人材マネジメントの取り組み
安全に、健康に、活躍できる
大林グループは、社員一人ひとりが自らの能力を最大限発揮するためには、心身ともに健康でいられること、互いに尊重し、信頼に基づく建設的な議論ができることが重要と考えています。健全で快適な、風通しのよい職場環境を整備することで組織力の一層の強化・活性化に繋げていきます。
労働安全衛生の確保
働く人の安全と健康を確保し、快適な職場環境の形成を促進することを安全衛生理念に掲げ、日々の安全衛生活動を推進しています。
健康経営の推進
健康経営方針
大林グループは、「『地球・社会・人』と大林グループのサステナビリティの実現」をめざし、「人を大切にする企業の実現」を基本理念に掲げています。また、大林グループ人材マネジメント方針では「安全に、健康に、活躍できる」を第一に掲げ、健康経営を人材マネジメント戦略の重要な位置づけとしており、次の健康経営方針を制定し、企業価値の向上とグループの全社員とその家族のウェルビーイングの実現に向け、積極的に推進します。
健康経営方針
大林グループは、社員とその家族のウェルビーイング実現に向けて、働きがいのある職場環境を整備するとともに、心身の健康改善・保持・増進への取り組みを支援します。
健康経営推進体制
大林グループの健康経営は、社長が責任者となり、経営会議のもと、経営計画委員会および同委員会に設置した人材マネジメント専門委員会(推進者:人事担当役員)が方針・戦略を策定し、その傘下に置かれた健康経営推進専門部会が、全国土木建築国民健康保険組合などと連携を図りながら、具体的な施策を推進しています。同専門部会では、人事・経営企画部門が中心となり、産業医や公認心理師・臨床心理士と協働し、グループ全社員の健康診断データなどの分析、検証を踏まえた職場環境の整備など、社員とその家族の健康保持・増進に向けた施策の立案、推進に継続的に取り組みます。
経営課題と最終目標
健康経営の推進により解決したい経営課題を「企業の持続的成長」「人的資本の充実」「社員とその家族の健康保持・増進」とし、次の4つの最終目標達成をめざします。
- ワークエンゲージメントの向上
- 労働生産性の向上
- プレゼンティーイズム(疾病中の就業)の低減
- アブセンティーイズム(疾病による欠勤)の低減
指標(健康経営戦略マップ)
健康経営のこれまでの実績
『健康投資施策の取り組み状況に関する指標』に対する実績
指標 | 単位 | 目標値 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
---|---|---|---|---|---|---|
健康診断受診率 | % | 100 | 97.7 | 98.5 | 98.7 | 98.3 |
医師面談指導実施率 | % | 100 | 55.3 | 64.3 | 69.9 | 68.1 |
長時間労働面談実施率 | % | 100 | 91.1 | 90.0 | 99.4 | 95.1 |
インフルエンザワクチン接種率 | % | - | 49.6 | 42.1 | 33.3 | 40.2 |
フィジカル・メンタルのイベント・研修などへの参加者延べ人数 | 人 | - | 1,333 | 1,289 | 1,251 | 1,191 |
ストレスチェック受検率 | % | 100 | 94.8 | 94.2 | 95.6 | 96.5 |
禁煙外来受診者数 | 人 | - | 6 | 1 | 3 | 8 |
『社員等の意識変容・行動変容に関する指標』に対する実績
指標 | 単位 | 目標値 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
---|---|---|---|---|---|---|
健康診断有所見率 | % | 40未満 | 38.8 | 38.7 | 38.6 | 35.0 |
メタボリックシンドローム判定基準該当率 | % | - | 12.4 | 12.8 | 12.5 | 12.7 |
メタボリックシンドローム判定予備群該当率 | % | - | 14.7 | 14.7 | 15.2 | 14.5 |
