鳥取県の山林に人工光で育てた苗木約700本を植林

木材の利用促進と森林の循環利用に貢献します

ソリューション/テクノロジー

大林組は、鳥取県日南町において、人工光で苗木を安定的に栽培・育成する「人工光苗木育成技術」により育てたカラマツの苗木約700本を実際の林地に植林しました。

約30cmに成長したカラマツの苗木。カラマツは木材強度がスギやヒノキより高く、構造材や大断面集成材などの利用に適している

大林組は、Obayashi Sustainability Vision2050を策定し、脱炭素やサステナブル・サプライチェーンの共創などをめざしています。その実現に向けて、木造木質化建築における循環型ビジネスモデルCircular Timber Construction®(※1)を掲げ、木材の利用推進と、森林の持続的な循環利用に取り組んでいます。

循環利用の中で川上に当たる「植林・育林」では、タイミングよく苗木を調達する必要がありますが、従来の植林用苗木の生産方法は露地栽培が主流です。そのため、天候に左右されることや苗木の出荷までに要する期間が最長2年程度かかるなど、苗木の安定供給が課題でした。

大林組は、木造建築物の構造部材として利用可能なカラマツをはじめとした苗木を、室内において人工光による環境制御を行い、種まきから出荷可能なサイズまで育成する技術を有しています。これにより、環境や季節にかかわらず、植林用の苗木を出荷時期に合わせて育成できるため、安定的かつ効率的に供給できます。

今回、人工光で育成した苗木を鳥取県日南町森林組合の圃場(ほじょう)でさらに育成し、樹高・根元径が良好な苗木となったことから、大林組は同組合による皆伐・再造林の機会に合わせ、約700本の人工光育成苗木を植林しました(※2)。これほどの本数の人工光育成苗木を、実際の林地に植林した事例はありません。

カラマツの苗木は日南町森林組合の協力により、一本一本丁寧に植林

鳥取県日南町は中国山地のほぼ中央に位置し、町面積の9割(3万ha)が森林で、循環型林業モデルとして、製材や建材製造、バイオマス利用等、木材のカスケード利用を進めるとともに、スマート林業や皆伐再造林用の苗木生産などを進めています。大林組はかねてから地域の皆様と協力し木材利用に関するさまざまな検討を行っており、今回の取り組みもその⼀つです。

鳥取・野呂山の植林地
樹齢約60年のカラマツ林

大林組は人工光苗木育成技術について、各地域の植林地への展開を検討し、再造林への取り組みを促します。これにより、木材供給の安定化・効率化を図り、サプライチェーンの最適化に寄与するとともに、木材利用による森林の持続的な循環サイクルを推進します。

  • ※1 Circular Timber Construction®
    木造木質化建築の推進にとどまらず、大林グループが保有する森林関連の事業実績やノウハウ・知見を活かし、国産木材に関する川上(植林・育林)から川中(加工・調達)、川下(建設、発電、リユース・リサイクル)まで、素材生産~製材~利用~植林という循環サイクル全体を持続可能で最適なものにする取り組み
  • ※2 今回は自然光育成苗木約400本も調達できたため比較用として同時に植林しています。