振動やCO2排出量を抑制、油圧ショベルバケットの土付着抑制部材「ジオドロップ™」を開発

土木事業

大林組と大林道路は、環境に優しい施工とCO2排出量の削減が可能な油圧ショベルバケットの土付着抑制部材「ジオドロップ」を開発しました。

土工事や地盤改良工事などにおいて、粘土質の土を掘削する場合には、特に油圧ショベルのバケットに土が付着しやすいため、作業効率が低下することが課題となっています。

作業効率の低下を避けるため、バケットを揺動させたり、衝撃を与えたりして土を振り落とす作業が行われることから、大きな騒音や振動の発生につながり、周辺環境に配慮した施工が求められていました。

そこで、フッ素樹脂(PTFE)と金属を直接接合したジオドロップを油圧ショベルバケットの底面と側面に貼り付けることにより、土が付着しづらくなる技術を開発しました。

これにより、重機の稼働時間を1~2割抑制するとともに、バケットの揺動・衝撃作業を9割削減できます。

ジオドロップを設置した油圧ショベルバケット
ジオドロップの構造(長さ:1mまで、幅:10㎝)

実際の土工事現場において、ジオドロップを貼り付けた油圧ショベルと無対策の油圧ショベルを同一時間稼働させた結果、残土重量が7割程度低減しました。また、揺動・衝撃作業の削減によって約12dB(デシベル)の騒音低減効果があり、振動対策としても有用であることを確認しています。なお、重機の稼働時間の抑制やバケットの揺動・衝撃作業の大幅な削減により、一般的な油圧ショベルではCO2の排出量を1割程度削減できます。

【残土重量の比較(100m³地山掘削後)】

無対策の場合、残土50kg
ジオドロップ付きの場合、残土15kg
バケットの揺動作業の様子(左写真)と通常作業時の騒音測定値の比較(右グラフ)

ジオドロップは、油圧ショベルの掘削・積み込み作業を効率化させ、重機の稼働時間を抑制します。これにより、CO2排出量の抑制や騒音・振動の発生抑制、バケットの延命化などの効果が得られるため、ジオドロップの普及を通じて、環境に優しい施工や脱炭素社会の実現に貢献します。

また、近年実用化が進められている自動・自律運転による油圧ショベルにおいても、ジオドロップを採用し、さらなる生産性向上にも寄与します。