従業員満足度 | % | 70以上 | - | - | 78.4 | 80.9 |
一人当たり月平均残業時間 | 時間/月 | - | 39.0 | 41.8 | 37.5 | 35.0 |
年次有給休暇取得率 | % | - | 56.0 | 46.7 | 51.7 | 55.4 |
喫煙率 | % | - | 22.9 | 21.6 | 21.0 | 20.8 |
病気休職率 | % | - | 0.20 | 0.25 | 0.36 | 0.37 |
施策・取り組み
【各種健康診断の実施】
定期健康診断では受診率100%をめざしており、併せて有所見者の2次健診受診率(2023年度2次健診受診率 68.1%)の向上に取り組んでいます。その他、特定業務従事者の健康診断なども実施しています。
また、各種健康診断以外に人間ドッグを受診する社員とその被扶養者である配偶者(本人、配偶者共に30歳以上が対象)には、受診費用の補助(全額・一部)を実施しています。
【社内診療所の設置】
本社・東京本店に健康管理センターと歯科診療所を、大阪本店には診療所を設置しています。一般内科診療のほか、禁煙治療や睡眠時無呼吸症候群に関する検査などを実施しています。併せて、社外健康相談窓口においても電話やメールによる相談に対応しており、社員とその家族の疾病予防に努めています。
【長時間労働者の医師による面談指導】
長時間労働者の心身の不調や脳・心疾患の発症をいち早く発見、予防するために医師による面接指導の実施を確実にできるよう、オンラインも活用しながら行っています。面談結果に応じて、社員への指導を行うとともに、必要な措置を講じるなどしています。
【感染症拡大防止対策】
平常時から新型インフルエンザ対策ガイドラインを作成し、新型インフルエンザ発生時には同プログラムに基づき、遅滞なく対策を図ることとしています。
予防策の一環として、毎年季節性インフルエンザワクチンの予防接種の実施や、ノロウイルス感染症について通知を行うなど、感染症対策への意識啓蒙を図っています。
【海外赴任者へのサポート】
海外勤務者については、予防可能な感染リスクを防ぐために、渡航前に渡航地域に応じた各種予防接種を推奨し、希望者には、会社負担で予防接種を行っています。また、海外赴任者とその帯同家族を対象とした、電話やWebによる健康相談の窓口を設置しています。
【健康サポート活動】
大林組職員組合や大林組体育会のクラブが各種スポーツイベントを開催するほか、社外イベントもイントラなどで情報提供し、運動機会の活用や健康に対する意識の向上をめざしています。
【社員食堂の健康メニュー】
メニューにエネルギー、塩分、脂質量を表示するなど食生活の面から健康意識の向上を促すほか、大豆ミートやBAP認証(※1)食材などのサステナブルフード(※2)を取り入れ、健康的なメニューを提供しています。
- ※1 BAP認証
Best Aquaculture Practices。養殖水産物のふ化場、飼料工場、養殖場、加工工場を対象とし、そのすべての段階において環境や社会への責任、養殖される魚介類の健康、食品安全を保証する認証制度 - ※2 サステナブルフード
地球環境や社会に配慮して生産された食材、食品
【メンタルヘルス対策】
大林組は、すべての人が健康に働ける環境を整備するため、さまざまな機会を捉えて社員のメンタルヘルスケアに取り組んでいます。
毎年、全社員を対象にストレスチェックを実施しており、受検率向上と受検者へのアフターケアを推進しています。また、一人ひとりがメンタルヘルスに関する正しい知識を習得し、自分自身や部下の心の健康を保てるよう、新入社員、若年、管理職の各階層別研修において各種のメンタルヘルス研修を年間を通じて行っています。その他、メンタルヘルスの基礎知識や認知行動療法を用いたセルフケアを学ぶ動画をイントラネットで公開するなど情報提供を進めています。
社員が気軽に利用できる相談窓口の充実にも努めています。社内に「心の健康相談室」を設置し、専門医や公認心理師・臨床心理士が社員の相談に対応し、上司や人事担当者と連携し就労環境を調整するなど、社員のメンタルヘルスをきめ細かくサポートしています。24時間利用できる社外相談窓口も設置し、海外勤務者やその家族についてもメールや電話にて相談を受け付けています。
