機関投資家・証券アナリスト向けに改正労働基準法の対応状況ついてオンライン説明会を開催

株主・投資家情報

大林組は、株主を含む機関投資家や証券アナリストの皆様に事業活動などへの理解を深めていただくため、現場見学会や事業説明会を開催するとともに、大林グループの個々の分野における取り組みや研究開発の内容など、テーマを絞った内容を紹介する目的としてトピック説明会を開催しています。

2月26日、大林組は、2024年4月から適用となる改正労働基準法に向けた取り組み状況についてのトピック説明会をオンラインにて開催し、機関投資家や証券アナリスト51人が参加しました。

建設業においても、2024年4月から改正労働基準法が適用となります。改正労働基準法が適用される影響については、機関投資家や証券アナリストから非常に多くの質問を受けています。

そこで、人事部・働き方改革推進プロジェクト・チームからは全社的な取り組みと現場における4週8閉所の取り組みについて、営業総本部からは適正工期での受注状況などについて、DX本部からは働き方改革や生産性向上に資するICT活用の最新事例についてそれぞれ説明しました。

大林組執行役員の富岡による挨拶
  

説明会での主な説明内容

全社的な取り組み

  • 2017年度から社内横断的な体制として、各部門から選ばれたメンバーで構成された社長直下の「働き方改革推進プロジェクト・チーム」を組成し、総労働時間の縮減や休日取得を促進
  • 2021年度から時間外労働時間上限規制の4つの基準をKPI(数値目標)として設定し、全基準達成に向けた取り組みを実施。KPIの全基準達成率は2023年12月末現在で95.9%
  • 出勤簿の見える化、四半期に1回のeラーニングの実施、働きがい向上に向けた人事諸制度の見直し(テレワークの制度化、時差出勤制度・別居者帰省旅費制度の拡充、資格手当の新設等)を実施。今後は、時期による繁閑差が大きい現場における総労働時間・法定時間外労働時間の縮減を狙った変形労働時間制の本導入や、勤怠モニタリングの強化などを実施予定
  • 協力会社に対しても教育を実施し、共に対応を推進
建設現場での働き方改革に貢献した好事例の特集記事を作成し、イントラネットに掲載

4週8閉所の状況

  • KPI達成にあたり、4週8閉所工期で受注することが必須
  • 2023年度の国内建築工事における4週8閉所での受注状況は、年度目標70%に対し53%(※1)
    • ※1 調査対象期間に顛末(てんまつ)判明した請負金1億円以上の物件が対象
  • 2023年度の4週8閉所の実施状況は、国内建築現場51%、国内土木現場64%
大林組における4週8閉所での国内建築工事と受注段階の閉所状況の推移

ICTを利用した働き方改革に資する具体的な取り組み

  • DXを導入することで、これまでかかっていた移動時間や人による作業を大幅に減らすことが可能
  • 重機による掘削作業などによりアクセスが困難だった地下空間の進捗管理業務を、ドローンの導入により、1日当たり約15%削減可能とし、かつ安全巡視頻度の増加が可能

大林組は、今後も人事・営業・DX部門だけでなく、施工支援部門など全社一丸となって、特に繁忙のある建設現場をサポートしながらKPIを達成するだけでなく、協力会社とともに働き方改革を実現することで、建設業のウェルビーイングの向上にも努めてまいります。

説明会での主な質疑応答

  • Q. KPI達成に向けて効果が出ている理由は
  • A. eラーニングなどを通して従業員による制度の理解が深まったことで、個人単位で業務の効率化を考えることができるようになった。また、テレワークの実施や時差出勤などの人事制度の見直しも労働時間の縮減につながっている。
  • Q. KPI達成にあたりネックになっている点は
  • A. 「特例回数制限(月45時間を超えられるのは年6回まで)」の達成が難しい。個々人の考え方、現場や部門の業務効率、勤怠管理者が部下にどのような仕事の与え方をするか、業務の平準化に向けてどのような業務の割り振りをするかが鍵になっている。
  • Q. 時間外労働時間上限規制KPI達成に向けた対応策としてのノンコア業務の外注化の効果は
  • A. ノンコア業務を外注することで、社員が利益回復も含めたコア業務に集中できている。現在は制度導入の過渡期でその分人件費やノンコア業務対応費などの経費が一時的に増えているが、今後はBPR(Business Process Re-engineering)化などで徐々に施策の成果が出て利益の回復に貢献していくと考えている。
ノンコア業務の外注化活用のイメージ
  • Q. 適正工期の提示に基づく結果、失注に至ったケースはあるか
  • A. これまでは聞いていないが、今後は施工能力を勘案し、適正利益と工期を確保することが課題になる。4週8閉所で受注しなかった工事については、今後閉所を増やす場合工期が伸びてコストアップにつながってしまう可能性があるため、そうならないよう生産性向上が重要となる。
  • Q. DXの取り組みで、ドローン以外で働き方改革に寄与するものは
  • A. 帳票や工事記録の作成については、発注者や設計管理会社によりフォーマットが統一されていないことが多く業務時間がかかる。大林組がMetaMoJi社と共同開発しているツール、デジタル野帳「eYACHO」を使い、帳票をテンプレート化して対応している。また、プロミエなどBIMと連携して進捗管理できるシステムなども現場に順次導入しており、生産性向上に効果が出てきている。

この件に関するお問い合わせ先
大林組グローバル経営戦略室IR・SR部
お問い合わせフォーム