山岳トンネル掘削時の支保部材である吹付けコンクリートの施工において、簡易な操作で設計形状に沿った最適なノズル位置を自動で保つシステムを開発しました。

輪郭同調システム概要図

山岳トンネル工事では、掘削して露出される岩盤面に支保部材であるコンクリートを吹付けて地山を補強しながら施工を進めます。従来はコンクリートが吐出される吹付け機のノズルと岩盤面の距離が一定になるように、複数ある吹付け機の機構を一人のオペレーターが同時にレバーで操作していました。その際ノズルの距離によっては、吹付けされたコンクリートが付着せず、跳ね返りが生じて粉じん量が増加します。さらには材料のロスが発生するため、作業時間が増加し生産性が低下します。吹付け作業は、吹付けの仕上がりや作業速度が作業員の技能に左右される作業となるため、技能の熟練度によらない簡易な操作で運転できる吹付け機が求められていました。

大林組は、2018年に通常より少ない操作でノズルを最適位置に動かすことができるコンクリート吹付け機を開発していましたが、さらなる操作の簡素化と品質向上を実現する「輪郭同調システム」を開発しました。

輪郭同調システムは、古河ロックドリルの工場内での動作確認、試験施工を2022年12月に実施し、2023年4月から国内のトンネル工事現場で、その有効性を確認しています。

大林組は、山岳トンネル工事に本システムを積極的に導入することで、生産性の向上や現場の作業環境の改善、さらには施工品質の向上を図ることで、社会インフラの安全かつ迅速な整備に貢献します。