本社健康管理センター「心の健康相談室」公認心理師・臨床心理士の先生方より
社員の皆さんが、心身共に健康に業務にあたっていただけるよう、相談活動や研修を実施しています。
相談室では、社員の皆さんが気軽に相談できるようオンラインも活用しながら、仕事上の不安や悩み、心の健康についての相談に対応しています。また、必要に応じ管理職や人事担当者とも協力し職場復帰や環境調整を検討するなど、安心して働ける環境づくりへの支援を行っています。
研修では、若年層向けに自分のストレスに早めに気付き対処する「セルフケア」を認知行動療法を取り入れ提供しています。管理職向けには不調者への対応方法だけでなく、日頃の部下とのコミュニケーションの工夫、心理的安全性の高い職場づくりの視点を「ラインケア」として提供しています。
【禁煙治療の取り組み】
喫煙および受動喫煙により引き起こされる健康障害を予防するため、2009年8月から社内診療所(健康管理センター、大阪診療所)において禁煙外来を実施しており、2024年7月までに191人が受診しています。過去3年間の禁煙成功率は77.8%となっており、喫煙率は減少傾向にあります。
労働時間の縮減
建設業界では、建設現場における労働時間の縮減が重要な課題となっています。
大林組は、長時間労働是正のため、部門横断的な組織である「働き方改革推進プロジェクト・チーム」を設置し、計画的な休暇の取得と時間外労働の縮減に向けた環境づくりや意識啓発を通じて総労働時間の縮減に取り組んできました。
今後は「働き方改革」を次のステップへと進め、法令遵守はもとより時間外労働上限規制の原則(月45時間・年360時間以内)をあるべき姿として、互いを思いやり、働きがいをもって労働時間の削減に取り組める風通しの良い職場づくりを推進していきます。
2023年度 年間KPI達成率
具体的な取り組み
【休暇取得の推進】
- 休日取得推進ポスターの掲示
- 各種休暇制度の整備(年次有給休暇の一斉取得/時間単位での年次有給休暇制度/勤続年数の節目でのリフレッシュ休暇制度/工事事務所勤務者が取得できる現場休暇制度/転勤時に取得できる転勤時休暇制度など)
- 取得しやすい環境の整備(年次有給休暇の取得奨励日の設定/職場内における年休取得日の調整喚起)
【時間外労働の縮減】
- ICT活用による業務の効率化促進
最新のICT技術を利用したツールの積極的な導入により、業務の自動化、省力化、効率化を図っています。経費精算システムの導入による手続き簡素化、さらにはRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)などの導入など、大胆な業務の効率化を推進しています。 - 勤怠管理に関するeラーニングによる反復啓発の実施
- 職員組合と総労働時間縮減のための協議会の開催
- ノー残業デーの実施
【建設現場における4週8閉所の状況】
建設現場における4週8閉所(年間104日以上)について、一般社団法人日本建設業連合会(日建連)の基本方針に沿って、2024年度に100%達成することをKPIとして取り組んできました。その結果、2023年度の実施状況は建築・土木合わせて国内全建設現場の55.2%となりました。引き続き、社外関係者の協力のもと、さまざまな取り組みを進めています。
【適正工期設定に向けた発注者への働きかけ】
4週8閉所実現のためには適正な工期の設定が必要です。受注時に日建連作成のリーフレットを使用するなど、発注者へ適正工期発注の働きかけを行っており、発注者からの理解も高まってきています。4週8閉所が受け入れられる案件の割合も年々増加しており、2023年度の国内建築事業における4週8閉所以上での受注割合は61.8%(※3)となりました。
- ※3 請負金1億円以上、または工期4ヵ月以上の工事における割合
魅力ある多様な人材が集まる
企業を支えるのは社員一人ひとりであるとの考え方に基づき、新しい価値を創出し続けるため、ダイバーシティ&インクルージョンを推進しています。ジェンダー、国籍、文化、世代および障がいの有無などにとらわれることなく、多様な人材が等しく活躍できる職場づくりと、さらなる人材の確保と活躍推進に取り組んでいます。
