浅間山の建設現場で自動・自律運転技術を活用した無人重機による自動化施工の実証

技術・ソリューション

大林組が開発した建機フリートマネジメントシステム(建機FMS)を使用して、自動・自律運転キャリアダンプによる資材自動運搬作業の現場実証が、2024年8月、群馬県内の浅間山緊急減災対策事業の建設現場で行われました。建機FMSは、複数台の建設機械が連動し、協調運転を行うように制御するシステムで、遠隔地から作業内容を入力・指示し、操作することも可能です。

今回の現場実証は、対策事業を行う国土交通省と、工事を担当する地元建設会社が浅間山の噴火に備え、作業員の安全を確保し作業を行うことを目的に、無人重機による自動化施工の一環として行われたものです。大林組は、建設機械メーカーの日立建機日本を通じて、建機FMSと自動・自律運転キャリアダンプを貸与してこの実証を実現しました。今回の実証では、特定のメーカーの建設機械に限定されずに連携できるという建機FMSの汎用性の高さなどが評価され、採用されました。

自動・自律運転キャリアダンプでの現場実証の様子(動画再生時間:3分55秒)

【現場実証の概要】

実証の目的

浅間山が噴火した場合の緊急対策工事では、作業員の安全確保のため工事の無人化が想定されます。今回の実証では、重機の無人化と自動化両方の試験施工を行うことで、工事の無人化の可能性を探りました。

実証内容

ソイルセメント(※1)の自動運搬作業における無人化・自動化の試験施工を実施。有人操作のバックホウで自動・自律運転キャリアダンプにソイルセメントを積み込み、指定位置への運搬、放土、積み込み位置への走行の一連の自動運転を、建機FMSの制御により行いました。また、バックホウのオペレーターがタブレットで自動・自律運転キャリアダンプを操作することで省人化も図っています。

自動・自律運転キャリアダンプの特長

自動・自律運転キャリアダンプは、SLAM(※2)走行モードとGNSS(※3)走行モードの2つがあり、長所が異なる技術を組み合わせることでさまざまな環境の現場で自動・自律施工に対応します。

自動・自律運転装置を搭載したキャリアダンプ

大林組は、福島県飯舘村における建設機械の自動・自律運転の現場実証にて複数台の建設機械の自動・自律運転の連携、超遠隔操作を成功させるとともに、開発と実証を推進するためのフィールド「インキュベーションスタジアム」を社内施設内に構築するなど、着実に技術開発を進めてきました。

今後も大林組は、建機FMSを中心とした自動、自律運転技術の開発を継続し、建設現場への実装を進めることで、建設業の生産性向上と省人化に貢献します。

  • ※1 ソイルセメント
    現地の土とセメントを混合したもの
  • ※2 SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)
    自己位置推定と環境地図作成を同時に行う技術の総称
  • ※3 GNSS(Global Navigation Satellite System)
    人工衛星から発信される信号を用いて自己位置などの測位を行う技術で衛星位置情報システムの総称