シンガポールに新たな研究開発拠点「Obayashi Construction-Tech Lab Singapore」を開設

アジア発の先進技術を活用したイノベーションを加速し建設業の未来を切り拓く

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、アジア地域の研究開発拠点として、シンガポールに「Obayashi Construction-Tech Lab Singapore(以下、OCLS)」を2024年4月に開設し、7月18日に現地関係者を集めたローンチイベントを開催しました。今後、アジア地域における次世代建設生産技術の育成・展開拠点と位置づけ、社内外との積極的な連携を図り、建設技術の研究開発を強化していきます。

左から、BCA Tan Chee Kiat 副CEO、大林組執行役員 小野島一、BCA Kelvin Wong CEO、大林組専務執行役員 梶田直揮、高橋良明 駐シンガポール次席公使、BCA Heng Teck Thai 副CEO

大林グループは、企業理念に「優れた技術による誠実なものづくりを通じて、空間に新たな価値を創造する」ことを掲げ、建設関連技術の進歩を通じた持続可能な社会の実現をめざし、さまざまな技術開発を推進してきました。技術開発の中核拠点である大林組技術研究所(東京都清瀬市)に加えて、2017年には米国シリコンバレーに、オープンイノベーション拠点「シリコンバレー・ベンチャーズ&ラボラトリ(Silicon Valley Ventures & Laboratory:SVVL)」を開設し、現地スタートアップや研究機関との協働による建設関連技術の研究や開発を国内外で取り組んでいます。また、2022年にはシンガポールにOCLSの前身となる「Asia Digital Labプロジェクトチーム」を発足させ、アジア地域における最新の建設技術に関する情報収集を行ってきました。

シンガポールでは、建設業においてコロナ禍による外国人労働者の不足に端を発した省人化・生産性の向上が大きな社会課題となっており、同国の建築建設庁(Building and Construction Authority:BCA)主導で、国内外の建設会社やスタートアップなどによる技術開発や、建設現場への適用が積極的に進められています。

このため大林組は、アジア地域において開発や適用が活発化している建設ロボティクス技術を中心に、アジア地域の大学などの研究機関や建設会社、スタートアップとの共同研究・開発や、アジア地域の建設現場への適用支援を行う拠点として、OCLSを設置しました。今後、建設ロボティクス以外の分野にも範囲を広げるとともに、研究開発成果を積極的に社外展開し、普及推進を行っていきます。

大林グループは、OCLSを起点に、シンガポールをはじめとしたアジアにおける研究開発エコシステムを構築し、未来を拓く技術開発を加速させることで、グローバル規模で社会課題の解決をめざします。

■OCLSについて

施設

OCLSのオフィス

OCLSは、BCAのBraddell Campus内に2023年10月に開設された、オープンイノベーション施設「Built Environment Innovation Hub(BEIH)」に入居しています。建築・環境関連のテクノロジー企業などが多く入居するほか、入居者共用の実験空間やコンファレンス施設を有しています。

所在地:200 Braddell Road, BCA Braddell Campus Blk E #12-65, Singapore 579700

主な研究開発プロジェクト

アジア諸国スタートアップとの建設自動化技術の現場実証および適用促進

アジア諸国の建設自動化領域スタートアップと共同で、大林グループ現地法人の建設現場における技術検証を行い、現場適用を促進します。BCAによる補助金[Productivity Innovation Project(PIP) incentive scheme]を活用し、中国のロボットメーカーFang Shi Technology製のコンクリートならし・コテ押さえロボットを導入し、コンクリート打設時の生産性向上について検証を進めます。

南洋理工大学シンガポール3Dプリントセンターとの建設3Dプリント技術の研究開発

シンガポールの南洋理工大学(NTU)の3Dプリント技術研究組織シンガポール3Dプリントセンター(Singapore Centre for 3D Printing:SC3DP)に共同研究室を開設し、大林組が日本国内で培った技術とSC3DPが持つ技術を連携させ、建設業における3Dプリント技術の適用拡大をめざします。この共同研究では、持続可能な建設材料の開発や、機械式継手、複合材料部品などの3Dプリント技術開発を行います。

NTUとのミーティング

シンガポール工科デザイン大学との建設ロボティクス活用の研究開発

先端的なロボティクス技術を有するシンガポール工科デザイン大学(SUTD)と、革新的な次世代の建設プロセスの確立と実用化に関する共同研究を行います。センサーとAIを活用して建設現場をマッピングし、建設現場をロボティクス技術適用に適した環境にする方法の研究や、複数の建設現場で同時にロボットを遠隔管理できるプラットフォームの開発などを行う予定です。

SUTDとのミーティング

(参考)ローンチイベントでの来賓者コメント

BCA Kelvin Wong CEOのコメント

大林組がシンガポールのBCA Braddell CampusにBEIHのエコシステムの一員として研究開発拠点を設立したことを心から祝福します。革新と技術を活用して可能性の限界を押し上げるという強力な実績とコミットメントを持つ大林組の存在は、活気ある研究とイノベーションのエコシステムをさらに豊かにします。OCLSが地元の研究機関などのエコシステムパートナーと協力を通じて、建築環境セクターでの先進技術の開発と採用を推進するために共創していくことを期待しています。

高橋良明 駐シンガポール次席公使のコメント

このたびは「Obayashi Construction-Tech Lab Singapore」の開設、おめでとうございます。大林組はシンガポール国の歩みと合わせて、MRTをはじめとした土木工事から、チャンギ空港の商業施設JEWELやバードパラダイスといったアミューズメント施設の建築工事に至るまで、この国の発展に大きく貢献されてきました。その技術力を持って、このような基幹プロジェクトに関与し、まさに国づくりを支えてきた御社の当地における貢献は我が国にとっても誇り得るものです。これから都市開発は新たなフェーズを迎え、日本とシンガポールの両国は高齢化や労働者不足といった喫緊の共通課題に立ち向かわなくてはなりません。この新しい時代に向けて、今般のOCLSの開設により、シンガポールの産学官の多様な企業・機関と緊密な関係を築き、両国の課題解決に資する新たな建設デザインや革新的なロボット技術の開発などができることは誠に喜ばしいことです。この協力が実を結び、世界に通じる技術として、シンガポール、さらには地域を超えて、世界に羽ばたいて行かれることを期待しております。

NTU Lam Khin Yong副学長のコメント

NTUと大林組のパートナーシップ、および新たなOCLSの設立は、最先端の3Dプリンティング技術とNTUの付加価値製造とエンジニアリングの深い専門知識を活用し、産業応用のための革新的なソリューションを開発し、労働力の制約、生産性、持続可能性などの建設分野における重要な課題に取り組むための重要な一歩となります。

SUTD Chong Tow Chong学長のコメント

私たちは、大林組との密接な協力を楽しみにしており、デザイン、AI、テクノロジーの専門知識を共有し、建設業界で行われている取り組みを強化することをめざしていきます。建設現場へのロボットソリューションの展開は、安全かつ効率的に統合するための明確なフレームワークがないため、困難です。AIを活用し、シームレスなロボット統合を可能にするフレームワーク構築することで、建設現場へのロボットソリューションの展開は画期的な変革をもたらす可能性があります。また、遠隔ロボット管理のためのプラットフォームの開発も、リアルタイムのモニタリングとリソースの最適化により、業界をさらに革新することができます。

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 コーポレート・コミュニケーション室広報課
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