ダイバーシティ&インクルージョンの推進
大林グループでは多様な考え方や個性を受け入れ、個々の強みや能力を引き出し、企業価値の向上や持続可能な成長につなげる「ダイバーシティ&インクルージョン」を企業成長の源と考え、2021年4月に「ダイバーシティ&インクルージョン推進部」を設置しました。「多様な人材が活躍でき、変化に前向きな進化する組織づくりに寄与する」というミッションの下、同部が中心となり人事部門や労働組合などと協働して、社員の意識改革、人事制度改革、そして社員が自ら行動変容を促す仕組みのバランスを意識したD&Iを推進しています。
関連情報
女性の活躍推進
大林組は早くから能力本位での採用・配属を実施するなど、女性の活躍を推進しています。
女性活躍推進法に基づいて数値目標を定めた行動計画を策定し、さらなる女性活躍推進への取り組みを進めており、女性技術者の意見交換会の開催、育児期間中の女性技術者が建設現場で勤務しやすい環境についての検討や整備などを実施しています。
【ダイバーシティ&インクルージョンの具体的な取り組み】
【女性活躍推進に向けた取り組みの遍歴】
実施年 | 大林組の動き | 社会の動き | ||
---|---|---|---|---|
1992 | 育児休職制度の導入 | 育児休業法施行 | ||
2003 | 職掌制度の廃止 (総合職、専門職、一般職の区分を撤廃) |
|||
2005 | 次世代育成支援対策推進法施行 | |||
2006 | 短時間勤務制度の導入 | |||
2008 | 配偶者出産休暇の導入 | |||
2016 | 次世代育成補助金制度の新設 | 女性活躍推進法施行 | ||
2017 | 子育て休暇の導入 | |||
2018 | 子育て連続休暇、育児のための時差出勤制度の導入 | |||
2022 | ・4月、出生時育児休業制度(産後パパ育休)の先行導入(法令適用10月) ・「えるぼし」認定3段階目(3つ星)取得 |
育児・介護休業法の改正 | ||
2023 | ・短時間勤務制度の対象者拡充 |
関連情報
- 女性の健康フレンドリー企業2024で優秀賞、女性からだ会議®大賞でチャレンジ大賞を受賞(2024.04.22付)
- 厚生労働省のがん対策推進企業アクション女性会議「Working RIBBON」に参画(2024.03.07付)
- 大林組技術研究所で女子中高生を招いて「夏のリコチャレ2023」見学会を開催(2023.08.29開催)
- 「いきいき男女・にこにこ子育て応援企業」最優秀賞を受賞(2023.2.9付)
- 女性活躍推進法に基づく「えるぼし」認定3段階目(3つ星)を取得しました(2022.10.27付)
- 第8回女性技術者育成功労賞を受賞(2022.10.12付)
- 大林組女性社員4名の座談会記事「女性が伸びやかに活躍する大手ゼネコンの軽やかな風土」(日経XWOMAN、2022.6.30付)
- 大林組は「次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画」と「女性活躍推進法に基づく行動計画」を策定(2021.4.14付)
- 香川・病院建設現場で女子小中学生が「けんせつ小町」を体験(2019.10.9付)
外国人・経験者採用の雇用
外国人、経験者採用の人数はグループ全体で年々増加傾向にあり、2023年度の経験者採用人数は、全採用人数の2割を超えました。2024年度からは、大林組を一度退職した方(アルムナイ)を再雇用する「アルムナイ採用制度」も導入しています。
また、海外グループ会社においても、現地採用のナショナルスタッフが経営・管理を担う中核人材として活躍しています。
【ダイバーシティ&インクルージョンの具体的な取り組み】
障がい者雇用の促進
大林組は2001年に特例子会社オーク・フレンドリーサービスを設立し、全国10ヵ所の事業所において、知的障がい者および精神障がい者の雇用を進めています。障がいのある社員は、専門的な知識を持つジョブコーチの下、障がいの特性に配慮した業務を担当し、社会と接しながら自立をめざしています。
【ダイバーシティ&インクルージョンの具体的な取り組み】
関連情報
シニア人材の活躍
創業から受け継がれてきた「誠実なものづくりの姿勢」や「技術力」といった大林組のDNAの伝承に努めています。定年後も豊富な経験やノウハウを活かせる就業環境を整備し、ベテラン社員の活躍により建設業で課題になっている次世代への技術継承の解決に貢献しています。2023年4月には、建設現場で重要な職責を担うマネジメント職などに任用されているシニア人材を対象に、年収水準を大幅に見直し、2024年4月には同様の見直しを常設部門のシニア人材にも拡充するなど、社員のエンゲージメント向上策も積極的に進めています。
【ダイバーシティ&インクルージョンの具体的な取り組み】
退職者に向けた卒業式
大林組は2024年9月、2024年度上期に退職した社員を対象に卒業式を初開催しました。卒業式は、定年に達した方だけでなく、あらゆる年代のさまざまな退職者に向けて開催したもので、社員への在籍中の貢献に対して感謝を伝える場として開始した取り組みです。今後は、半期ごとに開催していきます。
ワーク・ライフ・バランスの推進
育児・介護などによるライフステージの変化が生じても、意欲のある社員がキャリアロスなく安心して働けるよう、職場風土の改善や制度改革など、両立支援に積極的に取り組んでいます。2023年7月には、短時間勤務制度の対象者を育児・介護をする者に障害者手帳を有する者を加えたほか、在職期間に関わらず利用できるよう、拡充しました。また、一部の育児関連制度の申請書類を電子化するなど、より申請しやすい環境整備を進めています。
育児との両立支援
性別を問わず、仕事と育児を両立しながら働くことができる職場の実現に向け、各種制度の充実や環境の整備に取り組んでいます。2022年4月には出生時育児休業制度(産後パパ育休)を改正育児・介護休業法での新設前に先行導入しました。このほか、復職支援の相談受付、企業版両親学級や育休復帰セミナーの開催、搾乳スペースの設置など両立しやすい職場環境整備にも努めています。
男性社員の育児支援制度の利用促進も積極的に進めています。2022年2月には厚生労働省が推進する「イクメンプロジェクト」や「男性育休100%宣言」にも賛同し、2024年度までに男性社員の育児休職・育児目的休暇の年間取得率100%の達成をめざしています。
【ダイバーシティ&インクルージョンの具体的な取り組み】
関連情報
次世代育成支援対策
大林組は、次代の社会を担う子どもたちが健やかに生まれ、育成される社会のために、企業としてのアクションプランを策定し、継続的に取り組んでいます。
【ダイバーシティ&インクルージョンの具体的な取り組み】
関連情報
介護との両立支援
介護に直面した社員が、仕事と介護を両立しながら安心して働くことができる職場環境の整備に向けて、個々の状況に応じた支援の取り組みを進めています。 2023年3月に全社員に対して実施した「介護実施把握アンケート」では、約48%が今後5年以内に家族や親族を介護する可能性があることが分かりました。その結果を踏まえ、介護に関する理解を深めることを目的とし、社内報などを通して社員に広く情報発信を行いました。今後も社員の意見を取り入れながら、柔軟な働き方への情報発信や必要な施策を検討、拡充していく予定です。
【ダイバーシティ&インクルージョンの具体的な取り組み】
柔軟な働き方の推進
大林組では、すべての社員が多様な働き方を柔軟に選択できるよう、制度の整備・拡充を進めています。2021年4月には全社員が目的を問わずテレワークや時差出勤を利用できるよう制度拡充したほか、1時間単位で年次有給休暇が取得できるようにしました。また、よりテレワークがしやすいようにサテライトオフィスやシェアオフィス、ICTツールの積極的な導入、ペーパーレスの推進など業務環境も整備しています。
【ダイバーシティ&インクルージョンの具体的な取り組み】
学びを楽しみ、皆が成長する
大林グループでは、人材が重要な経営資源であるとの考えに基づき、人材育成を最重要施策の一つに位置付けています。自身の業務や取り巻く環境を成長機会と捉える企業風土を醸成するとともに、技術・知識の習得サポートや研修・留学などによる成長機会の提供により、自発的な能力開発やキャリア形成を促します。
大林組の教育制度
教育体系
大林グループの持続的な成長を支えるには人材の育成が不可欠であることから、さまざまな教育施策を展開しています。年代や職責に応じた階層別研修のほかに、職種別の専門研修、事業・業務領域別の研修を実施しています。
新入職員には、入社後の数週間は職種を問わず、社会人としてのビジネススキルを学ぶ集合研修を実施しています。講義やディスカッション、グループワークなどの教育を終えた後、職種別に専門的なスキルを学ぶ教育を実施しています。
実務職層には、職場内において1年を通じてPDCAのサイクルを回すことによって、一人ひとりに即した成長を実現していきます。また、同じ職場内で「指導員」を選任し、実務の基礎や知識、技術などを確実に身に付けられるようきめ細やかな指導を受けながら、各人の能力を伸ばしていきます。
また、全階層を対象に職場外教育として、大林組の職員として必要な知識やスキルを階層別に習得していく「共通集合研修」や、事業領域、業務領域に分かれた研修なども実施しています。
グローバル人材の育成
【海外留学制度】
海外グループ会社へ研修出向させるなどの実務教育を実施しています。また、若年・中堅社員の能力開発を目的に、海外の学校や研究機関、外国企業などへの留学を支援する制度を設けています。留学経験者は海外部門をはじめ、各分野で活躍しています。
【グローバルリーダーシップ研修】
グローバル展開に応じた人材育成を重点施策の一つとしており、海外留学や海外企業派遣、語学研修などに加えて、2013年度からグローバルビジネスに必要な基礎知識を体系的に学ぶ研修として「グローバルリーダーシップ研修」を実施しています。本研修では、各国の商慣習や海外現地スタッフのマネジメント手法、リスクマネジメントなどのノウハウを習得します。2023年度からは、これまで海外勤務を見据えた人材を対象として選抜型で行っていた初級研修プログラムを、若年層を対象とした階層別研修に組み入れるなど、研修拡大に向けて注力しています。
各種研修の実施
キャリア採用者やナショナルスタッフ(海外グループ会社が現地で採用した社員)を対象とした研修、DXをリードするデジタル人材を育成するための研修など、専門的な教育の充実に取り組んでいます。このほか、ダイバーシティ&インクルージョン研修や、アンコンシャス・バイアス研修、セルフリーダーシップ研修などの社員の意識変革を促す研修を積極的に実施しています。2022年度からは社員の自主的な能力開発の支援にも着目し、仕事の進め方やコミュニケーションを見直して生産性を高めることを目的としたワークショップや、キャリア支援を目的としたセミナー、リスキリングを促すオンライン自己学習サービスの提供など、さまざまな研修を発信しています。
キャリア採用者の育成
新卒採用の社員と等しく活躍できるよう、入社時には、職種を問わず人事諸制度や情報セキュリティ教育、人権研修などを行った後、職種別に分かれて必要な教育を実施してします。
ナショナルスタッフの育成
ナショナルスタッフを対象に、大林組が持つ最新の建設技術や安全管理手法などの習得を目的に、日本国内での実務研修を継続的に実施しています。研修修了者は、各グループ会社の技術力の向上に寄与するとともにグループ連携を担う人材として活躍しています。
資格取得支援
社員のさらなる専門性の獲得と主体的なキャリア形成を促し、自己研鑽意欲を高めるため、資格取得を積極的に支援しており、事業・業務領域・職種ごとに奨励資格を定め、教材や資格試験費用の一部を負担しています。加えて、特に経営面・事業運営面で重要度の高い資格については、「重点資格」として資格取得を推進しており、資格取得者には合格祝い金の支給のほか、資格手当を支給するなど支援制度の充実を図っています。また、DX人材育成のため、DX資格の取得も推奨しており、外部講師を招いたオンライン講座等を実施しています。
個が躍動し、チームが活性する
大林グループは、「個」と「組織」のパフォーマンス最大化をめざし、社員一人ひとりの能力や適性、将来のキャリアパスを踏まえた適材適所の人材配置を行うとともに、全社員とビジョンや目標を共有することで、日々の業務に働きがいを感じられる職場の実現に取り組んでいます。
適材適所の人材配置
大林組は、2022年度からタレントマネジメントシステムを導入しており、建築職の社員一人ひとりの詳細な業務経験や資格情報などをデータベース化して、スキルを管理しています。上司は部下のスキルや育成状況を把握し、部下に不足するスキルを獲得してもらうために新たな業務を担当させてOJTを行います。全体的にスキル値の低い項目については、OFF-JTとして研修を行うなど、スキルの底上げを図っています。このシステムを利用して、社員の計画的なキャリア形成と能力開発を促すとともに、最適な人材配置を行っています。
エンゲージメントの向上
「エンゲージメントが高い状態=組織が好活性状態」という考えの下、全社員を対象にエンゲージメント調査を実施しており、KPIの「従業員満足度」とともに大林グループ人材マネジメント方針で定義した人材像を測る「ビジョンへの共感」「協働意欲の度合い」「成長意欲」と、職場環境や成長機会などへの納得性を測定する「評価・承認」「報酬・評価の仕組み」「成長機会」の7つをエンゲージメント指標に設定しています。2023年度の全エンゲージメント指標の平均は72.5%でした。
また、人事諸制度の改善に社員の声を反映させるため、全社員を対象に各種調査や労使間協議を実施しています。調査結果は全社員が確認できるよう、社内報やイントラネットを通じて情報提供を行っています。
実施調査
調査名 | 調査内容など | ||
---|---|---|---|
従業員満足度調査 【2023年度】 |
【回答率】89.3%(10,093人中9,017人) | ||
【調査内容】組織の活性度(エンゲージメント)を、「目的・使命」「目標」「業務」「学習・成長」「チームワーク」「人間関係」の6つの指標に紐づいた52の設問で調査 | |||
【調査結果のフィードバック】組織の活性度の各指標の調査結果から組織類型を分析し、総合評価を「従業員満足度」として算出。イントラネットで社員に情報を発信 | |||
ハラスメントに関する実態調査(幸福度調査含む) 【2023年度】 |
【回答率】74.2%(14,891人中11,046人の回答) | ||
【調査内容】1年以内にハラスメントを受けた・見聞きしたことの有無およびその言動について調査。個別相談の希望者全員と面談を実施 | |||
【調査結果のフィードバック】ハラスメントの特徴や背景を分析し、管理職研修のほか全社員を対象としたeラーニングで教育を実施。また、イントラや社内報においても社員に情報を発信 | |||
福利厚生制度【2023年度】 | 【調査内容】福利厚生制度全般に関する意見、要望を調査 | ||
【調査結果のフィードバック】社員の要望をもとに、 ・短時間勤務制度の対象者を拡充(在職期間の制限をなくし、障害者手帳を有する者を追加)し、一部の育児関連制度の申請書類を電子化 ・福利厚生などの規定上の「配偶者」の定義に、同性・異性を問わず「事実上婚姻関係にある者」を追加 |
業績への貢献が報われる
大林グループの業績や中長期的な成長に向けて努力する社員のとその家族の生活のため賃金水準を改定することはもちろんのこと、その貢献に対して、適時適切に報い、各人のモチベーションの維持・向上に努めています。適正な人事評価に基づく適切な処遇を人事制度の基本としているほか、社員の組織への貢献を称えるために各種社内表彰制度を設けています。社員だけでなく、社外人材の努力・功績を称えることを目的とした特別表彰も実施しています。
【2023年度 主な社内表彰実績】
- 社長特別表彰:1件
- 働き方改革表彰:98現場
関連情報
適正な人事評価
大林組では、適正な人事評価に基づく適切な処遇を人事制度の基本としています。人事評価は全社員を対象としており、上司と部下が年に2回目標や成果などを十分に話し合ってから行います。人事評価の透明性と納得性の確保を図るため、最終的な評価を本人が確認できる仕組みとしています。給与体系を定め、性別や勤務地などを問わず人事評価が公平に給与に反映される仕組みとしています。